温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

咲花温泉 ホテル平左エ門

2014年07月15日 | 新潟県
 
新潟県下越地方で湯めぐりをしていたら、無性に翡翠色のお湯に入りたくなり、咲花温泉へ立ち寄ることにしました。今回お邪魔したのは温泉街の真ん中に位置する「ホテル平左エ門」です。宿の前の看板には山影と思しき濃淡グリーンの模様が描かれていますが、温泉以外のことは考えられない私には、咲花温泉のお湯が波を立てているようにしか見えません。


 
帳場で日帰り入浴をお願いしますと、昭和30年代の映画のようなフレームの太いメガネを掛けた宿のお爺さんが快く受け入れてくださり、初めての訪問であると伝えますと、構内図を用いてお風呂までの道のりを丁寧に説明してくれました。なお、料金を支払う際には自分の車の鍵を帳場に預けるのが、このお宿独自のルールです。「いろりの宿」と名乗っているだけあり、帳場の前には囲炉裏が据えられていました。


 
中庭を右手に見ながら長い廊下を進んでいきます。途中には丸い小さな火鉢が置かれていたのですが、帳場や廊下などお宿の中にはこの手のものが多く…


 
廊下の先にある小さな休憩室にも囲炉裏が据えられていました。「いろりの宿」というネーミングは伊達じゃないですね。廊下の突き当たりが浴室です。



お風呂は内湯と露天風呂があり、日帰り入浴でも両方を利用できますが、まずは内湯から。


 
私が男湯に入ろうとすると、宿の方がまさに今から掃除を始めようとしていたのですが、その方は実に腰が低く、私の入室に気づくと仕事の手を休めて「どうぞお入りください」と笑顔で親切に譲ってくださいました。この場を借りてスタッフの方のご配慮に感謝致します。
手入れが行き届いている脱衣室には、各種アメニティや冷水サービスなども用意されており、棚には籠の代わりに農作業用の箕が並べられていました。



内湯と露天風呂はちょっと離れているため、裸のままで移動することはできませんが、その代わり、内湯脱衣室には浴衣が用意されており、露天風呂へ向かうときにはこれを着ればOKです。この浴衣は宿泊客のみならず日帰り入浴客も使えますので、私も後述する露天風呂へ移動する際にはありがたく利用させてもらいました。


 
阿賀野川に面している浴室からは、窓ガラス越しに滔々と流れる大河を眺められ、窓から降り注ぐ陽光のおかげで、照明要らずの明るい環境が保たれていました。入室した瞬間に咲花温泉らしい焦げたような匂いやアブラ的な匂いが香ってきます。
洗い場は室内左右に分かれて配置されており、それぞれにシャワー付き混合水栓が2基ずつ(計4基)設置されています。


 
実は、訪問時の窓ガラスには遮光フィルムが貼られていたのですが、これは川岸で堤防の嵩上げ工事が行われているためでして、脱衣室にはその旨を告知する張り紙が掲示されており、実際に私の入浴中も、何人かの作業員が窓のすぐ外側を右へ左へと歩いていましたが、遮光フィルムのおかげでこちらの様子には全く気づいていませんでした。


 
石樋のような細長い湯口から半円形の浴槽へ向かって、うっとりするほど美しい翡翠色透明のお湯が絶え間なく落とされています。この浴槽は5~6人サイズで、宝石のような色を帯びたお湯を湛えており、浴槽縁から十和田石が敷かれた床へ向かって静かにオーバーフローしていました。そしてオーバーフローの流路はお湯の成分付着によって白く染まっていました。加水加温循環消毒のない完全掛け流しであり、お湯の投入具合が絶妙であるため、湯船は41~2℃というとても心地良い湯加減がキープされていました。

翡翠色透明の美しいお湯からは、甘塩味やタマゴ味と共に口腔に残る苦味が感じられ、焦げたような匂いやタマゴ臭、そしてアブラ的な匂いがお湯から放たれていました。湯中では白や黒の湯の華がチラホラ舞っています。


 
内湯のお風呂に満足した私は、脱衣室の浴衣をまとい、一旦廊下に出てから勝手口より屋外に出てツッカケを履き、飛び石を伝って露天風呂「岩の湯」へと向かいます。


 
扉にはプリミティブな閂が掛けられていますので、これをスライドさせて扉を開けます(閂は内側からも動かせます)。汗や垢を落とすことが主目的な内湯と違って、こちらは湯浴みに専念するためのスペースであり、スノコ敷きの開放的な脱衣スペースには田の字形の棚があるだけで、洗い場もシャワーがひとつ取り付けられているばかりです。


 
こちらの露天風呂は多くの温泉ファンによってその開放的なロケーションが絶賛されていますが、上述のようにこの時は堤防工事中であり、ひっきりなしに作業員が目の前の川岸を動き回っているので、上画像のように鉄パイプで仮設のフェンスが立てられて、遮光フィルムが貼られた目隠しの衝立が立ちはだかり、川を一望する眺めは確保されているものの、ちょっぴり残念な状態になっていました。


 

お風呂は「岩の湯」という名前の通りに岩風呂であり、真ん中に島が突き出ていて、大体8人サイズといったところ。浴槽縁の上には竹竿が用意されており、てっきり寝湯用の枕かと思って実際に入浴しながら頭を載せてみようとしたのですが、竿が高すぎちゃって体勢が不自然になり、枕としては使えませんでした。これって何なのかな? 

浴槽右奥の湯口まわりには硫酸塩の析出が付着し、その上に黄色や白色の硫黄がこびりついています。完全掛け流しの内湯と異なり、露天では加水されているらしいのですが、そのためかお湯は幾分マイルドなフィーリングとなっており、温度も(体感で)40℃位でしたので、いくらでも長湯できてしまい、湯面から漂うイオウの湯の香も相俟って、あまりの気持ち良さについつい微睡んでしまいました。堤防工事が終了したら再訪して、邪魔なものが一切ない露天風呂の絶景を楽しみたいものです。


咲花温泉6号
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 50.2℃ pH7.8 溶存物質1159mg/kg 成分総計1163mg/kg
Na+:296.0mg(72.22mval%), Ca++:87.4mg(24.63mval%),
Cl-:358.4mg(56.13mval%), Br-:1.1mg, HS-:9.6mg, SO4--:324.0mg(37.48mval%),
H2SiO3:16.8mg, H2S:1.8mg,
加温加水循環消毒なし

JR磐越西線・咲花駅より徒歩3分(250m)
新潟県五泉市佐取字宮ノ浦7234  地図
0250-47-2321
ホームページ

日帰り入浴時間要問い合わせ
600円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント
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