温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

筌の口温泉 共同浴場 

2014年09月25日 | 大分県

前回取り上げた「新清館」の露天風呂に満足した後、せっかくですから隣接する「共同浴場」にも立ち寄ってみました。お隣の露天風呂と比肩するくらいに、こちらの浴場も温泉ファンから高い評価を得ており、一度訪れてどのようなお風呂なのか体感してみたかったので、「新清館」の露天風呂から上がってまだ数分しか経っていないタイミングでしたが、火照ったままの体に鞭を打って、気合を入れて入浴に臨みました。
こちらを利用する場合、車はお隣「新清館」の駐車場に駐めるのですが、その際には料金箱に駐車料金の200円を納めます。上画像は共同浴場へ向かうアプローチを撮ったものですが、アプローチ入口の左手に写っている金属製の小さなポストがその料金箱です。


 
アプローチの奥に佇むトンガリ屋根の共同浴場は、周囲の木立や藪に覆われながらひっそりと佇んでいるように見えます。この外観だけで判断すれば、きっとこぢんまりとした渋くてささやかな湯屋なんだろうな、と想像してしまうのですが、この予想は後ほど覆されることになります。


 
浴室の入口は男女別に分かれていますが、入口の戸を開ける前に、その手前にある箱へ湯銭を納めます。この箱は事務所のような窓口の前に置かれており、室内では蛍光灯が点灯していたのですが、私の訪問時は無人状態でどなたもいらっしゃいませんでした。普段は有人なのでしょうか。


 
戸を開けると小さな薬師様が鎮座している古そうな石造の仏壇がお出迎え。お堂のようなつくりの仏壇には唐破風の庇があるのですが、長年に及んで手向けられたお線香の煙で燻されちゃったのか、その部分は黒く染まっていました。また薬師様の後背には、小さな鳥居が立てかけられていました。神仏混淆の形で祀られているわけですから、この石のお堂は相当古いものと思われます。
このお堂の左側に脱衣室が広がっているのですが、ここの床面積が共同浴場にしてはヤケに広く、棚の枠の数も結構多いのです。ということは、浴室もデカイのか。


 
浴室に入ってびっくり。奥まったような外観から受ける印象を裏切るほど、奥行き・天地ともにかなりの大きさがあり、天井は体育館のような二段勾配のギャンブレル屋根で、切妻の上半分はガラス窓になっているため、とっても明るい室内環境が生み出されていました。そして室内の中央には、長方形に小判の半分をくっつけたような形状の浴槽が据えられており、この湯船へお湯の注がれる音が高い天井いっぱいに響いていました。


 
古い作りの共同浴場であるためか、洗い場に設けられているカランの数は少なく、脱衣室側から見て右側の女湯との仕切り塀に、温泉が出てくる蛇口が2つ、水道の蛇口が3つ取り付けられているばかりですが、その代わり手すりのパイプには桶がたくさん並べられていますので、これで湯船のお湯を直接汲んで掛け湯すれば、十分用が足りますね。また手前側(脱衣室側)にはステンレス製の小さなバスタブが設置されており、そこには清らかな冷水が張られていました。つまり水風呂であります。


 
中央の主浴槽は3.5m×5mの長方形に半径1.5mの半円をくっつけたような形状で、最奥にある筒を2段重ねたような湯口から源泉が注がれ、半円側の縁よりオーバーフローしています。この浴槽をはじめ、床や壁など、お湯がよく触れる場所は総じて石灰分によりアイボリー色に染まっているのですが、お湯が常に流下する半円部分の縁は、石灰分が剥がれ落ちて金気だけが残り、赤黒い色がこびりついていました。


 
半円部分から床へ溢れ出たお湯は、槽の側面や床一面で石灰華を形成しており、黄土色の石灰華と赤黒い部分によって室内には独特な模様が生み出されていました。


 
湯口を拡大してみますと、2段の筒の下段からお湯が吐出されているのですが、筒上段の上には青い配管に接続されている蛇口があり、その色からも想像できるように、蛇口から冷水が注がれ、加水された状態で浴槽へ供給されているのでした。源泉の温度が高いため、加水によって温度を調整しているのでしょう。事実、加水の塩梅がちょうど良く、湯船ではとても心地よい湯加減がキープされていました。なお湯使いは放流式でして、加温循環消毒は一切ありません。

湯船のお湯は前回取り上げた「新清館」と同様に翠色を帯びた黄土色に濁っており、やや翠色が強く表れているようにも見えます。湯中ではお湯の濁りと同様の色をした細かな湯華は無数に舞っており、これによって強く濁っているものと思われます。湯口の傍に置いてあるコップでお湯を口に含んでみますと、金気味や土類味の他、炭酸味や苦味・渋みも感じられ、金気臭もしっかり嗅ぎ取れました。加水されているとはいえ、お湯の鮮度感も濃さも素晴らしく、明るい浴室の大きな湯船で、四肢を伸ばしながら存分に寛ぐことができました。

なお筌の口温泉にはかつてもうひとつ、「震動の湯」と称された第二共同浴場もあったのですが、そちらは残念ながら2012年に閉鎖されてしまったようです。行ってみたかった…。


久大本線・豊後森駅もしくは豊後中村駅より日田バスの牧の戸峠行もしくは九重登山口行で「筌の口(大吊橋前)」バス停下車、徒歩4分(400m)
大分県玖珠郡九重町田野筌の口  地図

24時間営業(ただし水曜21:00~22:00と土曜5:30~8:00は清掃時間)
200円
ロッカー(100円)あり、他備品類なし

私の好み:★★★

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