温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

新三川温泉 寿の湯

2020年06月01日 | 新潟県

今回は新潟県阿賀町の新三川温泉を取り上げます。新と名乗るからには、新ではない普通の三川温泉もあり、拙ブログでは11年前に三川温泉「湯元館」のお風呂を取り上げたことがあります。非常に良いお湯で女将さんのおもてなしも温かく、その時のことはいまだに忘れることができません。そんな「湯元館」は今でも営業を続けていますが、当地で営業していた他のお宿の多くは廃業に追い込まれており、温泉地としては見る影もありません。
一方、その手前にある新三川温泉には「ホテルみかわ」(※)のほか、温浴施設「YOU&湯」などがあり、特に「YOU&湯」はそこそこ多くのお客さんでにぎわっています。上画像の左側に写っている青緑色の建物は「ホテルみかわ」。それに隣接している白い建物が「YOU&湯」です。どうやら当地は純粋な地元の民間経営よりも、第三セクターが建てて中国資本が買収した施設の方にお客さんが偏っているようです。


さて今回取り上げるのは、「ホテルみかわ」でも「YOU&湯」でもなく、それらに隣接している入浴施設「寿の湯」です。隣接というか、両者は廊下でつながっており、容易に行き来することができます。私は当初どこから入館してよいかわからず、とりあえず外観が目立ってわかりやすかった「YOU&湯」の玄関から入ってみたところ、フロントの前には入浴券の券売機が設置されていたので、ここで料金を支払えばよいのだな、と早合点してしまいました。いや、たしかにここで支払ってもよいのですが、券売機で買える入浴券には500円と350円の2種類あることに気づかず、うっかり500円の券を買ってしまったのです。「YOU&湯」の入浴料は500円なのですが、私が入りたかった「寿の湯」は350円。その区別に私は気づかなかったんですね。フロントの方に間違って買ったことを伝えると、面倒な面持ちで渋々払い戻しに応じてくれました。同じ施設ですし簡単に行き来できるわけですから、お金の調整も簡単にできるのかと思いきや、どうやら会計は別になっているようです。
私のように苦い経験をしたくなければ、正面ではなく、上画像に写っている勝手口みたいな出入口から入ると「寿の湯」に最短で行けます。しかもこの勝手口のような入口の先には「寿の湯」専用の有人受付もありますので、「寿の湯」に入るなら、断然こちらの方が良いでしょう。


「寿の湯」専用の小さな受付の右側にお風呂へつながる通路があり、その入口には浴場名が記された扁額が掛けられています。通路の左手には飲料の自販機が設置された小上がりが設けられており、突き当たりに2枚の暖簾が下がっています。
脱衣室はそこそこ広いのでさほどストレスなく着替えることができます。またエアコンや扇風機が設置されていますので、夏や冬の利用も快適です。もっとも、利用者が多いためか、随所に使い込まれている感があるのですが、お手入れはしっかりされているので、不快に思うことはないかと思います。


脱衣室の壁には湯使いに関して、写真付きで説明されていました。毎日お湯を入れ替え、純然たるかけ流しでお湯を提供しているそうですよ。これは非常に楽しみですね。


お風呂は内湯のみですが、350円で入れるお風呂にしては大きく、誰しもが十分に寛げるかと思います。男湯の場合、入って正面の窓側に浴槽が据えられ、右側に洗い場が配置されています。洗い場にはシャワー付き混合水栓が6つ取り付けられていますが、混雑時にはカラン待ちが発生するかもしれません。
浴槽は大きなひとつの槽を板で二つに仕切っており、湯口側は熱く、湯尻側が適温になっていました。その仕切り板は底が刳りぬかれており、湯面側にも細長い穴が刳りぬかれていて、仕切り板の上下でお湯が貫通できるようになっています。小さく熱い湯口側は目測で2.5m四方、大きくて適温の湯尻側は5m×2.5mくらいの大きさです。私の利用時、熱い方へ入るお客さんはせいぜい一人か二人で、大抵は大きな適温槽だけで満足なさっていました。


温泉に含まれる金気の影響で湯口は赤く染まっているのが印象的。そんな湯口から投入されるお湯の量はかなり多く、上に噴き出す感じで浴槽へ供給されています。
湯舟のお湯はうしお汁のような感じで少々の青白い笹濁りを呈しており、またタイルの材質によるものなのか、はたまた金気の影響なのか、浴槽内は赤黒く光っていました。そんな湯舟に肩まで浸かってみますと、食塩泉的なツルスベ浴感と硫酸塩泉的な引っかかる浴感が拮抗して肌に伝わってきます。そして食塩の影響か、しばらくは汗が止まらなくなるほど非常によくあたたまります。鮮度感も良好です。


このお風呂で驚くべきは、浴室内に立派な飲泉所が設けられていることです。もちろん保健所の許可を得ている本格派。温泉に自信がある証なのでしょう。実に素晴らしいですね。
この飲泉所では熱々のお湯がトポトポと落とされているのですが、空気に触れやすい状態だからか、周りには析出がたくさんこびりついており、壁やお湯受けは赤黒い色に濃く染まっていました。そんなビジュアル面だけでも温泉に含まれる金気の多さがわかります。実際に温泉をコップに汲んでみますと、コップの中には弱い金気臭、クスリのような芒硝臭、少々のゆで卵の卵黄臭が充満しており、口につけて飲んでみますと、はっきりとした塩味、弱い出汁味、芒硝味、そして金気味が感じられました。

完全掛け流しのフレッシュなお湯はとても気持ちよく、しかも個性的なお湯であり、そんなお湯を飲泉することもできるのですから、源泉のお湯の状態を重視する御仁には堪らない一湯ではないでしょうか。私個人としても地味で控えめな建物からは想像できなかった素晴らしいお湯に感動してしまいました。隠れた名湯と言っても過言ではありません。

さて、こんな素晴らしいお湯に入れる新三川温泉ですが、新潟日報ネット版によれば「ホテルみかわ」は2020年3月に休業してしまったようです。
「阿賀・ホテルみかわ 3月20日で休業 中国人客のキャンセル響く」(2020年2月27日付)
この記事には「従業員は13人いるが、営業を継続する日帰り温泉の従事者以外は全員解雇する方針」と書かれています。残念ながらホテルの従業員は解雇されてしまうようですが、日帰り温泉については営業を継続するようです。素晴らしいお湯にはまだ入れますが、三川温泉といい、新三川温泉といい、当地の温泉はどうも元気がありません。両方ともお湯は良いので、是非とも奮起して頑張っていただきたいものです。


新三川温泉2号泉
Na-塩化物・硫酸塩温泉 57.3℃  pH7.5 130L/min(動力揚湯) 溶存物質3480mg/kg 成分総計3487mg/kg
Na+:986.5mg(81.15mval%), Ca++:155.3mg(14.66mval%), Fe++:0.4mg,
Cl-:918.0mg(48.86mval%), Br-:2.6mg, I-:0.8mg, SO4--:1187mg(46.63mval%), HCO3-:131.5mg,
H2SiO3:40.1mg,
(平成22年2月24日)
加水あり(温泉の温度が高温のため)
加温循環消毒なし

新潟県東蒲原郡阿賀町五十沢2598
0254-99-3677
ホームページ

13:00~21:00
350円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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2 コメント

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Unknown (ぱと)
2020-06-22 15:23:50
先日、新潟山形と廻りましてK-Iさんの記事を思い出し連絡を取ったところ日帰り入浴は寿の湯のみで500円に成ったとの事でした、コロナに対する意識が高いみたいでハッキリ入浴許可が出なかったので今回は辞退致しました。また山形県新庄市に以前あった油山の跡地にどんぐりの湯がオープンし早速伺って来ました。
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Unknown (K-I)
2020-06-22 22:56:24
ぱとさん、こんばんは。
湯巡りに出られたのですね。いいですね。私も行きたいですが、仕事がバタバタしており、しばらくは行けそうにありません(涙)。
寿の湯の現状をお知らせくださり、ありがとうございます。やはり地方は警戒心が強いようですね。観光客向けの施設は大丈夫かと思いますが、地元客向けだと当面は難しいのかもしれませんね。
どんぐりの湯の情報、ありがとうございます。油山が無くなって数年が経ちますが、ようやく温泉が復活したのですね。行ってみたいものです。
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