温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

カラハユット温泉 スパ ヘラクレス サーマル ホテル 前編(部屋・夜の大浴場)

2015年01月11日 | トルコ
 
パムッカレ観光の拠点となったカラハユット温泉では、館内に温泉浴場がある「スパ ヘラクレス サーマル ホテル」(以下「ヘラクレスホテル」)で一泊しました。ここのみならず、カラハユットの宿泊施設の多くでは温泉を引いているそうでして、お高いリゾートから手頃なペンションまで客のニーズに合わせた宿選びが可能ですが、今回選んだ「ヘラクレスホテル」は中くらいのグレードと言えるでしょう。利用に際しては、予め大手の某海外宿泊予約サイトで予約しておきました。
入口ゲートには、てっぺんにニワトリの飾りを載せた温泉ドームのモニュメントが設置されており、アツアツの温泉が湯気を上げながら流されていました。


 
フロントまわりやロビーは上画像のような感じ。さほど広くないものの、程々の明るさが保たれた館内には、落ち着いた色調のソファーがたくさん置かれており、夜にはここで談笑するお客さんの姿も見られました。



チェックインすると、部屋の鍵とともに上画像のカードが手渡されます。マッサージや予約時の料金に含まれない食事など、館内で有料サービスを受けた場合は、これで料金をカウントし、チェックアウト時に一括精算するのです。


 
敷地の中央には真っ青なプールが綺麗な水を湛えていました。訪れたのは肌寒い10月下旬でしたから、さすがにこのプールで泳ぐ人は皆無でしたが、夜間にはプール内からライトアップされ、幻想的な美しさを放っていました。


 
トルコの温泉浴場の多くでは、別途料金を支払えばアカスリ(トルコ語で"kese")やマッサージ(同じく"masaj")などのサービスを受けることができますが、ホテルのホームページによれば、そのような標準的サービスの他、エステ・泥パック・温泉浴をしながらの体操など、温泉を活用した様々な施術も実施しているんだとか(私は利用しませんでしたが…)。


●部屋

この日のお部屋は2階のダブルルーム。客室内には後述するバス・トイレが付帯している他、冷蔵庫やセーフティーボックスが備え付けられており、設備としては標準的です。館内にはWifiが飛んでいますが(パスワードはフロントの壁に掲示)、状態が不安定で途切れることもしばしば。


 
今回の部屋は通りや駐車場に面していました。上画像のようにベランダからは、カラハユット村の民家やジャーミー(モスク)、そして近隣の温泉ホテルが眺められました。とても静かでのんびりとした空気が流れています。


 
お部屋のバスルームにはバスタブが設置されています。一見するとごく普通のバスであり、シャワーからは真湯が出てきますが…


 
壁から突き出ている真鍮のバルブを開けると、アツアツの温泉が吐出されます。つまり、部屋にいながらにして、誰も触れていない新鮮な温泉に浸かることができるのです。お湯の供給量はかなり多いので、あっという間に溜まります。湯口の温度は47.4℃という高温ですから、若干加水しないと熱くて入れませんでしたが、私の感覚では、後述する大浴場よりもはるかに鮮度感が良好でした。
カラハユット温泉は重炭酸土類泉系のお湯ですから、空気に触れるとすぐ濁ってしまうのですが、このお湯はやや赤茶色を呈しているものの、濁り方が弱く透明に近い状態ですので、あまり酸化が進んでいないことがわかります。湯気と一緒に弱い金気臭が漂い、金気味と土気味、甘味を伴う石膏味、そして明瞭な炭酸味が感じられます。なお炭酸味に関しては、お湯を冷ましてからテイスティングすると、より強く口腔内に広がりました。湯中ではキシキシとした浴感があり、湯上がりはいつまでもホコホコとした温浴効果が持続します。温まり方があまりにパワフルで、あたかも毛布にくるまれたような感覚が続き、お風呂から上がってしばらくの間は発汗が止まりませんでした。


●夜8時の温泉大浴場
 
部屋のお風呂に続いて、ホテルご自慢の温泉大浴場も利用してみましょう。館内表示に従ってロビーの脇から階段を下ってゆくと、浴室とガラス一枚で隔てられている下足場に突き当たりますので、そこで持参したビーチサンダルに履き替えました(私は海外で温泉巡りをする際には、必ずビーチサンダルを持参しています)。この下足場から先は土足禁止です。
下足場のすぐ左手が浴室入口なのですが、その手前にはスタッフが常駐するカウンターがありますから、必要に応じてスタッフに声をかければ、タオルやロッカーキーを手渡してくれます。なおフロントでは英語が通じましたが、浴場もスタッフはあまり通じないみたい…。もしタオルが欲しければ「ハウル(havlu)」、ロッカーを使いたければ「カビン(kabin)」と一言伝えれば大丈夫。


 
左画像は男女別のロッカールームです。カーテンの向こうで水着に更衣します。上述のように、ロッカーを利用したい場合は、浴室入口にある小さなカウンターでスタッフに申し出ればOKです。尤も、浴場にはデッキチェアーがたくさん並んでいますから、ロッカーの利用が面倒でしたら、荷物ごと浴室に持ち込んじゃって、自分の目が届くデッキチェアーに置いておけば良いんですけどね。
廊下を挟んだ反対側にはシャワー室がありますから、入浴前には念入りにシャワーを浴びましょう。
右画像はアカスリやマッサージを行う個室です。



夜8時の大浴場。天井はガラスのドームになっており、ドームがスライドすることによって開閉が可能です。実際にこの時はちょこっと開いて半露天風呂状態になっており、その隙間から星を眺めることもできました。全開してくれたらもっと爽快だったんだけどなぁ…。
私が入室すると、入れ替りに先客の老夫婦が退出してゆき、広い浴室には私以外誰もいなくなってしまいました。シーズンオフだからお客さんが少ないのかな。なお、観光客向けの施設であるためか、男女共用です。


 
温泉プールの角には、まるで山のようにコンモリと石灰華が盛り上がっている投入口があり、上からアツアツの温泉が注がれていました。左右両側には石膏像が1体ずつ立っていますが、両方とも析出にすっかり呑み込まれていますね。石灰が堆積したベージュの山の中央を、焼けただれた傷口のように赤黒い流路が落ち込んでています。


 
プールサイドにはリゾートホテルのようにたくさんのデッキチェアーが並んでいます。この大きな温泉プールを独り占めできたのですから、リゾート気分で開放的にくつろぎたいものですが、浴室内はやけに騒々しく、しかも槽内の水位(お湯の嵩)が不自然に低いのです。どうしたものかと室内を見回したところ、なんと2台のポンプで排水の真っ最中だったのです。お湯の嵩がどんどん減ってゆく一方。私がポンプの存在に気づいた頃、スタッフのひとりがデッキブラシを持って浴場に入ってきました。なるほど、これからお風呂の清掃をするのか…。でもまだ夜8時です。館内案内によればこの"Thermal Pool"は夜10時半までの営業であるはず。にもかかわらず、こんな早い時間帯にお湯を抜いちゃって良いのかな…。そもそも、なぜこんな状態なのにお客を入れたのか。不可解だわ…。



スタッフに背を向けながら湯浴みをしていると、浴場清掃のスタッフは作業をせずに一旦引き上げていってしまいました。お湯が無くなったら私も退出えざるを得ないので、それを待ってから掃除を始めようと判断したのかもしれません。ならば、お湯が完全に抜かれるまでは、入っていても差し支え無いってことだな。部屋のお風呂と違い、こちらのお湯はプールで長い時間にわたって空気に触れていますから、強く濁って透明度がほとんど失われています。またお湯もちょっと鈍り気味でした。
しかしながら、本来このプールは深さが1.3mほどあるのですが、お湯が抜かれて浅くなったおかげで、身長の低い私でも楽に入ることができ、日本のお風呂のように腰を下ろして湯浴みすることができました。上画像に写っている私は、実際に底に腰を下ろしています。


 
また、お湯が抜かれたおかげで、普段は濁った湯面の下に潜って見えないはずの浴槽内の様子を観察することもできました。湯面下の槽内側面には、細かい起伏に富んだ石灰の析出が、岩壁のように分厚くビッシリこびりついています。お湯の濃厚さがビジュアル的に伝わってきますね。また底には湯泥がたくさん沈殿しており、手で掬ってみたところ、黄土色の湯泥からは強い金気臭が放たれていました。
沈殿が大量に溜まるは、石灰華のスケールがびっしりこびり着くは、この温泉は細かなメンテナンスが欠かせないのでしょうね。ということは、営業時間内の清掃も致し方ないのかな。


後編へ続く
コメント
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