拙ブログでは約10年ぶりに神奈川県湯河原温泉を取り上げます。
今年の春の某日、私は電車に乗って久しぶりに湯河原へ向かいました。というのも、当地に今年(2019年)1月に新しい温泉入浴施設がオープンしたらしく、しかも源泉かけ流しを謳っているので、是非とも行ってみたかったのです。
駅構内にある観光案内所で自転車を借り、温泉街へ向かって漕ぎ出すこと数分で現地に到着しました。
場所は湯河原温泉街よりかなり手前の駅寄りで、千歳川に面しており、西村京太郎記念館が隣接しています。駅前から温泉街へ伸びるバス通りからアクセスする場合は、まずコンビニ(ミニストップ)の駐車場を通り抜けてマンションの裏手に出ることになるので、ちょっとわかりにくいかもしれません。また、上述のように私はレンタサイクルで行きましたが、車の場合はコンビニと共用の駐車場を利用することになり、台数も決して多くないので、そのあたりも少々注意を要するかもしれません。
平屋の黒くてシックなファサードはいかにも当世風。コンパクトながらバリアフリーにも配慮された玄関を入ると、右前方に受付が設けられています。こちらの施設では大浴場のほか、個室の貸切風呂や泥パックサウナやハーブテントなどを利用できるため、入館時に利用したいサービスを選択するのですが、初めての私はよくわからなかったため、スタッフの方にお風呂だけ入りたい旨を告げたところ、LINEで友達登録すると料金がかなり割り引かれると教えてくれました。そこでバッグからスマホを取り出し、受付の前でLINEを起動して実際に友達登録したところ、通常でしたら1500円+税金などで1700円近くになる入浴料が、なんと500円も引かれて1200円になったではありませんか。従いまして、本施設をご利用の際は、是非スマホをご持参くださいね。
さて、受付で下駄箱のカギと引き換えに、ロッカーキーと大小のレンタルタオルを一枚ずつを受け取ります(タオルは専用のバッグに入っています)。なお歯ブラシやカミソリ、ブラシなどの各種アメニティは受付でもらえます。大浴場は1階受付のすぐ目の前。受付カウンターの右が女湯、左が男湯です。
オープンしてまだ間もない施設ですからどこもかしこもピッカピカ。脱衣室は黒基調でシック。洗面台は綺麗ですし、ドライヤーも複数台備え付けられ、コットンパフや綿棒など各種アメニティーもしっかり用意されています。ロッカーは正方形や長方形などいろんな形状があるのですが、それぞれ大きく使いやすいので、ストレスを感じません。総じて清潔感があり、使い勝手も良好です。
外観が決して大きくないことからも想像がつきますが、浴場はあまり大きくありません。限られたスペースの中に複数の浴槽をギュッと凝縮して設えた感じがします。
浴室に入ってまず目に入ってくるのが、上画像のかけ湯と立って使うシャワーです。かけ湯の桝には温泉が張られており、湯口から温泉がチョロチョロと滴り落とされているのですが、本記事の結論から先に申し上げてしまうと、このかけ湯のお湯は、他の浴槽と比べると、温泉としての状態が最も良かったかもしれません。
洗い場にはシャワー付きカランが4基設置されており、各ブースが袖板でセパレートされています。カランはデザイン性の高いものが採用されており、アメニティーもそこそこ高そうな品が用意されていて、そこはかとなくラグジュアリ感を醸し出しています。なおカランから出てくるお湯は真湯です。
内湯にはふたつの浴槽があり、手前の小さな槽は水風呂、奥は循環している温泉に炭酸ガスを溶かした炭酸風呂です。両浴槽とも伊豆青石でつくられており、肌に触れた時の滑らかな感触が寛ぎに一役買っています。
館内の説明によればこの炭酸風呂は湯河原で初めて導入されたものなんだとか。せっかく歴史ある温泉地なのに、お湯の質ではなく炭酸を売りにするのはいかがなものかと首を傾げてしまいましたが、何はともあれ35~6℃というぬるいこのお風呂に入ると、体の副交感神経が優位になり、また炭酸の気泡のよる効果も相俟って、自分の屁理屈など忘れてしまうほどリラックスできました。
内湯からガラスの戸を出ると半露天状態の休憩スペースが設けられ、ベンチがたくさん並べられていました。一般論として、温泉の湯船に浸かっていると体がよく温まって火照るため、湯船から上がってちょっとクールダウンしたくなりますよね。施設によっては休憩できるスペースが全くないお風呂もありますが、こちらの施設は上述のように大浴場のスペースは限られているものの、きちんと休憩用の空間を確保しようと頑張っていらっしゃるので、その発想は立派だと思います。
半露天の休憩スペースを抜けると露天風呂です。
千歳川沿いの道路に面しているため、四方を塀や壁に囲まれており開放感に乏しいのですが、塀越しに川向こうの山の緑を眺められ、空も仰げますから、風と四季を感じながら湯あみを楽しむことができるでしょう。また完全に塀で囲わず、その一部に曇りガラスをはめ込むことにより、閉塞感を払拭しながら明かり採りも兼ねているようでした。
浴槽はL字型。手前側(建物側)の長辺は約4メートル。一方、建物と直角を為す辺の奥行は約3メートル。いずれの辺も幅は1.5mほどです。内湯と同じく浴槽は伊豆青石でつくられています。
湯口からお湯が滔々と落されていましたが、そのお湯は適温より若干低かったように記憶しています。露天風呂の浴槽内には投入口と吸入口がそれぞれ2つずつあり、投入口からはちょっと熱めのお湯が投入されていましたから、湯面の上と下の両方から供給することで湯温を保っているのでしょう。なお吸入口からもお湯がしっかり吸い込まれていました。お湯の排出に関してはこの吸入口のほか、浴槽ステップ部の切り欠けからもオーバーフローがありますので、湯使いとしてはおそらく循環と放流式の併用ではないかと想像されます。なお湯加減は42℃前後でした。
こちらに引かれている温泉は、土肥地区に供給されている混合泉です。湯河原では貯湯および配湯施設をサービランスと称しており、土肥地区のサービランスは貯湯槽1基(300t)、土肥地区配湯設備(配湯先45件)、宮上第2地区配湯設備(配湯先62件)という構成になっているんだとか。詳しくは湯河原町公式サイト「温泉施設紹介」のページをご覧ください。つまり、この施設は土肥サービランスの配湯先の一つなんですね。
お湯の特徴としては無色透明無味無臭と言っても差し支えないほど掴みどころに乏しいのですが、上述のように掛け湯のお湯が最も感触が良く、石膏の感覚があり、また微かな塩味も得られます。いや、それどころか湯船に浸かっているうちにガツンと力強く火照り、いつの間にやら温泉パワーにすっかり逆上せそうになりました。薄くて特徴のないお湯かと思いきや、裡に秘めたる実力は相当なもの。なめてかかってはいけません。
なお館内表示によれば消毒処理を実施しているようですが、特に消毒臭は気になりませんでした。一方、露天風呂について、館内表示などでは掛け流しを謳っていますが、実際には放流式と循環式の併用かと思われ、純粋な掛け流しとは言い難いので、そのあたりの表記には少々戸惑いを覚えます。もしかしたら今回利用しなかった貸切風呂は完全掛け流しなのかな?
(本記事投稿後にコメント欄にて、このお風呂に入られた方から「完全掛け流しと思われた」との情報をいただきました。その時々によって湯使いを変えているのかもしれません)
料金設定が高いために週末でも混雑は起こりにくそうですし、何よりも館内が綺麗で使い勝手が良いので、湯河原でのんびり日帰り入浴して寛ぎたい方にはもってこいかもしれません。朝から深夜まで営業時間帯が長いものありがたいですね。今回の記事では取り上げなかった泥パックサウナやハーブテントなども面白そうです。
混合泉(土肥サービランス)
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 59.6℃ pH8.3 蒸発残留物1.591g/kg 成分総計1.596g/kg
Na+:388mg, Ca++:117mg,
Cl-:573mg, Br-:1.69mg, SO4--:332mg, HCO3-:42.9mg,
H2SiO3:99.0mg, HBO2:8.72mg,
(平成22年3月12日)
加水あり(入浴に適した湯温に調整するため)
加温あり(入浴に適した湯温を保つため)
循環あり
露天:消毒なし、内湯:消毒あり
JR東海道本線・湯河原駅より徒歩17分、もしくは不動滝・奥湯河原行バスで「小学校前」下車徒歩3~4分(路線バスは箱根登山バスと伊豆箱根バスの共同運行)
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上42-15
7:00~23:00(最終入館受付 22:00)
ホームページ
入浴1500円+消費税(レンタルタオル付)
その他の料金については公式サイトをご参照ください。
私の好み:★★
今年の春の某日、私は電車に乗って久しぶりに湯河原へ向かいました。というのも、当地に今年(2019年)1月に新しい温泉入浴施設がオープンしたらしく、しかも源泉かけ流しを謳っているので、是非とも行ってみたかったのです。
駅構内にある観光案内所で自転車を借り、温泉街へ向かって漕ぎ出すこと数分で現地に到着しました。
場所は湯河原温泉街よりかなり手前の駅寄りで、千歳川に面しており、西村京太郎記念館が隣接しています。駅前から温泉街へ伸びるバス通りからアクセスする場合は、まずコンビニ(ミニストップ)の駐車場を通り抜けてマンションの裏手に出ることになるので、ちょっとわかりにくいかもしれません。また、上述のように私はレンタサイクルで行きましたが、車の場合はコンビニと共用の駐車場を利用することになり、台数も決して多くないので、そのあたりも少々注意を要するかもしれません。
平屋の黒くてシックなファサードはいかにも当世風。コンパクトながらバリアフリーにも配慮された玄関を入ると、右前方に受付が設けられています。こちらの施設では大浴場のほか、個室の貸切風呂や泥パックサウナやハーブテントなどを利用できるため、入館時に利用したいサービスを選択するのですが、初めての私はよくわからなかったため、スタッフの方にお風呂だけ入りたい旨を告げたところ、LINEで友達登録すると料金がかなり割り引かれると教えてくれました。そこでバッグからスマホを取り出し、受付の前でLINEを起動して実際に友達登録したところ、通常でしたら1500円+税金などで1700円近くになる入浴料が、なんと500円も引かれて1200円になったではありませんか。従いまして、本施設をご利用の際は、是非スマホをご持参くださいね。
さて、受付で下駄箱のカギと引き換えに、ロッカーキーと大小のレンタルタオルを一枚ずつを受け取ります(タオルは専用のバッグに入っています)。なお歯ブラシやカミソリ、ブラシなどの各種アメニティは受付でもらえます。大浴場は1階受付のすぐ目の前。受付カウンターの右が女湯、左が男湯です。
オープンしてまだ間もない施設ですからどこもかしこもピッカピカ。脱衣室は黒基調でシック。洗面台は綺麗ですし、ドライヤーも複数台備え付けられ、コットンパフや綿棒など各種アメニティーもしっかり用意されています。ロッカーは正方形や長方形などいろんな形状があるのですが、それぞれ大きく使いやすいので、ストレスを感じません。総じて清潔感があり、使い勝手も良好です。
外観が決して大きくないことからも想像がつきますが、浴場はあまり大きくありません。限られたスペースの中に複数の浴槽をギュッと凝縮して設えた感じがします。
浴室に入ってまず目に入ってくるのが、上画像のかけ湯と立って使うシャワーです。かけ湯の桝には温泉が張られており、湯口から温泉がチョロチョロと滴り落とされているのですが、本記事の結論から先に申し上げてしまうと、このかけ湯のお湯は、他の浴槽と比べると、温泉としての状態が最も良かったかもしれません。
洗い場にはシャワー付きカランが4基設置されており、各ブースが袖板でセパレートされています。カランはデザイン性の高いものが採用されており、アメニティーもそこそこ高そうな品が用意されていて、そこはかとなくラグジュアリ感を醸し出しています。なおカランから出てくるお湯は真湯です。
内湯にはふたつの浴槽があり、手前の小さな槽は水風呂、奥は循環している温泉に炭酸ガスを溶かした炭酸風呂です。両浴槽とも伊豆青石でつくられており、肌に触れた時の滑らかな感触が寛ぎに一役買っています。
館内の説明によればこの炭酸風呂は湯河原で初めて導入されたものなんだとか。せっかく歴史ある温泉地なのに、お湯の質ではなく炭酸を売りにするのはいかがなものかと首を傾げてしまいましたが、何はともあれ35~6℃というぬるいこのお風呂に入ると、体の副交感神経が優位になり、また炭酸の気泡のよる効果も相俟って、自分の屁理屈など忘れてしまうほどリラックスできました。
内湯からガラスの戸を出ると半露天状態の休憩スペースが設けられ、ベンチがたくさん並べられていました。一般論として、温泉の湯船に浸かっていると体がよく温まって火照るため、湯船から上がってちょっとクールダウンしたくなりますよね。施設によっては休憩できるスペースが全くないお風呂もありますが、こちらの施設は上述のように大浴場のスペースは限られているものの、きちんと休憩用の空間を確保しようと頑張っていらっしゃるので、その発想は立派だと思います。
半露天の休憩スペースを抜けると露天風呂です。
千歳川沿いの道路に面しているため、四方を塀や壁に囲まれており開放感に乏しいのですが、塀越しに川向こうの山の緑を眺められ、空も仰げますから、風と四季を感じながら湯あみを楽しむことができるでしょう。また完全に塀で囲わず、その一部に曇りガラスをはめ込むことにより、閉塞感を払拭しながら明かり採りも兼ねているようでした。
浴槽はL字型。手前側(建物側)の長辺は約4メートル。一方、建物と直角を為す辺の奥行は約3メートル。いずれの辺も幅は1.5mほどです。内湯と同じく浴槽は伊豆青石でつくられています。
湯口からお湯が滔々と落されていましたが、そのお湯は適温より若干低かったように記憶しています。露天風呂の浴槽内には投入口と吸入口がそれぞれ2つずつあり、投入口からはちょっと熱めのお湯が投入されていましたから、湯面の上と下の両方から供給することで湯温を保っているのでしょう。なお吸入口からもお湯がしっかり吸い込まれていました。お湯の排出に関してはこの吸入口のほか、浴槽ステップ部の切り欠けからもオーバーフローがありますので、湯使いとしてはおそらく循環と放流式の併用ではないかと想像されます。なお湯加減は42℃前後でした。
こちらに引かれている温泉は、土肥地区に供給されている混合泉です。湯河原では貯湯および配湯施設をサービランスと称しており、土肥地区のサービランスは貯湯槽1基(300t)、土肥地区配湯設備(配湯先45件)、宮上第2地区配湯設備(配湯先62件)という構成になっているんだとか。詳しくは湯河原町公式サイト「温泉施設紹介」のページをご覧ください。つまり、この施設は土肥サービランスの配湯先の一つなんですね。
お湯の特徴としては無色透明無味無臭と言っても差し支えないほど掴みどころに乏しいのですが、上述のように掛け湯のお湯が最も感触が良く、石膏の感覚があり、また微かな塩味も得られます。いや、それどころか湯船に浸かっているうちにガツンと力強く火照り、いつの間にやら温泉パワーにすっかり逆上せそうになりました。薄くて特徴のないお湯かと思いきや、裡に秘めたる実力は相当なもの。なめてかかってはいけません。
なお館内表示によれば消毒処理を実施しているようですが、特に消毒臭は気になりませんでした。一方、露天風呂について、館内表示などでは掛け流しを謳っていますが、実際には放流式と循環式の併用かと思われ、純粋な掛け流しとは言い難いので、そのあたりの表記には少々戸惑いを覚えます。もしかしたら今回利用しなかった貸切風呂は完全掛け流しなのかな?
(本記事投稿後にコメント欄にて、このお風呂に入られた方から「完全掛け流しと思われた」との情報をいただきました。その時々によって湯使いを変えているのかもしれません)
料金設定が高いために週末でも混雑は起こりにくそうですし、何よりも館内が綺麗で使い勝手が良いので、湯河原でのんびり日帰り入浴して寛ぎたい方にはもってこいかもしれません。朝から深夜まで営業時間帯が長いものありがたいですね。今回の記事では取り上げなかった泥パックサウナやハーブテントなども面白そうです。
混合泉(土肥サービランス)
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 59.6℃ pH8.3 蒸発残留物1.591g/kg 成分総計1.596g/kg
Na+:388mg, Ca++:117mg,
Cl-:573mg, Br-:1.69mg, SO4--:332mg, HCO3-:42.9mg,
H2SiO3:99.0mg, HBO2:8.72mg,
(平成22年3月12日)
加水あり(入浴に適した湯温に調整するため)
加温あり(入浴に適した湯温を保つため)
循環あり
露天:消毒なし、内湯:消毒あり
JR東海道本線・湯河原駅より徒歩17分、もしくは不動滝・奥湯河原行バスで「小学校前」下車徒歩3~4分(路線バスは箱根登山バスと伊豆箱根バスの共同運行)
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上42-15
7:00~23:00(最終入館受付 22:00)
ホームページ
入浴1500円+消費税(レンタルタオル付)
その他の料金については公式サイトをご参照ください。
私の好み:★★