温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

釈迦内温泉 泉湯

2012年09月10日 | 秋田県
 
真夏の某日、秋田県・大館の温泉公衆浴場である釈迦内温泉「泉湯」を利用してきました。国道7号の沿道には看板が立っており、そこから路地を入ればすぐに辿りつける便利な立地ですので、これまでも秋田~青森間を矢立峠経由で移動する際には何度か利用させてもらっています。


 
玄関には券売機が設置されているので、それで料金を支払って受付のおばちゃんに券を手渡します。玄関正面には男女それぞれの暖簾が掛かっており、その間に置かれているガラスケースには巨大な紫水晶の鉱石が納められています(撮影失念)。釈迦内地区は隣接する花岡地区と同様に地下に黒鉱鉱床を有しているため、昭和30~40年代には鉱石の採掘が行われており、このデカい鉱石はその時代の遺物なのかと思って眺めていたら、石の脇には寄贈者として三菱マテリアル(旧三菱金属鉱業)の名前が記されていました。あれれ? 釈迦内鉱山って日本鉱業系列の会社じゃなかったっけ? 三菱も確かにこの界隈で採掘していたけれども、泉湯からもっと大館駅寄りに位置する松木地区が操業地であり、しかもわずか数年の操業で閉山しちゃったんじゃなかった? 私の貧困な知識と拙い理解力では、なぜここに三菱の鉱石が寄贈されているのかわかりません。どなたかこのあたりの事情を教えてください。

ちなみに受付右手にはフローリングの休憩室があり、6畳ほどのスペースに長椅子やテーブル・灰皿・テレビなどが用意されています。また反対側には大広間もあります。


 
こちらの施設は公衆浴場なのに、内湯と露天の両方を兼ね備えているのであります。まずは内湯から。タイル貼りの清潔な浴室には大きなガラス窓が嵌められており、屋外の光がふんだんに注がれていてとっても明るく気持ち良い環境です。

グレーのタイル貼りの浴槽は、足を伸ばしても8~10人は入れそうなほど余裕のある大きさで、大小2頭のライオンの湯口からやや熱めの源泉が落とされています。といっても大きな方のライオンはほとんど活躍していないようで、私も何度かこちらを利用していますが、大きなライオンの口から何かが吐き出されている光景はいまだかつてお目にかかったことがありません。一方、真上に「飲用」と記されている小さな獅子は、顔面の造作がほとんどわからないほど石膏の析出で真っ白に覆われており、その口いっぱいに源泉が吐き出されています。湯使いは加水加温循環消毒無しの完全掛け流しであり、浴槽を満たしたお湯は切り欠けから常時溢れ出ており、湯船に人が入ると浴槽縁から勢いよくオーバーフローしてゆきます。

ライオンが吐くお湯は、大館界隈では非常によく見られる無色透明タイプの典型的な硫酸塩泉であり、石膏の味や匂いとともにごく僅かな塩味や芒硝的知覚が感じられます。入浴中は引っかかりとツルスベが混在する浴感が得られ、湯中のタイル目地は虹色に輝き、湯面は青白い光を放っていました。また、お湯の鮮度感は抜群でして、硫酸塩泉らしいトロミとキリっとした感触が楽しめました。



洗い場にはオートストップ式のシャワー付き混合水栓が8基設置されています。


 
こちらは露天風呂でして、小さな庭園風の造りとなっており、左右の縁に岩が配された石板貼りの浴槽は6~7人サイズといったところです。まわりをエクステリア建材でしっかり囲っているため、湯船に浸かっちゃうと塀しか目に入ってきませんが、そもそも周囲の建物が近接しているので、塀が無くてもあまり風景が期待できるようなロケーションではありませんし、景色はダメでも外の風はちゃんと当たれますし、その上たった300円であるにもかかわらず庭園風露天風呂を利用できるのですから、むしろありがたく思わないといけないかもしれません。内湯と異なり、こちらの湯口は切株を模したようなコンクり造のもので、直接手で触れないほど激熱の源泉が落とされており、口まわりには白い析出が八の字状に付着して、白いひげを蓄えたような感じになっていました。内湯同様、露天風呂も完全かけながしです。



露天風呂の傍には一人サイズの小さな水風呂があり、今年の夏のようにどうしようもなく暑い陽気の時にここでクールダウンするとメチャクチャ爽快なんですねぇ。こちらのお風呂は内湯も露天も、両方とも熱めの湯加減ですから、暑い日でなくとも、湯船に浸かってのぼせそうになったら、この水風呂で体を思いっきり冷やすと良いかと思います。

よく手入れがなされている明るく綺麗なお風呂で、無色透明でキリリと冴えた硫酸塩泉のお湯に浸かれる、とっても良質な温泉公衆浴場です。


カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉 58.5℃ pH7.8 溶存物質3352.8mg/kg 成分総計3354.1mg/kg
Na+:570.3mg, Ca++:503.4mg,
Cl-:549.3mg, SO4--:1638mg,

秋田県大館市釈迦内中台25-11  地図
0186-45-2101

6:00~21:30(受付は21:00まで)
300円
ロッカー無料・ドライヤー有料(100円)、シャンプーなど販売有

私の好み:★★★


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4 コメント

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Unknown (シド)
2012-09-10 06:51:27
泉好きですね~。
私も暑い時期に訪問したので露天と水風呂をループして
クールダウンした記憶があります。

近くにあれば間違いなく通う浴場だと思います。
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Unknown (K-I)
2012-09-10 22:57:03
こんばんは。
泉湯、いいですよね。鮮度感の良い無色透明の硫酸塩泉は、その魅力にハマると病みつきになっちゃいますね。また、暑い日の湯巡りに水風呂は必須ですね。私は以前は夏でもガンガン温泉をハシゴできたのですが、去年あたりから急に体力低下が著しくなり、途中で水風呂をはさまないと、意識が朦朧としてしまうようになっちゃいました…。

大館周辺はお湯の良い施設があちこちに点在しているので、津軽から東京へ戻る時は、浪岡ICや大鰐弘前ICはパスし、わざわざ矢立峠を越えて大館界隈まで下道を走ってひとっ風呂浴びてから、十和田ICあたりで東北道へ乗るようにしています。
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Unknown (ぽち)
2012-09-16 00:22:01
ここは周辺の濃い湯めぐりの後に来るとほっとする湯ですよね~。
以前あのアメジストに触らせてもらったことがあるのですが、由来までは聞いてきませんでした・・・。
ここも宿泊施設だったらいいのに。
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Unknown (K-I)
2012-09-16 23:20:43
>触らせてもらったことがある
え!、そうなんですか。あの鉱石は、石マニアじゃなくても思わず見てしまう立派なものですよね。

>ここも宿泊施設だったらいいのに
そうですよね。国道沿いですから立地も良いですし。
そういえば、泉湯の近くのラブホは温泉使用らしいのですが、場所的に考えると、ここのお湯と似たような泉質なのかもしれませんね。

大館界隈の宿泊施設といえば、「ぬまだてのゆっこ」に隣接している「ハチのお宿 ぬまだてハイツ」は、かなり廉価にもかかわらず、お部屋は綺麗で備品も一通り揃っており、しかも食事も定食屋さんのようなメニューですがボリューム満点で、チェーンのビジネスホテル以上の快適さと満足度でした。「ぬまだてのゆっこ」の無料入浴券ももらえます(このブログでは未レポですが)。
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