引き続き積丹半島の温泉を巡ってまいります。今回取り上げるのは古平町の「日本海ふるびら温泉 しおかぜ」です。こちらは以前、廃校となった高校の校舎を活用した「一望館」という温泉施設でしたが、老朽化のために取り壊され、平成23年3月に漁師の番屋をイメージした現在の形でリニューアルされました。
古平の街や港を見下ろす丘の上に位置しており、見晴らし良好です。丘の下に温泉の排湯と思しきオレンジ色の液体がプールされている貯水槽を見つけたのですが、これはおそらく排湯処理施設なのでしょう。
受付斜め前には眺めの良い大広間が設けられており、お風呂から上がったお客さんたちが、テレビを見たり談笑しながらのんびりと寛いでいらっしゃいました。
大広間を左に見ながら廊下を進んで浴場へと向かいます。その廊下には古平の昔の街並みを記録した写真が展示されているほか、当温泉の旧施設である「一望館」時代のパネルも掲示されていました。
廊下の突き当たりが浴場です。お風呂には男女別浴室のほかに家族風呂もあるのですが、今回家族風呂は利用しておりません。
脱衣室はやや狭さを感じますが、白基調の室内は明るく綺麗で使い勝手もまずまずです。
タイル張りの浴室も明るくて清潔感があり、海に向かって窓が設けられているので、屋内空間でありながら開放感も得られます。浴室の窓に面して温泉浴槽が設置されている一方、手前の脱衣室側には洗い場が配置され、計7基のシャワー付きカランが取り付けられていました。
浴槽はメインである温泉槽のほか、真湯槽、水風呂、そしてサウナが並んでおり、他地域の温浴施設と同様、こちらでもサウナが人気を博していました。
窓の外側には露天風呂もあるのですが、私が訪れた冬季はクローズされており、利用することはできませんでした。温泉分析書によれば湧出量は毎分50リットルですから、冬に冷たい海風が直撃する場所で入浴に適した湯加減を維持できるだけの湯量が賄えきれないのかもしれませんし、何しろそのような立地ゆえ、冬季は吹雪や足元の凍結などで利用客が凍えちゃいますから、冬季クローズはやむを得ない措置なのでしょう。なおこの露天風呂は5月から10月の間で利用が可能なんだそうです。露天にお湯が張られていたら、港を眺めながら入浴することができたんでしょうね。
温泉槽は(目測で)5m×3m弱といったサイズ。大きな窓からは露天にも引けを取らない景色を望めます。湯口から注がれるお湯は濃いオレンジ色で、透明度は15cm前後しかないほど強く濁っています。石造りの湯口から吐出されるお湯はかなり熱く、その周りは焼けただれたような色に染まっていました。また、温泉に含まれる石灰が凸凹と瘤状にこびりついていました。湯船のお湯も結構熱いため、長湯するお客さんはおらず、皆さん烏の行水でサッサと上がっていきました。なお湯使いに関して、館内備え付けのパンフレットによれば100%源泉かけ流しとのことですが、おそらく多少の加水は行われているかと推測されます。ただ、私の訪問時はお湯の投入量が若干絞り気味でしたので、湯量を調整することによって極力加水を控えているのかもしれません。
お湯を口に含んでみますと、しょっぱさと赤錆味、そして少々の苦汁味が感じられ、弱い赤錆臭と土類系の匂いが嗅ぎとれました。湯中では食塩泉的なツルスベと塩化土類泉的なギシギシが混在しているものの、私の体感では6:4でツルスベの方が勝っているようでした。とはいえ、しょっぱくて熱いお湯ですから、湯浴みしているとすぐに火照ってしまい、長く浸かることができません。また湯上がりも汗が止まらず、いつまでもホコホコし続けました。
北海道の厳しい冬には心強い熱の湯と言えそうです。
ナトリウム-塩化物温泉 53.3℃ pH7.0 50L/min(動力揚湯) 溶存物質12.81g/kg 成分総計12.87g/kg
Na+:3710mg(75.98mval%), Mg++:250.6mg(9.71mval%), Ca++:570.6mg(13.40mval%), Fe++:15.6mg,
Cl-:6392mg(83.57mval%), SO4--:1488mg(14.36mval%), HCO3-:267.6mg(2.03mval%),
H2SiO3:55.7mg, HAsO2:3.1mg, CO2:51.4mg,
(平成22年1月5日)
北海道古平郡古平町大字新地町90番地1 地図
0135-42-2290
紹介ページ(古平町公式サイト内)
10:00〜21:00 第1・3木曜定休(祝日は営業)
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5