(2021年12月訪問)
伊豆南部に点在する観光名所のひとつ、河津七滝(ななだる)。河津川にはいくつもの滝が続いていますが、特に観光名所になっている7つの滝を七滝と呼んでおり、歩きやすい遊歩道も整備されています。さて、周遊のスタート地点に当たるバス停や公共駐車場がある箇所から上流へ向かってこの歩道を歩き、お土産屋さんが建ち並ぶ一角を抜けると、序盤で上画像のような場所を目にします。川の対岸に見えるあの洞窟のようなものは一体何なのかしら。
温泉ファンには言わずもがなですが、この洞窟は付近の「七滝温泉ホテル」が管理している「溶岩洞窟風呂」です。ホテルからはちょっと離れていますが、宿泊客は無料で利用できるほか、日帰り入浴客も所定の料金を支払うことで利用が可能です。まずはホテルのフロントで洞窟風呂を利用したいと申し出て料金を支払うと、フェイスタオルと一緒に暗証番号が書かれたメモを渡してくれますので、これを持って現地へ向かいます。ホテルの玄関から歩いて4~5分でしょうか。
数年前に私が七滝を観光で訪れた際に目にした洞窟風呂はかなり質素な施設でしたが、今回訪ねてみると立派な小屋に生まれ変わっていて驚きました。いつの間にやら建て直したんでしょうね。フロントで教えてもらった暗証番号で扉の鍵を開けて敷地内に入ると・・・
上画像に写っている洞窟風呂専用の更衣小屋がありますので、そこで水着に着替えます。と言いますのもこの洞窟風呂は混浴なので水着の着用が求められるのです。もちろん対岸の遊歩道からこのお風呂が丸見えであることも理由の一つでしょうね。なお更衣室には洗面台のほかカギつきロッカーも備え付けられています。
着替えて小屋を出て、目の前の階段を下ります。この階段は滑りやすいので要注意。なお更衣小屋には洞窟の照明スイッチがありますので、下る前にONしておきましょう。
下った先は天井が低くて薄暗く、まさに洞窟といった雰囲気。腰をかがめながら先へ進んで、透明なお湯が張られた大きなお風呂に入ります。
お風呂から上がる湯気が天井に当たって水滴がポタポタと落ちてくるところもまた、いかにも洞窟らしい佇まい。
洞窟内の最奥(山側)に湯口あり、配管からお湯が落とされています。またホースで浴槽の川側にもお湯が投入されており、複数箇所から供給することで湯加減の均衡が図られています。湯船のお湯は全量が川へ落とされており、完全かけ流しの湯使いです。
対岸の遊歩道からこの洞窟風呂は丸見えですから、当然その逆方向からも良く見えます。上流の滝を目指しながら散策する観光客は、対岸の洞穴に見え隠れする水着姿のオジサンを「なんだありゃ」という不思議そうな面持ちで一瞥するものの、見てはいけない非倫理的なものと判断するのか、その後は皆さん一様にこちらを意識的に見ようとせず、脇目を振らずにひたすら前を向いて足早に立ち去っていきました。せっかくきれいな景色を楽しみにいらっしゃったのに、醜い容姿を公衆の面前に晒してしまい、なんだか申し訳ない気持ちです。
ところで、洞窟風呂の更衣小屋へ入る前に、奥にも同様の小屋があることに気づいていました。あの奥の小屋は何だろう?
男女別に分かれた小屋に入ってみますと、こちらも同様に更衣室なのですが・・・
その先にはなんと綺麗な露天風呂ができあがっていました。以前の質素な掘っ立て小屋時代は「立ち湯」という名称の露天風呂だったかと思うのですが、その形跡は微塵もなく、新たに綺麗な露天風呂が作られたわけです。
なお更衣室は男女が左右に分かれていますが、お風呂の位置としては男湯が手前で女湯は奥。女湯の方は着替えてから奥へ進んでいった先にお風呂があるようなレイアウトです。
話は前後しますが、洞窟風呂用更衣小屋と、奥にある新設露天風呂との間には、上画像のようにテラスみたいなものも設けられていました。なかなか良い雰囲気ですね。ここで景色を眺めながらサンドイッチを頬張ってみたいものです。
この露天風呂はいわゆる岩風呂で、全体をモルタルでしっかり固めた造りです。上画面に写っている配管の湯口のほか、浴槽の底からも熱いお湯を投入することで湯加減の均衡を図っていますが、それを知らずにお湯の供給部分にお尻をつけてしまった私は、その熱さにびっくりして思わず「うわっ」と情けない声を上げてしまいました。こちらのお風呂へ入る場合は、あらかじめ底面の穴を位置を確認しておくことをお勧めします。
敷地内や設備内には温泉に関する説明表示や分析表が無いので断定はできませんが、おそらく洞窟風呂も露天風呂も同じ源泉のお湯が使われているものと思われます。そのお湯は無色透明で綺麗に澄んでおり、湯面では青白い反射を放ちながらキラキラと光っています。湯口のお湯を口に含んでみますと、石膏の甘味がしっかり感じられるほか、芒硝の風味も少々あり、石膏らしい香りも確認できます。湯中に浸かると滑らかなツルスベ浴感とキシキシと引っ掛かる浴感が拮抗しながら肌に伝わり、しっとり感が全身を覆って、温泉が持つやさしさと力強さを一度に感じることができました。
七滝の自然をたっぷり感受しながら、ワイルドな環境でかけ流しの温泉に入れる、とっても魅力的なお風呂でした。
分析表掲示なし
静岡県賀茂郡河津町梨本372(ホテル所在地)
0558-35-7311
ホームページ
入浴可能時間9:00~18:
立ち寄り客:1500円
ロッカーあり、石鹸類・ドライヤーなし
私の好み:★★★
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