安倍首相(政府)の教育再生会議の提言 「徳育」の教科化が
中教審によって見送られた。理由は教科書での画一的な価値観の
教え込み、押し付けは違和感があり馴染まない、という事である。
従って「学習指導要領」の改定では見送る事になった。「新たな教
科」への格上げもしない・・・。その点に関しては英断である。そも
そも人の心の在り様を数量化し計量化し評価できるか、と言うこと
である。心の問題の難しいところである。それを規範意識の養成と
いう事で強引に教科に昇格させ全国一律に教え込む、その帰結は
どうなるか、まかり間違えば戦前の「皇民化教育」に逆行する恐れ
さえある。何故なら安倍首相が唱える「美しい国」への理念が一連
のナショナリズム・タカ派的政治集団・学者の主張に沿ったものに
裏打ちされているからである。閣僚もタカ派的政治家で固められ
た。それに引き換え身体検査が甘く、最終的には身元から崩壊、
瓦解した。理念、先行の帰結である。大いなる反省点である。・・・
日本の四季折々の美しい自然、良き伝統文化、よき民俗風習を守
り育て継承していくのは日本人の誇りであり責務でさえある。それ
には誰も異論はないであろう。ところがその強引さの行き着く所は
偏狭な国土愛、懐かしい諸々の復古調、ナショナリズムの台頭の
土壌になる。それが怖いのである。戦前への悪しき復古が想定さ
れ「皇民化教育」へと逆行する懸念さえある。一連の政治(家)集
団は 「自虐史観」 を唱え偏狭なまでの国家・国土愛を主唱・唱導し
国家を方向づけようとする。それには、まず、教育から、という事だ
ろう。幼少時からの教育が有効な手段である事は即刻、承知して
いるからである。かの「慰安婦問題」も「沖縄戦の集団自決(集団
死)の『軍命令』・・・<軍関与>と言い換えている・・・」も 「自虐史
観」 に基づくもので通底している。「憲法改正」(改悪しようとしてい
る)も「改正教育基本法」も「関連教育3法」も同一線上にある。安
倍退陣でその可能性は遠のいたが油断は出来ない。台頭、跋扈
する一連の動きは今後、益々、激しさを増すだろう。文科省の教科
用図書調査審議会の教科書調査官に政治的圧力が掛かったこと
は容易に察しが付く。<戦後レジームからの脱却>の意味すると
ころは『自衛の戦争を正当化する』の一語に尽きる。そこから「自虐
史観」の諸々のテーゼが生まれてくる。逆の見方をすれば「戦後レ
ジームの維持・継承・擁護」があったればこそ日本は戦後60有余
年、平和が維持され経済的繁栄を齎した。平和憲法9条の威力で
ある。それを、きな臭い周辺事情によって自衛軍(予定)へと昇格さ
せ防衛省に格上げし戦争の出来る国へと改悪しようとする。憲法
改正がその第一歩である。関連して教育法も連動する。翻って現
実対応を観るに、その打開策を提言すると、中国や韓国、特に北
朝鮮への「平和外交」の推進で打開策は幾らでも考えられる。武力
に拠らない「対話」重視の『平和外交』は現実打開の有効な手段で
あって理想の空言ではない。性悪説に立脚するにしても人間であ
る限り「善の欠片・カケラ」はあるものである。経済的支援を有効に
する底辺(国民への生活援助)からの底上げを計画的持続的に支
援し続ける、そういう<国家的誠意>が相手(北朝鮮上層部)に通
じないはずはない。そうする事が核・ミサイルを打ち込まれる危険
からの防波堤になる。従って日米同盟のみが万能ではない。そろ
そろアジアにもシフトする心の余裕を持つべきである。・・・規範意
識の高揚も国民全体に必要である。幼・小・青の教育期間の規範
意識の養成には誰も異論はない。その手段が問題なのである。教
育現場での一対一の個々の密接な心の絆のもとに粘り強く実践し
ていく、地域社会も網羅して取り組んでいく。そういう取り組みが真
に功を奏する。上からの、国家のお節介な教科化による一律画一
的教育が有効ではない。寧ろ弊害を齎す。それは復古調・ナショナ
リズムの悪しき台頭さえ懸念されるからである。心したいものであ
る。・・・
付則:「皇民化教育」・・・主に15年戦争期に朝鮮・台湾・沖縄およ
び中国・東南アジアなどの占領地で、住民を忠良な皇民にするため
にとられた施策。特に朝鮮で「皇国臣民の誓詞」の斉唱、日本語の
使用、神社参拝、創氏改名などを強制した。
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