温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

下風呂温泉 おおぎや旅館

2014年01月05日 | 青森県

前回に引き続きまして、下風呂温泉のお宿のお風呂をハシゴします。前回の「坪田旅館」は新湯系のお湯でしたが、今度は大湯系のお湯に入るべく「おおぎや旅館」を訪いました。



夕食の準備で忙しい時間帯にもかかわらず、私が「湯めぐり手形」での入浴をお願いしますと、恰幅の良い女将さんが満面の笑みで快く受け入れてくださいました。


 
深紅のカーペットが敷かれた廊下を歩き、ロビーのあるフロアから階段で浴室のある下の階へ向かいます。階段を下りてゆく私に、女将は「(湯船が)ちょっと深いので注意してくださいね」と声をかけてくれました。


 
脱衣室は至ってシンプルでコンパクトな造りですが、きちんと手入れされており、気持ちよく使えます。天井には古めかしい天井扇が取り付けられているのですが、古いながらもちゃんと回りますので、湯上がりのクールダウンに大いに役立ちました。


 
浴室は男女別の内湯のみで、室内には湯気やイオウ臭とともに、いかにも酸性泉らしい酸っぱい匂いが漂っていました。硫黄による腐食を防ぐためか、室内は床(サーモンピンク)も浴槽(スカイブルー)もFRP製で、側壁は化成品の防滴壁材が用いられており、それではあまりに風情に欠けるためか、浴槽の縁には木板を当てて化粧しています。


 
浴室の左右に分かれて洗い場が配置されており、右側にはシャワー付き混合水栓が2基、左側にはシャワー付き混合水栓1基とスパウトのみの樹脂製蛇口(お湯と水のセット)が2組、それぞれ取り付けられています。下風呂ではどのお宿でも硫黄の防蝕対策が採られていますが、こちらでもコック部が樹脂製となっている特殊なシャワーが採用されていました。

こちらのお宿に引かれているお湯は大湯源泉です。お湯を口に含むと塩味とともにクエン酸のような酸っぱさが口いっぱいに広がり、口腔をギュッと収斂させます。足を伸ばせば5~6人入れそうな湯船には、大湯の白濁湯が張られています。そのお湯は壁から突き出た塩ビ管より注がれているのですが、供給されているお湯を全て湯船の注ぎこんでしまうと湯加減が熱すぎてしまうためか、湯口の手前には分岐管が組み込まれており、湯船に注がれる量とほぼ同量のお湯が、湯船の直前で浴槽の手前に落とされ、そのまま捨てられていました。

本来の大湯源泉は綺麗な白濁を呈していますが、浴槽の素材が水色であるため、湯船では白く濁ったターコイズブルーに見え、しかもお湯をかき混ぜると混濁がより強調されました。先ほど女将は浴槽の深さについて注意するよう私にアドバイスしてくれましたが、実際に湯船に入ろうとしますと、お湯が強く濁っているため槽内の様子が目視できないのに、実際に浴槽は普通よりも若干深めに作られており、しかも槽内には足がかりになるようなステップも用意されていないため、女将が言っていた通りに注意が必要になるのかと思われます。でも実際に湯船に浸かりますと、その大きさゆえに偉大な存在に抱擁されているような安心感やゆとりが得られ、また下風呂らしいイオウ感やツルツルとした浴感も相俟って、とても気持ちよく湯浴みをたのしむことができました。元気で朗らかな女将の人柄も、そんな感覚をもたらす一助になっていたのかもしれません。単なる私の直感であって何の根拠もありませんが、あの女将がいれば下風呂の将来は安泰なような気がしてなりません。下風呂温泉はどのお宿も甲乙つけがたい魅力がありますね。


大湯再
酸性・含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉(硫化水素型) 64.0℃ pH2.4 溶存物質3.2983g/kg 成分総計3.6112g/kg
Na+:643.0mg(57.27mval%), Mg++:39.4mg(6.63mval%), Ca++:160.0mg(16.34mval%),Al+++:5.55mg, Fe++:3.73mg,
Cl-:1064mg(61.35mval%), I-:8.57mg, S2O3--:0.01mg, HSO4-:176.6mg(3.72mval%), SO4--:812.2mg(34.57mval%),
H2SiO3:132.7mg, HBO2:154.7mg, CO2:290.4mg, H2S:22.55mg,
(平成14年3月6日)
加水・加温あり(入浴に適した温度にするため)
循環濾過消毒なし

JR大湊線・下北駅から下北交通バス佐井・大間方面行で「下風呂」下車
青森県下北郡風間浦村下風呂字下風呂65  地図
0175-36-2440

湯めぐり手形使用可
日帰り入浴の料金や時間については要問い合わせ
ボディーソープ・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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