温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

高湯温泉 安達屋旅館

2013年02月15日 | 福島県

前回までの日光湯元(及び中禅寺)に引き続き、今回からも白濁のお湯を巡ってまいります。といっても今度は皆様御存知の福島県高湯温泉であり、その中でも有名な施設が連続しますので、百戦錬磨の皆様には新鮮味に欠ける内容となることに間違いありませんが、どうかお付き合いの程を。
まずは福島駅西口から路線バスに乗車します。この日の福島市街地は積雪ゼロでしたが、当然ながら山へ近づくにつれ次第に車窓は白くなってゆき、その白さと反比例するように乗客は漸減して、結果的には私一人になってしまいました。
そんな道中の、果物即売所が集まって坂道の勾配がきつくなりはじめる辺りで、バスは停留所でも何でもない単なる路側帯に止まりました。どうしたのかと小首を傾げていると、その場で待機していた作業着姿のお爺ちゃん二人がスピーディーな手つきで後輪にチェーンを装着し、作業が終わるとふたりともバスに乗り込むではありませんか。お爺ちゃん達は終点まで往復し、バスが再び市街地へ戻る際には同じ路側帯でチェーンを外して、お二人もそこで一緒に降り次の高湯行のバスを待つのでありました。



今回は高湯バス停の目の前にある「安達屋旅館」にて立ち寄り入浴です。
あまりに有名なお宿ですので今まで意図的に訪問を避けていたのですが、白濁の硫黄湯で雪見風呂したい欲求には勝てなくなり、この期に及んでようやく初訪問となりました。


 
帳場回りといい囲炉裏のあるラウンジといい、いかにも現代的な落ち着いた和風テイストの強い民芸調の趣きですね。女性受けしそうな感じです。



とっても丁寧な女将さんが対応してくださいました。帳場で料金を支払うとこのような入浴券が手渡されます。券面には5分刻みで入館時刻と退館時刻が記され、駅の改札みたいなスタンパーが捺されました。日帰り入浴は1時間厳守なんですね。高湯という人気温泉地で時間制限を設けるのは仕方のないことですし、そもそも旅館は宿泊客を大切にすることが第一であり、日帰り客でお風呂場が占められちゃうようなことになっては本末転倒なわけですから、分刻みはちょっとシビアかもしれませんが、事情を察すれば合理的な施策であると理解したいところです。なお「ロッカーは無いので貴重品は車に入れておいてください」とのことでしたが、路線バスでやってきた私に車は無いので、この時は持参しておいた防水袋に財布などを入れてお風呂場へ持ち歩くことにしました。


●不動の湯(男湯内湯)
こちらのお風呂は男女別貸切の「薬師の湯」、内湯、露天「大気の湯」の3エリアに分かれているそうですが、「薬師の湯」に関しては日帰り利用できるか分からず時間的にも難しかったので今回はパスし、内湯と露天を利用することにしました。帳場の前の階段で2階へ上がり、廊下を進んだ突き当たりが浴室です。脱衣室は鰻の寝床のように奥へ細長い作りで、人気旅館らしくとても綺麗な状態が保たれていましたが、少人数での利用を想定しているのか用意されている棚や籠の数は少なめ。脱衣室と浴室を隔てる壁の一部に、椿を描いたステンドグラスが嵌められていたのが心に残りました。


 
石材敷きの浴室には湯気とともに高湯らしい硫黄の匂いが立ち込めています。洗い場にはシャワー付き混合水栓が3基され、意匠に凝ったパーテーションによってそれぞれがセパレートされていました。



横幅1間、奥行き2間強といった寸法の長方形をした石材造りの浴槽。青白い乳白色に濁るお湯が張られています。浴槽縁は硫黄ですっかり白く染まっていました。


 
水瓶を肩に担ぐ女神像の台座から源泉が注がれています。椿のステンドグラスやこの女神像など、この内湯ではデザインコンセプトは昭和の洋館を思わせるような和洋折衷的な趣向が印象に残ります。浴槽のお湯は壁側へ溢れ出ており、しっかりと放流式の湯使いが実践されています。お湯からは高湯のお湯らしい酸味収斂が感じられ、キシキシとスベスベが混在する浴感が得られました。


●大気の湯(露天)
 
続いて露天風呂「大気の湯」へ。
幸いなことに訪問時はどなたもいらっしゃらず、ひたすら独占できました。
内湯から屋外へ出て、上半身を襲う寒さと足の裏を攻撃する冷たさに堪えながら、女湯内湯の裏手に当たる細長い通路を歩いてゆきます。庭園の中に設けられた奥行きの長い池のような露天風呂。初めのほうは浅く狭いので、入浴には適さず殆ど通路のような状態でした。


 
寝湯や打たせ湯などバラエティに富んだ温浴設備類。


 

洞窟風呂もあって非日常的な高揚感をより一層盛り上げてくれます。カップルで篭ってみたり、子供が探検気分を味わってみたり…。いろんな楽しみ方がありそうですね。洞窟内には湯口があり、その周辺は真っ黄色に染まっていました。


 
 
露天の一番奥が最も広くて深さも入浴に最適。でも槽内の所々に岩が飛び出ており、白濁したお湯ではその様子が全くわからないので、躓かないように要注意です(間抜けな私は何度かコケて親指をぶつけて痛い思いをしまいました)。
2本の湯口から絶え間なく源泉が注がれ、湯船に美しく乳白色に濁るお湯を湛えていました。ぬるめの湯加減なのでいつまででも浸かっていられますが、時間制限がありますのでギリギリまでこの露天で雪見風呂を堪能してから退館させていただきました。水墨画のようなモノトーンの世界に佇んでいると、浮世の憂さをすっかり忘却してしまい、時間感覚すらも麻痺してしまって、一時間なんてあっという間に過ぎちゃいますね…。


湯花沢3番・5番・6番合併
酸性-含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩温泉(硫化水素型) 45.0℃ pH2.8 溶存物質1069mg/kg 成分総計1115mg/kg
H+:1.6mg, Na+:58.1mg, Mg++:23.3mg, Ca++:83.8mg, Al+++:25.1mg, Fe++:0.5mg,
Cl-:50.5mg, HS-:0.0ng, SO4--:595.7mg, HSO4-:31.8mg,
H2SiO3:167.8mg, CO2:41.3mg, H2S:4.7mg,

福島駅西口から福島交通の路線バス高湯温泉行で高湯下車すぐ
福島県福島市町庭坂字高湯21
024-591-1155
ホームページ

日帰り入浴10:00~13:00
700円(1時間)
貴重品は自己管理、シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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