温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

志賀来温泉 およねの湯 沢内バーデン

2020年04月14日 | 岩手県

今回も岩手県西和賀町の温泉を巡ります。
前回記事の槻沢温泉から更に北上し、志賀来山という山の麓にやってまいりました。お椀をさかさまにしたような形をしているこの山にはスキー場が広がっているのですが、麓では温泉が湧いており、そのお湯に入れる宿泊施設「沢内バーデン」を利用するためこちらへと足を運んだのでした。
こちらは2棟がつながった構造をしており、左側が温泉、右側がレストランになっています。そして同じ敷地内の手前には老人福祉施設も設けられています


錐形の屋根が印象的なロビーは天井が高くて広いのですが、どことなく田舎臭いような、平成初期の中小規模レジャー施設に見られたような少々古い感じが否めません。館内の印象のみならず、そこで働くスタッフの方の姿もやっぱりアナクロ的と申しましょうか、フロントで対応して下さる女性スタッフは、昭和の事務職員みたいな制服を纏っていらっしゃいました。この方に日帰り入浴したい旨と県外から来たことを伝え、料金を直接支払います。ロビー内の物販コーナーを抜けた先がお風呂です。なお浴場入口の手前には螺旋階段がありますが、そこを登った先にあるのは有料の休憩スペースです。


暖簾を潜った先の脱衣室も広い空間が確保されています。室内には畳が敷かれた休憩用小上がりが用意されています。私の利用時はどなたもいらっしゃいませんでしたが、普段でしたらおそらくここで常連のおじいさんが横になって、皺々の股間にタオル一枚かけて歯ぎしりをしながら風呂上がりの体を休めているのでしょう。なおこちらに設置されているロッカーは大きなタイプのものですから大きな荷物を持ちながらの利用も支障ありません。その一方、洗面台に備え付けられているドライヤーは1台のみでした。


脱衣室の大きさから容易に想像できるように、浴室もまた大変広く、大きな連続窓のおかげで明るく開放的な入浴環境が生み出されています。私のように初めて訪問する客は、その広さ故に戸惑い、どこからどう利用したらよいのか、ちょっと迷ってしまうでしょう。


大きな窓と反対側の壁に沿って洗い場が配置されています。入口を挟んで左右に分かれており、5+8の計13個のシャワー付きカランが並んでいます。なおシャワーから出てくるお湯はおそらくボイラーの沸かし湯です。


浴室内には後述する主浴槽と、上画像に写っている副浴槽の2つがあり、最も奥にあるこの副浴槽は幅1.8m×奥行4mほどの大きさで、深めの造りで入り応えあり。なお湯加減はぬるめにセッティングされていましたので、長湯したい人にはもってこいでしょう。


一方、場内の中央に据えられた主浴槽は大小2つに区分されており、小さな方は1.8m×3mほどの大きさでちょっと熱めの湯加減。他方、大きな槽はおおよそ6m×3mの大きさで万人受けする湯温に調整されていました。両方とも若干深めの造りで肩までしっかり湯に浸かることができ、副浴槽同様に入り応えがあります。


このお風呂で面白いのが、場内の片隅に設けられている上画像の源泉サウナ。温泉を霧状に噴霧させることにより、狭い室内に温泉の湯気を充満させているのです。いわゆるミストサウナですね。特段温泉の匂いが漂っているわけではないので、温泉だと言われないと単なるミストサウナとしか認識できないかもしれません。また一般的なミストサウナに比べると温度がやや低いような気もします。でもその分、体への負担は軽いので、誰でも気軽に使えますね。自分の全身や呼吸器内に温泉を思う存分浸透させることができるので、温泉マニアとしては嬉しい設備です。


浴室右奥のドアを開けた先には、露天風呂が設けられていました。この露天風呂はベランダみたいな場所に作られており、屋根もしっかりかかっています。当地は豪雪地帯ですから、冬に雪で埋もれないようにするための設計なのでしょう。とはいえ、訪問時(外気温8℃)は非常にぬるく、正直湯浴みできるような状態ではありませんでした。湯口から出るお湯は熱いのですが、投入量が多くないので、湯船で冷めちゃうのでしょう。でも目の前には山肌の樹林が広がっているので、夏には森林浴を兼ねながら気持ち良く入浴を楽しむことができそうです。




上2枚の画像はそれぞれ浴室内の大小各浴槽に温泉を注いでいる湯口です。いずれも同じ源泉のお湯を吐出しています。お湯は無色透明で綺麗に澄んでおり、湯の花などの浮遊物は見当たりません。分析表によれば石膏を多く含んでおり、無色透明の硫酸塩泉にしては溶存物質量もそこそこ多いのですが、特段石膏感が強いわけではなく、神経を研ぎ澄ますと石膏らしい匂いと味が感じられます。なお館内表示によれば塩素消毒しているとのことですが、私の感覚では特に気になりませんでした(私の感覚は鈍感なので、あまりアテにしないでくださいね)。湯船に入ると、硫酸塩泉らしい引っかかるような浴感が得られるのですが、そればかりではなく、サラっとアッサリしているような感覚も同時に肌へ伝わってきました。
各浴槽とも循環は行われておらず、全量をかけ流しています。お湯は常時浴槽縁付近のグレーチングへ静々とオーバーフローしているのですが、私が湯船に入ると勢いを増して溢れ、グレーチングだけでは排水処理が間に合わず、洗い場までお湯が流れていきました。

建物もお風呂もひと昔前の公共施設然とした造りで、温泉風情のようなものは薄いのですが、大きく開放的でお湯の質も良く、しかも人里から離れている立地ゆえに空いていることも多いようなので、宿泊の地としても日帰り入浴利用の場合も、穴場としておすすめできるかと思います。


カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 60℃ pH8.4 溶存物質1.906g/kg 成分総計1.907g/kg
Na+:221.3mg(36.63mval%), Ca++:331.9mg(62.99,mval%),
Cl-:37.1mg(3.82mval%), HS-:0.3mg, SO4--:1244mg(94.32mval%), CO3--:4.5mg,
H2SiO3:47.4mg,
(平成25年8月1日)
加水加温循環ろ過なし
消毒あり(衛生管理のため塩素剤を使用)

岩手県和賀郡西和賀町大野17-140
0197-85-2601
ホームページ

日帰り入浴10:00~21:30 第3水曜定休
440円
ロッカーあり(有料100円。ただし大きなロッカーのみ。貴重品はフロント預かり)、シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント
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