「不動湯温泉 前編(アプローチ・常磐の湯)」の続きです。
※当記事は2012年当時の様子をレポートしたものです。現状とは異なります。2019年4月に再訪した際のレポートはこちらです。
●羽衣の湯
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/29/ff24837ea41d1d6d53e72a60b82b6e6b.jpg)
「常磐の湯」の前から屋外に出て、屋根掛けされた回廊のような長い階段をひたすら下りてゆきます。途中には足腰が弱い方に配慮して休憩用の腰掛けが設けられていますが、確かにお年寄りにとっては辛いかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/13/e1d8df96c87451482d307b6b65b576f4.jpg)
足腰がそれほど衰えていないはずの私も下りている途中でバランスを崩しそうになったのですが、それもそのはず、途中で振り返ってみると、ステップは傾いでおり、柱や梁も随所で撓んでいました。また側面の板が朽ちて地面も露出しており、全体的にかなり草臥れているようでした。でもこれが却って深い味わいを醸し出しているんですよね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/db/e3e1a9d50c4479941bedcddd2b6220d5.jpg)
階段を下りきったところには木板の古い分析表が掲示されていますが、ペンキが一部剥がれていて判読が難しい状態でした。いや、目を凝らせば読めそうですが、よく見てみますと、剥がれている箇所にも文字が隠れていますので、元々の分析表の上を白いペンキで塗りつぶして改めてデータを記し直し、その後上塗りしたペンキが剥がれて下地になっていた元々の文字まで現れてしまったのでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/60/a02aeeec814facaeb1f08a7623b460e5.jpg)
正面が露天、右は「御婦人風呂」(女性専用の内湯)、そして左が「羽衣の湯」。露天は後ほど利用するとして、ここはひとまず左の「羽衣の湯」へ。
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「羽衣の湯」の脱衣室は総木造で「常磐の湯」の2~3倍はあろうかと思われる広さですが、シンプルであることには変わらず、棚にカゴが8つ収められているだけです。まさに湯治宿の風情そのもの。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/3b/3a13b24f15efc411bc00c87c1938f95d.jpg)
浴室は床がスノコ敷き、壁は羽目板で、谷へ開けている方向はガラス窓で眺望を確保しています。
一方山側の壁は、天井に近い部分は同じく板張りですが、その下はモルタル、更に腰壁には岩組みとなっています。天井真上には湯気抜きがあるのですが、天井付近の側壁にも通気のための穴が開けられており、そこには網など外部から侵入するものを遮断するものが設けられていないため虫の侵入を拒むことができませんが、外気も常に入ってくるため半露天風呂のような雰囲気もちょっぴり味わえました。「常磐の湯」と同様シャワーなどはありませんから、備え付けのケロリン桶で湯船のお湯を直接汲んで掛け湯することになります。
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室内の隅には清水を湛える水受けがあり、その周りは美しく苔むしていました。
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総檜の湯船は大小に2分割されており、手前側の小浴槽は1~2人サイズで浅い造り、奥の大きな方は3~4人サイズで一般的な湯船の深さです。槽内側面の穴および側面岩組みの出っ張りから源泉が注ぎ込まれており、そのお湯は無色透明無味無臭の単純泉で、癖が無く滑らかなで優しい感触を有しています。「常盤の湯」や後述する露天風呂より高温ですが、それでも41~2℃程度ですからのぼせるような温度ではありません。もちろん完全かけ流しです。
浴室の戸には「湯舟の中の沈殿物は温泉成分の湯花です」と記されているように、大小双方の湯船の底にはこげ茶色の泥みたいな粒子状のものが沈殿しており、浴槽の上から覗き込むだけでもわかるほど大量に沈んでいるのですが、体を湯船に沈めてお湯が動くとその沈殿が一気に攪拌されて、全身が沈殿物まみれになってしまいました。これって本当に湯の華? 泥だったらどうしましょ…。
●露天風呂
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「羽衣の湯」の前でツッカケに履き替えて屋外に出て、沢が流れる谷へ向かって階段を下りてゆきます。沢のせせらぎが耳にはっきりと入ってくる頃、視界の下方に露天の湯船が見えてきました。ちなみに春になるとこの階段の周りにはカタクリの可憐な花が咲くんだとか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/25/ab4eb0f6799742fb86d45b632e902a66.jpg)
露天風呂は小さな沢が滝のように落ちている所の傍らに設けられていました。脱衣小屋は棚と籠があるだけで至って簡素です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/f1/541797f4b1cc40c8f190717f56bd5b78.jpg)
岩の崖を穿って造られたような露天風呂は2人も入ればいっぱいになっちゃいそうな小さなもので、他の浴室と同様にカランもシャワーもありませんから、備え付けのケロリン桶で掛け湯します。訪問時は湯面に落ち葉がたくさん浮いていたので、傍に置かれていた網で掬ってから入浴させてもらいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/9a/f6aa86c6ad13b61dfaeb89cd1dcc68ab.jpg)
湯口は湯面下にあり、入浴中はその勢いが体に伝わってきます。お湯は薄っすらと青白く濁っており、湯中には白い綿屑のような湯の華が沢山浮遊しています。泉質としては硫黄泉なんだそうでして、タマゴ感と砂消しゴム感をたして2で割ったような味と匂いが感じられ、更には石膏っぽい甘味も有しているようでした。湯使いは完全かけ流しで湯温は40℃くらいでややぬるく、夏場ですととっても爽快かと想像されますが、山が冬の装いを纏いはじめていたこの日は湯あがりにちょっと寒さをおぼえてしまいました。
目の前を沢が流れ周囲を原生林に抱かれるとってもワイルドな環境ですが、細い谷の間にひっそりと佇む露天風呂なので、開放感や豪快といった趣向とは逆ベクトルの、谷に隠れて人知れず密かに湧く秘湯と表現すべきロケーションですね。
●「御婦人風呂」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/bf/973ee7a07939e3c4f872e9411dcc1b87.jpg)
女性専用の内風呂「御婦人風呂」は、文字通り女性限定のお風呂ですが、どなたもいらっしゃらなかったので、ちょこっと見学させていただきました。2つの混浴内湯とは異なり、総木造ながらこちらはとっても綺麗です。改修されたばかりなのでしょうね。脱衣室にはちゃんとドライヤーも用意されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/39/71f79acd1923f2e44131c84811587839.jpg)
沢に面して大きなガラス窓が嵌められている浴室には四角い木の浴槽が据えられ、無色透明のお湯が絶え間なく注がれていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/cb/0ada4f5ed7af70c0d510c06d35b27fbd.jpg)
シャワー付混合水栓が2基も設置されているのも、他の浴室とは違う点ですね。デリケートな方が多い女性のお客さんも、他の内湯の利用にちょっと躊躇いを感じたとしても、こちらのお風呂でしたら気持ちよく利用できますね。
福島県福島市土湯温泉町字大笹 地図
024-595-2002
ホームページ
冬季休業(2013年は1月6日~3月末まで休業)
日帰り入浴10:00~15:00
※2016年から日帰り入浴施設として再出発しました。営業時間10:00~17:00、土・日・祝のみ営業。ただし冬季は休業。営業期間などについては公式サイトをご覧ください。
500円
シャンプー類は内湯にあり、ドライヤーは「御婦人風呂」にあり、他備品類なし
私の好み:★★
※当記事は2012年当時の様子をレポートしたものです。現状とは異なります。2019年4月に再訪した際のレポートはこちらです。
●羽衣の湯
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「常磐の湯」の前から屋外に出て、屋根掛けされた回廊のような長い階段をひたすら下りてゆきます。途中には足腰が弱い方に配慮して休憩用の腰掛けが設けられていますが、確かにお年寄りにとっては辛いかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/13/e1d8df96c87451482d307b6b65b576f4.jpg)
足腰がそれほど衰えていないはずの私も下りている途中でバランスを崩しそうになったのですが、それもそのはず、途中で振り返ってみると、ステップは傾いでおり、柱や梁も随所で撓んでいました。また側面の板が朽ちて地面も露出しており、全体的にかなり草臥れているようでした。でもこれが却って深い味わいを醸し出しているんですよね。
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/db/e3e1a9d50c4479941bedcddd2b6220d5.jpg)
階段を下りきったところには木板の古い分析表が掲示されていますが、ペンキが一部剥がれていて判読が難しい状態でした。いや、目を凝らせば読めそうですが、よく見てみますと、剥がれている箇所にも文字が隠れていますので、元々の分析表の上を白いペンキで塗りつぶして改めてデータを記し直し、その後上塗りしたペンキが剥がれて下地になっていた元々の文字まで現れてしまったのでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/60/a02aeeec814facaeb1f08a7623b460e5.jpg)
正面が露天、右は「御婦人風呂」(女性専用の内湯)、そして左が「羽衣の湯」。露天は後ほど利用するとして、ここはひとまず左の「羽衣の湯」へ。
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/9a/2360348db4bc0296a7e75abfed57853a.jpg)
「羽衣の湯」の脱衣室は総木造で「常磐の湯」の2~3倍はあろうかと思われる広さですが、シンプルであることには変わらず、棚にカゴが8つ収められているだけです。まさに湯治宿の風情そのもの。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/28/770f0204722b2f66def879ce9a12a588.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/3b/3a13b24f15efc411bc00c87c1938f95d.jpg)
浴室は床がスノコ敷き、壁は羽目板で、谷へ開けている方向はガラス窓で眺望を確保しています。
一方山側の壁は、天井に近い部分は同じく板張りですが、その下はモルタル、更に腰壁には岩組みとなっています。天井真上には湯気抜きがあるのですが、天井付近の側壁にも通気のための穴が開けられており、そこには網など外部から侵入するものを遮断するものが設けられていないため虫の侵入を拒むことができませんが、外気も常に入ってくるため半露天風呂のような雰囲気もちょっぴり味わえました。「常磐の湯」と同様シャワーなどはありませんから、備え付けのケロリン桶で湯船のお湯を直接汲んで掛け湯することになります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/7f/670f44b7b44709033ed449a42b4a3178.jpg)
室内の隅には清水を湛える水受けがあり、その周りは美しく苔むしていました。
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総檜の湯船は大小に2分割されており、手前側の小浴槽は1~2人サイズで浅い造り、奥の大きな方は3~4人サイズで一般的な湯船の深さです。槽内側面の穴および側面岩組みの出っ張りから源泉が注ぎ込まれており、そのお湯は無色透明無味無臭の単純泉で、癖が無く滑らかなで優しい感触を有しています。「常盤の湯」や後述する露天風呂より高温ですが、それでも41~2℃程度ですからのぼせるような温度ではありません。もちろん完全かけ流しです。
浴室の戸には「湯舟の中の沈殿物は温泉成分の湯花です」と記されているように、大小双方の湯船の底にはこげ茶色の泥みたいな粒子状のものが沈殿しており、浴槽の上から覗き込むだけでもわかるほど大量に沈んでいるのですが、体を湯船に沈めてお湯が動くとその沈殿が一気に攪拌されて、全身が沈殿物まみれになってしまいました。これって本当に湯の華? 泥だったらどうしましょ…。
●露天風呂
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「羽衣の湯」の前でツッカケに履き替えて屋外に出て、沢が流れる谷へ向かって階段を下りてゆきます。沢のせせらぎが耳にはっきりと入ってくる頃、視界の下方に露天の湯船が見えてきました。ちなみに春になるとこの階段の周りにはカタクリの可憐な花が咲くんだとか。
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露天風呂は小さな沢が滝のように落ちている所の傍らに設けられていました。脱衣小屋は棚と籠があるだけで至って簡素です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/07/03e716b663035e874e9992892ab80a17.jpg)
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岩の崖を穿って造られたような露天風呂は2人も入ればいっぱいになっちゃいそうな小さなもので、他の浴室と同様にカランもシャワーもありませんから、備え付けのケロリン桶で掛け湯します。訪問時は湯面に落ち葉がたくさん浮いていたので、傍に置かれていた網で掬ってから入浴させてもらいました。
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湯口は湯面下にあり、入浴中はその勢いが体に伝わってきます。お湯は薄っすらと青白く濁っており、湯中には白い綿屑のような湯の華が沢山浮遊しています。泉質としては硫黄泉なんだそうでして、タマゴ感と砂消しゴム感をたして2で割ったような味と匂いが感じられ、更には石膏っぽい甘味も有しているようでした。湯使いは完全かけ流しで湯温は40℃くらいでややぬるく、夏場ですととっても爽快かと想像されますが、山が冬の装いを纏いはじめていたこの日は湯あがりにちょっと寒さをおぼえてしまいました。
目の前を沢が流れ周囲を原生林に抱かれるとってもワイルドな環境ですが、細い谷の間にひっそりと佇む露天風呂なので、開放感や豪快といった趣向とは逆ベクトルの、谷に隠れて人知れず密かに湧く秘湯と表現すべきロケーションですね。
●「御婦人風呂」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/bf/973ee7a07939e3c4f872e9411dcc1b87.jpg)
女性専用の内風呂「御婦人風呂」は、文字通り女性限定のお風呂ですが、どなたもいらっしゃらなかったので、ちょこっと見学させていただきました。2つの混浴内湯とは異なり、総木造ながらこちらはとっても綺麗です。改修されたばかりなのでしょうね。脱衣室にはちゃんとドライヤーも用意されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/78/38fd4b530e293af60f2d25503e707f40.jpg)
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沢に面して大きなガラス窓が嵌められている浴室には四角い木の浴槽が据えられ、無色透明のお湯が絶え間なく注がれていました。
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シャワー付混合水栓が2基も設置されているのも、他の浴室とは違う点ですね。デリケートな方が多い女性のお客さんも、他の内湯の利用にちょっと躊躇いを感じたとしても、こちらのお風呂でしたら気持ちよく利用できますね。
福島県福島市土湯温泉町字大笹 地図
024-595-2002
ホームページ
冬季休業(2013年は1月6日~3月末まで休業)
※2016年から日帰り入浴施設として再出発しました。営業時間10:00~17:00、土・日・祝のみ営業。ただし冬季は休業。営業期間などについては公式サイトをご覧ください。
500円
私の好み:★★
東北の温泉といえばやっぱり湯治宿風情ですよね。
>絶妙な表現
あはは(汗)。ボキャブラリが貧相なのでわかりにくい表現になってしまい、申し訳ありません。