いわき湯本温泉は、常磐線湯本駅付近やその北西に旅館が集まって温泉街を形成していますが、温泉街から離れている宿も数軒あり、温泉街と同じく常磐湯本温泉株式会社から供給される温泉を受けて営業しています。前回取り上げた「住乃江」も温泉街から離れて営業している宿の一つで、湯本駅から2kmほど南下した下湯長谷地区に立地しています。この下湯長谷地区は地域のちょっとしたコアのような感じで商業施設が集まっているのですが、戦後間もない地図を見ますと「住乃江」付近に役場の印があるので、おそらく旧磐崎村(※)の役場がこのあたりにかつて存在し、その名残で今でも商店が多いものと思われます。
(※)磐崎村はその後常磐市となり、さらに合併を重ねて現在のいわき市に至っています。
この下湯長谷地区にはもう一軒「美風の宿(はるかぜのやど)」という旅館があり、こちらでは日帰り入浴を受け付けているので、ちょっと立ち寄ってみることにしました。県道から路地に入った先に位置しているのですが、初見だと若干わかりにくいかもしれません。美風と書いてはるかぜと読ませる当世風のネーミングに反して、建物自体は昭和30年代に建てられたような感じで、かなり年季が入っています。
お宿の裏山では最近流行りのグランピング場が設けられており、日が傾いて空が薄暗くなってゆくとともに、裏山は徐々に賑わいを増していきました。
どうやらお宿の帳場はグランピング場の受付も兼ねており、帳場では頻りに家族連れが出入りして、受付や支払いなどを行っていました。お宿は自らの持てる資源(資産)を有効活用し、現代のニーズに応えようとしているんですね。その姿勢はとても立派だと思います。そんな中、私は一人で日帰り入浴利用のため、帳場の方に声を掛けて湯銭を支払い、案内された通りに建物の奥へと進んでいきました。
以前こちらは別の名称だったかと思われ、最近当世的な名前に変更したのでしょうけど、宿名変更と同時並行で建物の全面的なリニューアルも実施されているのかと思いきや、外観のみならず館内もまるでタイムスリップしたかのような年代物の造りのままで、その古さに少々の不安感を覚えながら、お風呂へと向かって廊下を歩きました。建物が広いので、全部を手直ししようとすると莫大な費用がかかってしまうのでしょうね。できるところから部分的に改修するのは致し方ありません。
さてその廊下を進んだ先に女湯があり、さらに階段を上がって廊下を進み、どん詰まりの細い角を曲がると男湯の暖簾がさがっていました。このように2つの浴場はちょっと離れている(というか位置的には隣接しているもののアプローチが離れている)のですが、両者で暖簾替えはあるのかな?
浴場内の画像については、お宿の公式サイトからお借りしました。
でも、私が利用した時にこの画像のお風呂には入っていませんので、この画像は訪問時に女湯だったお風呂かと思います。従いまして、画像と文章では食い違う箇所もあるかと思いますが、ご了承ください。
脱衣室は天井が低くて簡素な木造建築ですが、出来る範囲で手が加えられおり、内装は少々そこそこ綺麗です。室内には100円リターン式のほか、ドライヤーが2台、そして扇風機が用意されています。
タイルばりの内湯は大きな窓が印象的で。やはり建物自体はかなりの年代物なのですが、でも塗装をやり直したりタイルを張り替えたりして、古さを払拭しようと頑張っています。洗い場は二手に分かれておりシャワーが計6基取り付けられています。内湯の浴槽は直径約4メートルの大きな半円形で、適温の温泉がかけ流されており、足を伸ばしてゆったり入ることができました。
上の画像とは異なりますが、私が入った露天風呂は上から見ると卵のような形をしている岩風呂で、頭上には屋根掛けされているので多少の雨なら凌げるかと思います。
岩の湯口からは熱いお湯が注がれており、その流路には白い湯の花がこびり付き、湯船のお湯の中にも白や黒の湯の花が浮遊しています。外気で冷やされることを想定してか、露天の湯口は熱めの状態で供給されていたのですが、それが原因なのか湯加減も内湯より若干熱めでした。
内湯、露天ともに掛け流しの湯使いで、湯口から注がれるお湯は湯船を満たした後、縁からしっかりとオーバーフローしていました。湯口のお湯を直接口にすると、いかにもいわき湯本温泉らしい焦げたまご臭と薄い塩たまご味、そして少々の芒硝味が感じられました。
私が訪問した夕方4時頃は、地元のご老人方が次々にやってきて、その日の汗を流しながら寛いでいらっしゃいました。温泉街からちょっと離れた立地でかけ流しの温泉に入れるので、銭湯の代わりとして重宝されているようです。お宿側からも日帰り入浴回数券が販売されているので、常連さんも多いのでしょう。
温泉旅館としてのみならず、グランピング場や銭湯的な役割など、いろんな側面を持ちながら地域や時代と共存することで、頑張って経営を続けているんですね。応援したくなります。
湯本温泉源泉
含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 58.3℃ pH8.0 5270L/min(動力揚湯) 溶存物質1831mg/kg 成分総計1838mg/kg
Na+:544.4mg(84.72mval%), Ca++:75.8mg(13.54mval%),
Cl-:648.8mg(65.--mval%), Br-:2.3mg, HS-:7.2mg, S2O3--:4.7mg, SO4--:309.6mg(23.24mval%), 146.5mg(8.66mval%),
H2SiO3:54.2mg, HBO2:21.1mg, CO2:6.1mg, H2S:0.8mg,
(平成30年6月6日)
福島県いわき市常磐下湯長谷町シザ22
0246-38-8551
ホームページ
日帰り入浴9:00~22:00(最終受付21:00)
600円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★
(※)磐崎村はその後常磐市となり、さらに合併を重ねて現在のいわき市に至っています。
この下湯長谷地区にはもう一軒「美風の宿(はるかぜのやど)」という旅館があり、こちらでは日帰り入浴を受け付けているので、ちょっと立ち寄ってみることにしました。県道から路地に入った先に位置しているのですが、初見だと若干わかりにくいかもしれません。美風と書いてはるかぜと読ませる当世風のネーミングに反して、建物自体は昭和30年代に建てられたような感じで、かなり年季が入っています。
お宿の裏山では最近流行りのグランピング場が設けられており、日が傾いて空が薄暗くなってゆくとともに、裏山は徐々に賑わいを増していきました。
どうやらお宿の帳場はグランピング場の受付も兼ねており、帳場では頻りに家族連れが出入りして、受付や支払いなどを行っていました。お宿は自らの持てる資源(資産)を有効活用し、現代のニーズに応えようとしているんですね。その姿勢はとても立派だと思います。そんな中、私は一人で日帰り入浴利用のため、帳場の方に声を掛けて湯銭を支払い、案内された通りに建物の奥へと進んでいきました。
以前こちらは別の名称だったかと思われ、最近当世的な名前に変更したのでしょうけど、宿名変更と同時並行で建物の全面的なリニューアルも実施されているのかと思いきや、外観のみならず館内もまるでタイムスリップしたかのような年代物の造りのままで、その古さに少々の不安感を覚えながら、お風呂へと向かって廊下を歩きました。建物が広いので、全部を手直ししようとすると莫大な費用がかかってしまうのでしょうね。できるところから部分的に改修するのは致し方ありません。
さてその廊下を進んだ先に女湯があり、さらに階段を上がって廊下を進み、どん詰まりの細い角を曲がると男湯の暖簾がさがっていました。このように2つの浴場はちょっと離れている(というか位置的には隣接しているもののアプローチが離れている)のですが、両者で暖簾替えはあるのかな?
浴場内の画像については、お宿の公式サイトからお借りしました。
でも、私が利用した時にこの画像のお風呂には入っていませんので、この画像は訪問時に女湯だったお風呂かと思います。従いまして、画像と文章では食い違う箇所もあるかと思いますが、ご了承ください。
脱衣室は天井が低くて簡素な木造建築ですが、出来る範囲で手が加えられおり、内装は少々そこそこ綺麗です。室内には100円リターン式のほか、ドライヤーが2台、そして扇風機が用意されています。
タイルばりの内湯は大きな窓が印象的で。やはり建物自体はかなりの年代物なのですが、でも塗装をやり直したりタイルを張り替えたりして、古さを払拭しようと頑張っています。洗い場は二手に分かれておりシャワーが計6基取り付けられています。内湯の浴槽は直径約4メートルの大きな半円形で、適温の温泉がかけ流されており、足を伸ばしてゆったり入ることができました。
上の画像とは異なりますが、私が入った露天風呂は上から見ると卵のような形をしている岩風呂で、頭上には屋根掛けされているので多少の雨なら凌げるかと思います。
岩の湯口からは熱いお湯が注がれており、その流路には白い湯の花がこびり付き、湯船のお湯の中にも白や黒の湯の花が浮遊しています。外気で冷やされることを想定してか、露天の湯口は熱めの状態で供給されていたのですが、それが原因なのか湯加減も内湯より若干熱めでした。
内湯、露天ともに掛け流しの湯使いで、湯口から注がれるお湯は湯船を満たした後、縁からしっかりとオーバーフローしていました。湯口のお湯を直接口にすると、いかにもいわき湯本温泉らしい焦げたまご臭と薄い塩たまご味、そして少々の芒硝味が感じられました。
私が訪問した夕方4時頃は、地元のご老人方が次々にやってきて、その日の汗を流しながら寛いでいらっしゃいました。温泉街からちょっと離れた立地でかけ流しの温泉に入れるので、銭湯の代わりとして重宝されているようです。お宿側からも日帰り入浴回数券が販売されているので、常連さんも多いのでしょう。
温泉旅館としてのみならず、グランピング場や銭湯的な役割など、いろんな側面を持ちながら地域や時代と共存することで、頑張って経営を続けているんですね。応援したくなります。
湯本温泉源泉
含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 58.3℃ pH8.0 5270L/min(動力揚湯) 溶存物質1831mg/kg 成分総計1838mg/kg
Na+:544.4mg(84.72mval%), Ca++:75.8mg(13.54mval%),
Cl-:648.8mg(65.--mval%), Br-:2.3mg, HS-:7.2mg, S2O3--:4.7mg, SO4--:309.6mg(23.24mval%), 146.5mg(8.66mval%),
H2SiO3:54.2mg, HBO2:21.1mg, CO2:6.1mg, H2S:0.8mg,
(平成30年6月6日)
福島県いわき市常磐下湯長谷町シザ22
0246-38-8551
ホームページ
日帰り入浴9:00~22:00(最終受付21:00)
600円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★
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