温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

台湾糖業鉄道の観光トロッコ「五分車」 その2・新営 (台湾南部)

2012年04月28日 | 台湾
烏樹林から路線バスで新営駅へ戻ってきました。新営駅から徒歩圏内にある旧新営糖廠でも「五分車」が観光トロッコとして運転されており、走行距離は現在の台糖の観光トロッコ列車では最長(4.6km)で、途中に列車交換もある本格派なんだそうですから、鉄道好きな人間としては興味津々、こちらにも乗ってみることにしました。


駅前から左手の線路に沿って伸びる新進路一段を進みます。途中、廃線になった製糖鉄道の線路を横断。線路跡は遊歩道になっていました。


 
画像左(上)は台鉄の新営駅構内へ伸びるトロッコの軌道。トロッコが走っていたナローゲージの外側に、日本のJR在来線と同じ3フィート6インチ(サブロクゲージ)の線路も敷かれている、いわゆる三線軌条。台鉄の貨車が乗り入れていたんですね。
画像右(下)は旧新営糖廠側へ拡がっているヤード跡。線路は敷かれたまま残っていますが、すっかり草叢に隠れてしまっています。


 
駅から新進路一段を約1km歩くと、左手に中油のGSがある十字路が行きつくので、そこを左折して中興路へ入ると、100mほどで旧新営糖廠の中興駅に到着です。台鉄の線路側には広大なヤードが広がり、一部は観光トロッコ用の引き込み線になっているようですが、大部分は使われていません。使われていない線路の先には三線軌条のポイントが右へ左へと分岐していますが、その複雑な構造を見ていると頭がこんがらがりそう…。



中興駅前の歩道橋からヤードを俯瞰してみます。台湾屈指の規模を誇った製糖工場だったため、敷地は非常に広大。かつてはサトウキビを積んだたくさんの貨車で活況を呈していたのでしょう。ヤードの向こう側には台鉄の西部幹線の線路が左右に貫いています。


 
新営糖廠トロッコの乗車駅となる中興駅。歩道橋には「新営五分車」の文字が。
駅前には次々に大型観光バスがやってきて、団体の子供たちが元気よく降りてきました。


 
駅舎内のカウンターでチケット購入します。烏樹林のような、いかにも昔の駅舎らしい窓口ではなく、ごく普通の事務室内にあるカウンターといった風情。同じカウンターでアイスキャンディーも売っていました。
室内には鉄道関係の展示物が陳列されており、使われなくなった閉塞機で男の子が訳も分からず遊んでいました。大人でも閉塞機の意味がわかる方は、鉄道マニア以外はほとんどいないでしょうね。


 
画像左(上):事務室の外に掲げられた「中興車站」の扁額。
画像右(下):事務室前に置かれていたさとうきび搾汁機。



かつてトロッコ貨車を牽引していたSLも数台ほど展示されています。



歩道橋の上からトロッコ用のホームに停まっている列車を眺めてみました。トロッコのエメラルドグリーンの屋根と白い車体、そしてその脇で一列に咲いているブーゲンビリアがとっても鮮やか。


 
今回乗車するトロッコ列車を牽引する機関車は、烏樹林で乗った列車と同じスタイルの徳馬(DIEMA)牌柴油機車156号機。


 
烏樹林と同じような構造の客車で、塗装が違うだけ。ブーゲンビリアが綺麗ですね。


  
ホーム先端には八翁線の0キロポストが立っています。キロポストというより標識みたい。ここから八老翁駅までの4.6kmが乗車区間となるわけです。更に先には屍と化した貨車が留置されていました。



団体の子供たちによって、トロッコ列車はほぼ満席状態。
子供たちの「5・4・3・2・1」の掛け声とともに機関車の警笛が鳴らされて14:00ちょうどに出発。以下、動画の説明。
0:53~1:03→駅近くの中学校では、窓から学生がこちらに向かって手を振ってくれました。
2:19~2:35→信号扱所から係員が出てきて、機関士にタブレットを手渡しています。



永い眠りについている貨車の群れを抜けてゆき…



中学生につづき、踏切で待っている市民の方々も手を振ってくれました。台湾の皆さんって本当にハートフル。


 
急水渓という川を渡ります。なかなか頑丈そうな造りの橋です。


 
果てしなく広がる畑。かつては一面サトウキビ畑だったのでしょうが、多くの畑で転作されており、沿線の耕作地ではトウモロコシや豆などの穀物類、青物系の蔬菜類、イチゴなどの果物など、様々な作物が栽培されていました。


 
撮影し忘れちゃったのですが、途中の信号所では線路の真ん中に信号掛が立っており、こちらの列車や対向列車との間でタブレットの授受を行っていました。観光トロッコとはいえ、本格的な信号扱いがいまだに実践されているのであります。対向列車のお客さんとお互いに手を振り合いました。


 
田植えから間もないと思われる水田の稲苗から、青々とした匂いが風に乗って漂ってきました。初夏らしい季節を体感させてくれる香りです。


 
沿線ではバナナが当たり前のようにあちこちに生えていました。小さな子はバナナの実を指さして喜んでいました。


 
4.6kmにも及ぶ路線なので途中には何か所もの踏切を通過。踏切警報機も遮断機もある踏切(日本で言うところの第1種踏切)や警報機はあるけど遮断機が無い踏切(同、第3種踏切)、そして警報機もない第4種など、第2種以外は全種類揃っていました。遮断機は無くともトラックはきちんと停まってトロッコの通過を待っていました。


 
約30分の乗車で八老翁駅へ到着。なかなかしっかりとした駅舎ですね。周囲は酪農の牧場となっており、乳牛之家と称する観光牧場が隣接していました。駅舎でも乳製品が販売されています。



子供たちにまじって、私も冷たい牛乳とミルク味のアイスバーを購入。牛乳は味が濃く、アイスバーは甘さが控えめ、とっても美味でした。



敷地内には旧型客車を転用したレストランも。



中興(新営市街)側へ伸びるヨレヨレ線路。沿線には部分的にサトウキビ畑が点在しており、この画像でもその姿を確認できますが、他の作物に比べれば圧倒的に少数派。もう台湾ではサトウキビは過去の作物と化しているのでしょう。


 
機回し線で反対側へ来た機関車が客車と連結し、引き返す準備完了。なおお客さんはすぐに引き返さずとも、観光牧場やレストランでゆっくり過ごし、最終列車までの間に八老翁駅を出発する任意の列車で戻ればOKです。
私は22分後に出発する14:52発の列車で中興駅へ戻ることにしました。


 
中興駅へ戻るトロッコ列車。新営の街中へと近づいてゆきます。
線路を跨ぐ歩道橋のような信号扱所を潜れば、中興駅の構内です。



15:22、中興駅へ戻ってきました。


新営のトロッコは烏樹林と違ってSLこそ走りませんが、鉄道ファンとして興味が惹かれる運転扱やストラクチャが多く、走行距離も長いので充実感たっぷり。しかも終点にも牧場やレストランなどゆっくりできる施設があるので、家族連れで訪れてもみんなで楽しめるでしょう。市街から農耕地まで景色の変化も楽しめるのも魅力的でした。


中興駅まで台鉄・新営駅より徒歩15分  地図
土日祝のみ運行。中興駅を9:00~16:00まで1時間毎で毎時00分出発
大人100元

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 台湾糖業鉄道の観光トロッコ... | トップ | 台湾糖業鉄道の観光トロッコ... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
台湾糖業鉄道に感謝 (林 源)
2014-05-11 02:12:09
台湾糖業鉄道を維持されている方々に感謝致します。私も現在、父親から教わった鉄道の信号装置の製造をしております。以前は台湾鉄路局様にたくさん設備をお買い上げ頂きました。それらの装置が現在もこのように使われている事と、保守、維持、管理されている事に知り、感謝感激です。糖業鉄道関係者に改めてお礼の気持ちを伝えたくてメールします。ありがとうございました。感謝、感謝です。7月に台南に行きます。その時、是非拝見させて頂きます。台湾万歳、台湾謝謝!
Unknown (K-I)
2014-05-11 16:12:24
林源さん、はじめまして。
私も台湾が好きな者の一人として、トロッコ列車を維持してくださってる皆さんには感謝申し上げたくおもっています。新営の中興駅では、出発時の子どもたちの歓声がとても印象的でしたし、観光用であっても途中の信号所で列車の交換があり、通票を用いた本格的な閉塞扱いを行っていることにも驚きました。

※同内容の投稿が重複投稿されていましたので、重複分は削除させていただきました。

コメントを投稿