一部温泉マニアではとっても塩辛いことで有名なさざなみ温泉に行ってきました。北秋田市内にはさざなみ温泉の他にも、昨年(2010年)にオープンしたばかりの「伊勢堂岱温泉・縄文の湯」のように化石海水型の強食塩泉が点在しており、どうやら鷹ノ巣周辺の地下には化石海水の帯水層が存在しているみたいです。
県道3号沿いのガソリンスタンドの裏手にひっそりと佇む平屋の湯屋。湯屋の向こうには広い水田が広がっており、とっても長閑な光景です。地域民向けの共同浴場らしくこじんまりとしています。訪問時は愛想の良いおじさんが受付していました。
あくまで共同浴場なので内部のつくりはごくごく普通。特に奇を衒ったような施設はありません。
お風呂は男女別の内湯のみ。浴槽は大小に2分されており、同じ湯口から源泉が分けられ投入されていますが、浴槽の大きさによって温度が異なり、小さいほうは熱め、大きな方はやや熱め、いずれにせよ熱めの湯加減でした。加温加水循環消毒などは一切ありません。
栄養ドリンクのような山吹色に弱く濁り、湯口に鼻を近づけると化石海水の温泉によくある表現の難しい有機的な匂い+臭素的な匂い+ヨード的な匂い+金気臭が感じられます。特徴的なのは上述のように強烈な塩辛さ。分析表を見ると成分総計29771.2mg/kgという濃さに目を奪われ、次にその内訳を細かくみてゆくと、陽イオンは多い順に Na+:9380mg(80.14mval%)、Ca2+:1568mg(15.37mval%)、陰イオンは Cl-:17940mg(99.78mval%)というように塩素イオンでほぼ独占され、つまりは食塩(NaCl)が圧倒的な多さを占めているわけです。ですから塩辛いのは当然なのですが、これに苦汁味や金気・油っぽさなどがごちゃまぜになって味覚がおかしくなってしまい、お湯を口にした途端思わず咽てしまいました。塩辛い温泉水を味見した口腔を漱ごうと真水を口にしたら、その水がなぜか甘く感じてしまったほどです。
塩辛いので肌がヒリヒリ沁み、湯上りはベトついてかなり火照ります。湯温が熱めである上に塩辛くて重いお湯なので、とても長湯はできません。夏にこの手のお湯に入ると相当体力を奪われるので、特にお年寄りは注意を要するかと思います。逆に考えると、厳冬期はいつまでも保温効果が持続して湯冷め知らずになるでしょうね。厳しい当地の冬にはもってこい。
お湯と格闘するのが好きな好事家温泉ファンの御仁にはおすすめです。
漣温泉(漣2号)
ナトリウム-塩化物強塩泉 47.7℃ pH7.2 溶存物質29735.9mg/kg 成分総計29771.2mg/kg
秋田内陸縦貫鉄道・合川駅より徒歩10分(約700m)
秋田県北秋田市川井字鳥屋沢36-4 地図
0186-78-4171
8:00~21:00 月曜定休(祝日の場合は火曜休業)
350円
ドライヤーあり、他の備品類なし(販売あり)
私の好み:★★
K-Iさんのこの記事を拝見し、母親をつれて「さざなみ温泉」を初訪問しました。
以前参考にさせていただいた船沢温泉が母親のお気に入りだったのですが、いまだ再開のニュースに接していなかったので、似たような食塩泉のこちらを2016年の初湯に選びました。
おかげさまで、冬には最高の温泉でした。
母親の足の痛みも和らいだようで、とても喜んでもらえました。
いつもながら、本当にありがとうございました。
明日UP予定の私のブログ記事に、K-Iさんの記事へのリンクを貼らせていただきたいので、ご了承いただければ幸いです。
たしかに両方とも強烈にしょっぱい温泉ですよね。お母様にも気に入っていただけたようで、私も嬉しく思います。しょっぱい温泉は寒い東北の冬の、心強い味方ですね。とはいえ、今年は総じて雪が少ないようで、生活や行動はしやすいのでしょうけど、季節感が薄れてしまいますね。hiroさんのブログの件、大歓迎です(^^)。以後はどうぞご自由にリンクを張ってください。いつも拙い記事ばかりで恐縮ですが、今後も多少なりともお役に立てれば幸いです。
いつもホームページ拝見しております。
先日さざなみ温泉を訪れたところ、加熱循環の湯になっておりました。
昨年から泉質が変わったとのことで、26.6度、0.1902g/kgのアル単になっており、若干のぬめり感と保湿感は感じれたものの、かつてのような食塩泉は楽しめないです。
以上現状を報告させていただきます。
いつも拙ブログをご覧くださり誠にありがとうございます。
さざなみ温泉の現状、驚きました。あの強烈にしょっぱい温泉は姿を消してしまったのですね。お湯に癒されるというより、お湯と格闘すると表現したくなるような濃くてパンチのあるお湯でしたが、それゆえ非常に印象に残り、マニア的には好印象でした。でも日々の汗を流す地元の方には、いまいち使い勝手が悪かったかもしれず、メンテナンスする方にとっても厄介だったかもしれませんね。源泉が枯れてしまったのか、あるいはニーズに応じて新たに掘削したのか、その辺りの事情はわかりませんが、ちょっと残念です。とはいえ、どんな湯使いだろうと、地元の方に愛されればそれで良いのだと思います。
お知らせくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします
さざなみ温泉は初めての訪問で、かつての湯は知りません。成分表を見ずに入浴した際は、正直拍子抜けしてしまいました。
ただK1さんのおっしゃる通りで、朝から地元の方で賑わっており、地元から愛されていることは間違いないです。確かに毎日入るにはこういった湯の方がいいのかもしれません。
長々と駄文失礼いたしました。
今後ともよろしくお願いいたします。
やはり枯れてしまったのですね。あのようなタイプの源泉は、地中にストックされている量が限られていますから、こうなってしまうのは仕方のないことなのでしょう。残念ですが、地元の方で賑わっているそうですから、浴場としては寧ろ前途が開けたのかもしれませんね。
また何かございましたら、お知らせくださいますと幸いです。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。