温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ハンガリー ブダペスト ゲッレールト温泉

2009年10月25日 | ハンガリー


ブダペストのブダ側、ドナウ川を臨むゲッレールトの丘の麓に建つダヌビウス・ホテル・ゲッレールトは1914~18年にかけて建築されたアールヌーヴォー様式の内外観を持つ豪華なホテルで、この内部にブダペスト人御用達の温泉であるゲッレールト温泉があります。この温泉はホテル宿泊客なら自由に入れるほか、外来客も所定の料金を支払うことによって入浴することができます。

正面入口はホテル専用なので、外来入浴する場合は右手の温泉専用入口へと廻ります。温泉専用とはいえその入口はなかなか重厚なもので、こちらがホテルの入口であってもよいほど立派です。中に入ると、これまた豪華。大理石の柱に支えられた高いドーム天井の横にはステンドグラスの窓が並び、そしてその奥にはアーチ状のガラス天井が燦燦と降り注ぐ表の陽光を温泉のホールへと集め、左右そして最奥に立つ彫刻の像が入場客を出迎えてくれます。ここが温泉浴場であるとはとても思えません。まるで歌劇場のエントランスホールへ迷い込んだかのようです。


正面のホテル入口近くには、温泉入口がある方向を示す案内看板があります

 
こちらが温泉入口です。なかなか荘厳です。


まるで美術館か歌劇場かのようなエントランスホール


入口すぐの窓口で料金を支払いカードとレシートを受け取ります。回転ゲートを回して先へ進むと、正面向かって左手に売店があり、右手はゲート側から順に女性更衣室入口、プール入口、男性更衣室入口となっています。
さて更衣室に入るわけですが、ここからは伝統的なハンガリーの温泉でよくある入浴手順となりますので、箇条書きで説明します。
①窓口で貰ったカード及びレシートを更衣室の係員に提示する
②係員がキャビン(いわゆる脱衣のための個室。他の場所ではロッカーの場合もある)へ案内してくれる
③キャビン内で水着に着替える(地元の人は、伝統のハンガリー版ふんどしを着用します)
④着替え終わったら、施錠と開錠専門の係員がいるので、その人に鍵を閉めてもらう。その際、自分のキャビンの番号をしっかり覚えておくこと。施錠の際に鍵の引換証を渡してくれますが、引換証の番号とキャビンの番号は全く関連性がないので、同じようなキャビンが並んでいると、自分のキャビンがどこだったか、番号を憶えていないとわからなくなります。
⑤シャワーを浴びていざ入浴(浴槽はあくまで温まるためのもの。体はシャワーでしっかり洗うこと)
⑥入浴が終わって服に着替える際は、施錠と開錠専門の係員に自分のキャビンの番号を申告し、鍵を開けてもらう。キャビン内の長椅子にはシーツのような布が敷いてあり、これをタオルとして使ってよい(ただし単なるシーツと同様のものなので、非常に拭きにくい。タオルを持参すべき)
⑦着替え終わったら、係員にチップを手渡す。相場は100~200フォリント。仏頂面の係員もこの時だけは満面の笑みを浮かべる
場所によって若干異なるかと思いますが、大まかにはこのような要領になるかと思います。

エントランスが豪華ならば浴室もすごい。蒲鉾のような半楕円の天井は大きなドームになっており、その中央はガラス天井になっていて、これによる採光が照明代わりとなっています。側壁もエキゾチックな翠のタイル貼りで、無論単色ではなくいろんな幾何学的模様が施されています。これをトルコ調というのでしょうか。お風呂は大きく分けて36℃の槽と38℃の槽のふたつで、この他に何種類かのスチームバスやサウナが設けられています。水飲み場も2ヶ所あって、汗を流して水分が欲しくなったときに役立ちます。新聞を持ち込んだり、あるいは読書に耽ったりと、みなさん思い思いに入浴を楽しんでいました。私は水着で入浴しましたが、地元の老翁はハンガリー版ふんどしを締めていました。一見すると越中褌のような形状なのですが、日本の褌は股をしっかり布で締めるのに対し、こちらの褌は日本の死装束の白い天冠のようなもので、ただエプロンのように前に布1枚をぶらさげて大事なところを隠すだけなので、お風呂に入ると思いっきり透けてしまうのとともに、布がお湯に流されたり浮いたりするので、隠すという意味ではあまり役に立っていないようです。

お湯は無色透明で無臭、ほんのり甘い味がしました。浴感はどちらかというとキシキシとした肌触りでした。湯口にはこんもりと析出が付着していましたので、カルシウム分が濃いのではないかと推測されます。湯口まわりは赤茶色に染まっていましたので、これも泉質由来のものと思われます。
私はれっきとした日本人なので、36℃の槽と38℃の槽を目の前にしたときは迷わず38℃の方に入りましたが、地元の方をはじめ皆さん36℃の方を選ぶ傾向にありました。ヨーロッパの人はぬるいお風呂が好きなのでしょう、日本のお風呂は熱くて入れたものではないのかもしれません。

今回プールには入りませんでしたが、ここには屋内の他屋外にもプールがあり、温泉入浴のみならず水泳も存分に楽しめます。とりわけ屋外プールは毎時ちょうどから約10分間波乗りが楽しめるそうで、観光客にとても人気だそうです。温泉にサウナにプールと、まるで健康ランドを思わせるラインナップで、老若男女問わず楽しめる施設ではないでしょうか。また、風格のある建物のなかで優雅な湯浴みができるのも、ここブダペストならではでしょう。


屋内プール


タイル装飾が美しい内湯


トラム47番または49番 Szent Gellert停留所下車すぐ
(トラム47番・49番はデアーク広場が起点で、途中地下鉄M2線のAstoria駅やM3線のKalvin ter駅でも乗り換えることができます。トラムがドナウ川に架かる自由橋(Szabadsag hid)を渡れば、すぐSzent Gellert停留所に到着します)


49番トラム

所在地:kelenhegyi ut 4  地図
電話:(1) 466-6166

温泉 月~金 6:00~19:00、土・日 6:00~17:00
プール 夏季(毎日)6:00~22:00、 冬季 月~金 6:00~19:00、土・日 6:00~17:00
(屋外プールは5~10月のみ)
3100フォリント(2時間)
尚、セーチェニ温泉同様、こちらの料金もデポジット制となっており、2時間以内で出場すれば400フォリントが戻ってきます(3時間以内の出場で200フォリント返金)。
※ハンガリーは現在結構なペースでインフレが進んでいますので、必ずしもこの金額であるとは限りません

更衣室内にドライヤーあり
男女別 水着着用可
ビーチサンダルを持参することをおすすめします

私の好み:★★

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