バリ島での温泉巡りは、タバナン地区のイエ・パナス温泉"ESPA Hot Springs Resort"で締めくくることにしました。
窓を全開にして青い稲の風を顔に受けながら、タバナン地区に広がる麗しい棚田の中を爽快にドライブ。
道路が大きくカーブする付近の路傍に温泉名が書かれた看板を発見しました。目的地まであと僅かのようです。看板が指し示す方向へ未舗装路を進むと・・・
割れ門の先が温泉リゾートになっていました。レンタカーは駐車場でお留守番です。
リゾートと名乗っていますから、ここでは宿泊もできるのでしょうけど、私は数時間後にデンパサール空港から飛行機に乗らなければならなかったため、今回は日帰り入浴で利用しました。レセプションで入浴したい旨を伝えると、屋外のプールと貸切風呂の2種類があるらしく、私が値段を訊いたところ、スタッフはちょっと考えた後にそれぞれの金額を教えてくれました。料金なんてはじめから決まっているのに、なぜ返答する際に考える必要があるのでしょうか。外国人である私を見て、金額を吹っかけようとしていたのかな…。ま、ここで躊躇しても仕方がないので、ちょっと高めでしたが貸切風呂をチョイスすることにしました。
レセプションの脇にはいくつも貸切風呂が並んでいましたので、その中から空いているところを使わせてもらうことに。
私が入った貸切露天風呂はこんな感じ。左右と通路側こそコンクリの壁ですが、目の前を流れる川に対してはオープンな作りになっており、トロピカルな植物にも彩られ、開放感でなかなか良い雰囲気です。
露天風呂のど真ん中にテーブル付きの屋根と半円形の土台が出っ張っているため、その分入浴できるスペースが狭くなっているのが玉に瑕。ひとつひとつの区画はそれなりの広さがあるのですが、おそらくこの湯船では3〜4人が限界ではないでしょうか。
隅っこにはシャワーが設けられていますが、排水はそのまま目の前の川へ流されるため、シャンプー類など使用は禁止されています。
湯口における吐出温度は39.3℃で、湯船では緑色掛かった黄土色に強く濁っており、透明度は(目測で)20〜30cmでした。温泉に含まれる鉄分の影響で、湯面には酸化皮膜(油膜みたいに光っているもの)が浮いていました。
湯船は38.8℃ですから、一見するとぬるそうに思っちゃいますが、日中は気温が高いため、むしろこの程度がちょうど良い湯加減なのであります。なおpH値は6.76でした。お湯からは鉄錆的な金気の味や匂いがはっきりと感じられる他、甘塩味やほろ苦味、土類感、そしてしっかりとした炭酸味も伝わってきました。また湯中ではキシキシと引っかかる浴感があり、肌のシワ一本一本にお湯の成分が入るこんでくるような感覚が得られました。こうした特徴は前々回の記事で取り上げたアンスリ温泉に似ていますので、タバナン地区に湧出する温泉は、金気が多くてすぐ緑色に濁ってしまう重炭酸土類泉か塩化土類泉が多い傾向にあるのでしょう。
実際に入浴してみました。なかなか良い湯です。しかも貸切なので水着は不要。川のせせらぎを聞きながらの湯浴みは実に爽快。ゆっくりのんびり寛げます。泉質由来の温浴効果が強いからなのか、ぬるめのお湯なのにしっかりと温まり、湯上がりはしばらく汗が止まりませんでした。本当は飛行機に間に合う時間ギリギリまでゆっくり過ごしたかったのですが、運が悪いことに空から雨粒が落ち始め、やがて本降りになってしまったので、止むを得ず途中で湯船から上がらざるを得ませんでした。もう少し長く浸かっていたかったなぁ。
雨脚が弱くなったところで、水着着用のパブリック温泉プールと普通のプールも見学することに。温泉プールはバスクリンを大量投入したような緑色に強く濁っており、今すぐにでもドリフのコントができそうな感じ。実際に入っている人はいましたが、湯鈍りを起こしているのは明らかであったので、私は遠慮させていただきました。
川岸には日本人好みしそうな露天風呂もありましたよ。
敷地奥の斜面にはもっと広い貸切露天風呂もいくつか並んでいました。
こちらの温泉はぱっと見たところ、外国人観光客が主な利用客層のようでした。都市部の喧騒から隔絶された静かな立地ですし、お湯はなかなか良質ですから、のんびり湯浴みするには良い場所かもしれませんね。
●(おまけ)LCCでジャカルタを経由して帰国の途へ
さて、バリ島での温泉巡りはこれで打ち止め。ジャワ島とバリ島の2島にわたったインドネシア温泉巡りもこれにて終了です。
まずはレンタカーを返す前に、ガソリンを給油しなきゃ。
デンパサールの市街地に近い幹線道路沿いのガソリンスタンドに入ったところ、各ポンプの前に給油待ちの車の列ができていました。たまたま混んでいるタイミングだったのかな。でも流れが早いので、そんなに待つことなく自分の番が回ってきました。
こちらでは、セルフではなくスタッフが給油をします。前の車や他のレーンの様子を見ていると、皆さん金額指定で給油しているようでしたので、私も「この程度で満タンになるかな」といった量をその場で暗算し(日本と同じく、道路に面した看板に油種別の単価が掲示されています)、オクタン価92の「プルタマックス」という油種を10万ルピア給油するべく「プルタマックス、スラトゥスリブ」とインドネシア語の単語を並べて、それに相当する紙幣を手渡したら、すぐに給油が開始され、ポンプが停止すると即座にスタッフからお釣りが返ってきました。日本のGSのように、支払い時に精算機でお金を管理するのではなく、スタッフの作業着のポケットに詰め込まれたお札でお釣りをやりとりしているので、回転が早いのですね(その代わりレシートなどは発行されませんでした)。GS内にはコンビニもあるので、ちょっとした買い物もできます。
デンパサールの市街からクタにかけて渋滞に巻き込まれたものの、余裕を持って行動したため、予定通りに空港へたどり着くことができました。
デンパサール空港国内線ターミナル・空港出発ロビー前の車寄せで、今回車を借りたKAZUYAレンタカーさんの方と待ち合わせて、この車寄せにて返却手続き完了です。自由気ままに行動できるレンタカーは非常に便利でした。いろいろ相談に乗ってくださり、融通を利かせてくださったりと、KAZUYAレンタカーさんには本当にお世話になりました。ありがとうございました。
私は成田とジャカルタの往復チケットでインドネシアへやってきたため、帰国するには一旦バリ島のデンパサールからジャカルタへ国内線で移動しなければなりません。インドネシアの国内線はLCCが便利なので、この時はインドネシア最大手のLCCであるライオンエアを利用しました。旅行中にネットで予約をしておき、空港のチェックインカウンターで、パスポートと一緒に、スマホの画面に表示させておいたバーコードを提示することで、簡単にチェックイン完了。しかも私がカウンターで手続きしたのは出発時刻のちょうど1時間前だったのですが、カウンターの前には行列がほとんど無く、待ち時間はわずか数分で済みました。本当に便利な世の中になったものです。
私が旅行したのは2016年の10月。インドネシアはイスラム国家ですが、バリ島はヒンズー教の土地。それでいて、空港ターミナルにはハロウィンの飾り付けがなされていたのですから、もう宗教観がごちゃごちゃ。そんな曖昧さこそ、世界中から観光客を呼び寄せる懐の広さなのかもしれませんね。色鮮やかなおみやげ屋さんを尻目に搭乗口へ。
海岸沿いに位置するデンパサール空港。ライオンエアの機体が頻繁に離発着を繰り返す滑走路の彼方の海原では、赤い夕陽が沈もうとしていました。今回の旅でインドネシアの太陽を目にするのはこれが最後なのか。この夕陽とともに自分の旅も終わるのかと思うと、実に感慨深く、窓の前に立って、いつまでもこの夕陽を眺めていました。
私が乗るジャカルタ行033便は18:15に出発の予定なのですが、その時刻が近づいてもゲートが開く気配がありません。感傷的に夕陽を眺めている場合ではないのかな。そんな心配を抱きはじめたころ、出発予定時刻の5分前である18:10に、目の前のエプロンに青いラインの塗装が施された機体が止まり、降機した客が次々に歩いてターミナルへと吸い込まれてゆきました。なるほど、この飛行機が折り返しでジャカルタ行になるんだな。それからさらに待つこと約30分でようやく搭乗が開始され、私もエプロンを歩いて飛行機に乗り込みました。LCCなのでシートピッチは狭いのですが、機内で座っているのは2時間程度なので、大して苦にはなりません。ライオンエア033便は45分遅れを以て、満席でデンパサールをテイクオフ。
約2時間でジャカルタに到着。古ぼけたLCC専用ターミナルで一旦荷物を受け取り・・・
無料のシャトルバスで国際線が発着する第2ターミナルへ移動しました。
これにてインドネシアの温泉巡り関係記事は終了です。お付き合いくださりありがとうございました。
次回からは日本のみちのくの温泉へ舞台を移します。
窓を全開にして青い稲の風を顔に受けながら、タバナン地区に広がる麗しい棚田の中を爽快にドライブ。
道路が大きくカーブする付近の路傍に温泉名が書かれた看板を発見しました。目的地まであと僅かのようです。看板が指し示す方向へ未舗装路を進むと・・・
割れ門の先が温泉リゾートになっていました。レンタカーは駐車場でお留守番です。
リゾートと名乗っていますから、ここでは宿泊もできるのでしょうけど、私は数時間後にデンパサール空港から飛行機に乗らなければならなかったため、今回は日帰り入浴で利用しました。レセプションで入浴したい旨を伝えると、屋外のプールと貸切風呂の2種類があるらしく、私が値段を訊いたところ、スタッフはちょっと考えた後にそれぞれの金額を教えてくれました。料金なんてはじめから決まっているのに、なぜ返答する際に考える必要があるのでしょうか。外国人である私を見て、金額を吹っかけようとしていたのかな…。ま、ここで躊躇しても仕方がないので、ちょっと高めでしたが貸切風呂をチョイスすることにしました。
レセプションの脇にはいくつも貸切風呂が並んでいましたので、その中から空いているところを使わせてもらうことに。
私が入った貸切露天風呂はこんな感じ。左右と通路側こそコンクリの壁ですが、目の前を流れる川に対してはオープンな作りになっており、トロピカルな植物にも彩られ、開放感でなかなか良い雰囲気です。
露天風呂のど真ん中にテーブル付きの屋根と半円形の土台が出っ張っているため、その分入浴できるスペースが狭くなっているのが玉に瑕。ひとつひとつの区画はそれなりの広さがあるのですが、おそらくこの湯船では3〜4人が限界ではないでしょうか。
隅っこにはシャワーが設けられていますが、排水はそのまま目の前の川へ流されるため、シャンプー類など使用は禁止されています。
湯口における吐出温度は39.3℃で、湯船では緑色掛かった黄土色に強く濁っており、透明度は(目測で)20〜30cmでした。温泉に含まれる鉄分の影響で、湯面には酸化皮膜(油膜みたいに光っているもの)が浮いていました。
湯船は38.8℃ですから、一見するとぬるそうに思っちゃいますが、日中は気温が高いため、むしろこの程度がちょうど良い湯加減なのであります。なおpH値は6.76でした。お湯からは鉄錆的な金気の味や匂いがはっきりと感じられる他、甘塩味やほろ苦味、土類感、そしてしっかりとした炭酸味も伝わってきました。また湯中ではキシキシと引っかかる浴感があり、肌のシワ一本一本にお湯の成分が入るこんでくるような感覚が得られました。こうした特徴は前々回の記事で取り上げたアンスリ温泉に似ていますので、タバナン地区に湧出する温泉は、金気が多くてすぐ緑色に濁ってしまう重炭酸土類泉か塩化土類泉が多い傾向にあるのでしょう。
実際に入浴してみました。なかなか良い湯です。しかも貸切なので水着は不要。川のせせらぎを聞きながらの湯浴みは実に爽快。ゆっくりのんびり寛げます。泉質由来の温浴効果が強いからなのか、ぬるめのお湯なのにしっかりと温まり、湯上がりはしばらく汗が止まりませんでした。本当は飛行機に間に合う時間ギリギリまでゆっくり過ごしたかったのですが、運が悪いことに空から雨粒が落ち始め、やがて本降りになってしまったので、止むを得ず途中で湯船から上がらざるを得ませんでした。もう少し長く浸かっていたかったなぁ。
雨脚が弱くなったところで、水着着用のパブリック温泉プールと普通のプールも見学することに。温泉プールはバスクリンを大量投入したような緑色に強く濁っており、今すぐにでもドリフのコントができそうな感じ。実際に入っている人はいましたが、湯鈍りを起こしているのは明らかであったので、私は遠慮させていただきました。
川岸には日本人好みしそうな露天風呂もありましたよ。
敷地奥の斜面にはもっと広い貸切露天風呂もいくつか並んでいました。
こちらの温泉はぱっと見たところ、外国人観光客が主な利用客層のようでした。都市部の喧騒から隔絶された静かな立地ですし、お湯はなかなか良質ですから、のんびり湯浴みするには良い場所かもしれませんね。
●(おまけ)LCCでジャカルタを経由して帰国の途へ
さて、バリ島での温泉巡りはこれで打ち止め。ジャワ島とバリ島の2島にわたったインドネシア温泉巡りもこれにて終了です。
まずはレンタカーを返す前に、ガソリンを給油しなきゃ。
デンパサールの市街地に近い幹線道路沿いのガソリンスタンドに入ったところ、各ポンプの前に給油待ちの車の列ができていました。たまたま混んでいるタイミングだったのかな。でも流れが早いので、そんなに待つことなく自分の番が回ってきました。
こちらでは、セルフではなくスタッフが給油をします。前の車や他のレーンの様子を見ていると、皆さん金額指定で給油しているようでしたので、私も「この程度で満タンになるかな」といった量をその場で暗算し(日本と同じく、道路に面した看板に油種別の単価が掲示されています)、オクタン価92の「プルタマックス」という油種を10万ルピア給油するべく「プルタマックス、スラトゥスリブ」とインドネシア語の単語を並べて、それに相当する紙幣を手渡したら、すぐに給油が開始され、ポンプが停止すると即座にスタッフからお釣りが返ってきました。日本のGSのように、支払い時に精算機でお金を管理するのではなく、スタッフの作業着のポケットに詰め込まれたお札でお釣りをやりとりしているので、回転が早いのですね(その代わりレシートなどは発行されませんでした)。GS内にはコンビニもあるので、ちょっとした買い物もできます。
デンパサールの市街からクタにかけて渋滞に巻き込まれたものの、余裕を持って行動したため、予定通りに空港へたどり着くことができました。
デンパサール空港国内線ターミナル・空港出発ロビー前の車寄せで、今回車を借りたKAZUYAレンタカーさんの方と待ち合わせて、この車寄せにて返却手続き完了です。自由気ままに行動できるレンタカーは非常に便利でした。いろいろ相談に乗ってくださり、融通を利かせてくださったりと、KAZUYAレンタカーさんには本当にお世話になりました。ありがとうございました。
私は成田とジャカルタの往復チケットでインドネシアへやってきたため、帰国するには一旦バリ島のデンパサールからジャカルタへ国内線で移動しなければなりません。インドネシアの国内線はLCCが便利なので、この時はインドネシア最大手のLCCであるライオンエアを利用しました。旅行中にネットで予約をしておき、空港のチェックインカウンターで、パスポートと一緒に、スマホの画面に表示させておいたバーコードを提示することで、簡単にチェックイン完了。しかも私がカウンターで手続きしたのは出発時刻のちょうど1時間前だったのですが、カウンターの前には行列がほとんど無く、待ち時間はわずか数分で済みました。本当に便利な世の中になったものです。
私が旅行したのは2016年の10月。インドネシアはイスラム国家ですが、バリ島はヒンズー教の土地。それでいて、空港ターミナルにはハロウィンの飾り付けがなされていたのですから、もう宗教観がごちゃごちゃ。そんな曖昧さこそ、世界中から観光客を呼び寄せる懐の広さなのかもしれませんね。色鮮やかなおみやげ屋さんを尻目に搭乗口へ。
海岸沿いに位置するデンパサール空港。ライオンエアの機体が頻繁に離発着を繰り返す滑走路の彼方の海原では、赤い夕陽が沈もうとしていました。今回の旅でインドネシアの太陽を目にするのはこれが最後なのか。この夕陽とともに自分の旅も終わるのかと思うと、実に感慨深く、窓の前に立って、いつまでもこの夕陽を眺めていました。
私が乗るジャカルタ行033便は18:15に出発の予定なのですが、その時刻が近づいてもゲートが開く気配がありません。感傷的に夕陽を眺めている場合ではないのかな。そんな心配を抱きはじめたころ、出発予定時刻の5分前である18:10に、目の前のエプロンに青いラインの塗装が施された機体が止まり、降機した客が次々に歩いてターミナルへと吸い込まれてゆきました。なるほど、この飛行機が折り返しでジャカルタ行になるんだな。それからさらに待つこと約30分でようやく搭乗が開始され、私もエプロンを歩いて飛行機に乗り込みました。LCCなのでシートピッチは狭いのですが、機内で座っているのは2時間程度なので、大して苦にはなりません。ライオンエア033便は45分遅れを以て、満席でデンパサールをテイクオフ。
約2時間でジャカルタに到着。古ぼけたLCC専用ターミナルで一旦荷物を受け取り・・・
無料のシャトルバスで国際線が発着する第2ターミナルへ移動しました。
これにてインドネシアの温泉巡り関係記事は終了です。お付き合いくださりありがとうございました。
次回からは日本のみちのくの温泉へ舞台を移します。