温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

マレーシア クアラルンプール近郊 スラヤン温泉 Selayang Hot Spring

2014年07月20日 | マレーシア
 
前回に引き続きマレーシアの温泉を取り上げます。今回は地元の方から愛されている都市近郊の温泉を訪れてみました。その場所とは、首都クアラルンプール(以下KL)の北部に位置し、街としてはKLと一体になっているセランゴール州ゴンバッ郡のスラヤン温泉(Selayang Hot Spring)です。KLから国道1号線をイポー方面へ北上し、周辺の景色に郊外の山の緑がだんだん増してゆく頃(目的地の数百メートル手前)になると、道路沿いに温泉を示す看板が立ち始めますので、それを目印にすればおそらく迷うことはないでしょう。

なお温泉は無料で利用できるのですが、駐車場は有料となっており、入口ゲートで(ゲート機のボタンを押して)駐車券を受け取り、退場時に料金所のおばちゃんに所定の料金を支払う流れとなっています。駐車場は結構広いので、おそらく満車になることは無いでしょう。


 
このスラヤン温泉は地域住民のための青空温泉公衆浴場兼公園というべきものでして、私は朝9時頃に訪れたのですが、駐車場からちょっと低い位置にある温泉ゾーンを見下ろすと、エリア内には多くの人が集っており、各槽からお湯を汲んで沐浴したり、あるいは湯船に浸かったりと、マレー系・インド系・中華系など人種を問わず、皆さん思い思いに朝の温泉を楽しんでいらっしゃいました。なお画像中で上半身裸なのは男性、上にTシャツを着ているのは女性です。


 
駐車場の片隅にはこのようなトイレがあり、そこで着替えることもできるのですが、こちらの利用者の殆どは車の中で着替えたり、あるいは着衣のまま湯浴みしてビショビショのままで原チャリに乗って帰ったりと、わざわざ建物へ移動して着替えるようなことはしていなかったので、この例に倣って私も車で着替えを済ませてしまいました。着替えている私の車(レンタカー)のまわりではニャンコがうろうろ。小腹でも空かせていたのかな。


 
エリア内にいくつかある温泉槽のうち、最も大きくて利用者も多いのが、駐車場に最も近い上画像の槽です。皆さんプールサイドに腰掛けながら、持参した手桶でお湯を汲んで沐浴しており、人によってはその場でシャンプーしていましたが、頭からザバザバかけているここのお湯の温度は何と48.0℃もあり、そんな熱いお湯を皆さんは平然と沐浴していたのでした。槽の中央部をじっと見ていると底の方からひっきりなしに気泡が上がっているのがわかりますので、この槽では温泉が自噴しているんだろうと思われます。


 
そのすぐ隣にはこのような真ん丸い土管の小浴槽があり、こちらではインド系のおじさんを中心にして全身浴を楽しんでいらっしゃいました。なおここではお湯を溜めっぱなしにせず、誰かが入浴する度に排水口に突っ込まれている栓の代わりのPETボトルを抜いてお湯を空にし、利用の都度お湯を張り替えていました。



土管の小浴槽へお湯を供給しているのは、奥の方にあるこの源泉かと思われ、ここではシューシューと音を立てながら勢い良くお湯が湧出していました。



小浴槽の傍らにあったこの浅い槽は足湯かな? 足つぼマッサージ的な石が敷き詰められた浅い槽にお湯が張られていましたが、今回は利用するのを忘れてしまいました。


 
こちらはスラヤン温泉で最も熱い源泉槽であり、計測機を入れたところ、51.6℃およびpH7.7という数字が表示されました。こちらも底からプクプクと絶え間なく気泡とともに温泉が上がっており、無色透明無味無臭(やや硬水のような重い感じあり)でとてもクリアなお湯が湛えられています。50℃以上あるので、さすがにここへ入ろうとする人はおらず、かけ湯する人もいませんでした。では、この熱いお湯はどのように使われるのかと言えば…


 
ホースで更に奥へとお湯を導いて・・・


 
上画像のレンガ積みの槽へとお湯を供給していたのでした。この槽のお湯を手で触ったところ、実に入りやすい湯加減となっており、実際にインド系のおじさん達や中華系のおばさん達はこの槽に入って全身浴をしていたのですが、お湯がかなり淀んでおり、若干生臭く、ドブみたいなモスグリーンに濁っていたのです。


 
でもここまで来て入浴しないのは勿体無いので、お湯の汚さには目を瞑って入浴してみました。温度計は42.8℃を表示しており、お風呂として丁度良い温度であることはお分かりいただけるかと思います。槽内に立てかけられているハシゴを使って中に入るのですが、ちょっと深い造りとなっており、上画像で写っている私は若干斜め立ちしていますが、まっすぐ立つと胸まで浸かる深さでした。この槽のお湯の多くは隣の熱い源泉から引かれているのですが、槽内を歩いていると所々で足裏に熱いものを感じたので、ここの底面でも温泉が湧出しているのかもしれません。

このスラヤン温泉で私のように全身浴するのは少数派であり、バケツや手桶を持参してかけ湯をするのがメジャーな利用法のようです。しかもみなさん48℃もある熱いお湯を平気な顔してバシャバシャ頭からかぶっているのですから驚きます。結構熱いお湯に対する耐性があるんですね。熱帯で蒸し暑い気候なのに、熱いお湯を浴びるだなんて意外です。海外の温泉では湯船をぬるく設定しているところが多く、それゆえに「熱いお湯に入れるのは日本人だけ」なんていう固定概念があるのですが、このスラヤン温泉の常連さんたちは私の固定概念を見事に覆してくれました。温泉に清潔感を求める方にはちょっと厳しいでしょうけど、マレーシアにおける温泉と市民生活との結びつきを知る上で、実に興味深い温泉でした。




スラヤン温泉紹介ページ(マレーシア・バケーションガイド)

朝7時頃~深夜まで
入浴料無料
駐車場2RM、トイレ0.30RM

私の好み:★★
コメント
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