中国、韓国に全て出遅れている。そういう感触は否めない。虎視眈々と獲物を狙う眼光鋭く世界の隅々まで食指を伸ばす。一国の政治的リーダーの典型を見る思いがする。自国の未来と民の幸せを使命とし専念する、そのスタンスは見習うに値する。先のマレーシアでの二階経済産業相の経済閣僚会議での日本の正式提案についての感触であり感想である。即ち、 「東アジアEPA構想」(日本、中国、韓国、ASEAN<東南アジア諸国連合>の10カ国とインド、オーストラリア、ニュージーランドの計16カ国での <EPA=経済連携協定>)についてである。提案の理由は次の通り・・・
●目的・・・
1.工業製品・農産物等の関税撤廃
2.投資の促進
3・知的財産の保護等 で<自由化の促進>
●人口(域内)・・・31臆人(世界人口の半数)
●域内総生産(GDP)・・・約9兆ドル(世界の4分の1)
日本には5兆円のGDPを押し上げる効果があると試算されている。 でも各国の反応は今一である。考えられる理由は 日本市場の開放 についての疑念である。特に過去の事例からして「農産物」が槍玉に挙げられている。今回の構想は既に小泉首相の「東アジア共同体構想」とも重なっている。EDPにせよFTA(自由貿易協定<二国間、地域間の協定>)にせよ真新しい提案ではなく既に中国が先鞭をつけている。主流だったWTO(世界貿易機構)のドーハ・ラウンド<新多角的貿易交渉>が7月に決裂。そこで「EDP」や「FTA」にシフトし主流になりつつあるのが現状である。
■日本のEPDの合意・・・シンガポールを含む5カ国のみである。
■韓国・・・とは2,004年11月に中断。
■ASEAN・・・とは<農業分野>で難航しているが2,007年3月に合意の予定。
■中国・・・は先手を打って「ASEAN」と<ETA>を既に締結している。又、以前から「中国、韓国、日本」と「ASEAN」の13カ国で<EPA>を主張している(中国の「東アジア共同体構想」)。
―{今回の二階経済産業相の提案は、かかる中国の既提案に対する対案としての構想である様な気がするのだが}―。
今回の日本の提案に対し合意を困難にしているのは<市場開放への疑念>と他の一つは<農業大国オーストラリア>が含まれているからである。何れにせよ遅きに失した感はあるが誠意を尽くして取り組んでもらいたい。 「EU」や「NAFTA」と同等の市場が形成されると世界の「通商交易」も更に活性化していくことになる。日本の近未来は資源小国であり、しかも「少子高齢化」で<消費・労働人口の減少>で一単独国家では経済は成り立たない。どうしても近隣諸国は、もとより世界との「友好通商交易」で平和的に「経済外交」を展開していくしか道はない。その為には<強力な政治指導力>あるリーダーの出現が必須である。未来展望の「理念と戦略」の国策で国としての磐石の統一性ある方向で対処していくしかない。具体的には・・・
▲官邸主導(明確な<理念>とフロンテア的<戦略>の策定による)のリーダーシップの発揮・・・各省庁間との<理念と戦略>による統一ある調和と方向性の確立。
▲経済産業相・・・理念と戦略に沿った<政策目標>の策定で 関税撤廃、投資市場の開放、農水省との統一ある協力体制の樹立。
▲外務省・・・各省庁間の既得権と利害を超えた調整に努め国としての方向性の確立。
▲農水省・・・保護貿易と関税の数パーセントの削減を死守するより「知力ある考える農業」を目指す人材の育成、サービスの向上、投資環境の自由化等で<日本独自の農業体質の基礎的強化>が喫緊の課題であり構想提案への前提である。
▲その他の省庁・・・閣内主導による国としての統一ある行動。 以上の「理念と戦略」で国としての統一性あるダイナミックな「経済(資源)外交」で域内各国の理解を得る。 「東アジア・太平洋地域」は一つの<運命共同体>として共存共栄を追求してく。そういう真摯な努力が永代の繁栄に繋がる。力動的ダイナミックな「押しの外交」を強かに展開していくことである。