改定の趣旨は「学力低下への危機」と「ゆとり教育への批判」
が根底にある。中央教育審議会は先の政府「教育再生会議」の提
言を受けて、その素案をまとめた。小学校の主要5教科(国語、算
数、理科、社会、体育)の時間数を1割程度、増やすことを柱にして
いる(学習指導要領改定素案)。内外からの子どもの学力低下へ
の批判に答え、「ゆとり教育」への反省と配慮がある。30年の長期
に及ぶ授業時間縮減の流れを転換して授業時間を増やすことによ
って何とか学力向上に繋げようとしている。しかし、それは確たる
データに基づいてはいない。因みに世界にも時間数の増加で学力
が向上したという事例は見当たらない。今回の中教審素案は時間
数を増やしさえすれが、どうにかなる、という程度のものでしかな
い。科学的根拠に乏しい素案を答申しようとしている。―国際学力
調査(学力が授業時間の増加に比例して向上するという相関関係
は不明)―中教審の使命は内外の成功事例を幅広く収集し分析し
て日本の子どもの実情・実態に見合う学力の向上に寄与する確た
るものを答申する事が、その役目であるはずだ。 生きて働く 答申
にすべきである。・・・「週5日制」は堅持するという。すると年間授
業時数も連動する。それに対応する配慮から時間数を増やすとい
う策を打ち出した。しかし時間数の増加で学力が向上するという保
障は、どこにもない。大幅な時間数増加を食い止める策として「総
合的な学習」(ゆとりの時間)の時間を削減するという苦肉の策も打
ち出した。唯一の救いは新学習指導要領の中核の基本理念「言語
力」(読解力、表現力等)と「判断力」、「思考力」を全教科で横断的
に育成しようとしている事である。これで「ゆとり教育」の部分修正
が可能になる。ところが教育現場で大切な事は「学力向上」という
具体的な方策だ。単なる時間のやり繰りで、つじつま合せは現場を
混乱に陥れるだけである。良識ある審議会の方々の叡智の結集の
帰結を期待する。・・・
付記: ―素案骨子―
●小学校の国語、算数、理科、社会、体育の主要5教科の授業時
間数を全体で1割程度増える
●3年生以上で週3時間程度実施している「総合的な学習の時間」
を週1時間程度削減
●高学年で週1時間程度、体験型の「英語活動」の授業を実施
●各教科の授業で横断的に表現力、判断力、思考力を育成
●総授業時間数は低学年で週2時間、中高学年で週1時間程度の
増加する
●学校週5日制は維持
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