確かに生涯の生活を保障する 年金問題 は生きる糧を得る切
実な問題である。選挙の争点にしても当然である。それだけでも政
府・与党の不信を増大させた。 政治とカネ も前例があるにも拘ら
ず擁護に徹した。それが裏目に出た事は否めない。赤城農相の更
迭も遅きに失した。全てが後手、後手である。管理能力、指導力不
足、危機管理等々、言い古された文言がズラリと並ぶ。閣僚の 失
態・放言問題 に到っては 非核三原則 をも揺るがしかねない大失
態であるし被爆者・遺族の心情を逆なでする卑劣な言動である。更
迭どころか免職に値する。日本国民の感情をも逆なでした。そうい
う問題は襟を正すべき政治家の資質の問題である。選挙は本来、
政策の優劣、現実的実行の問題で争うべきである。NHKの出口調
査で何を基準に投票したのかの設問に、第1位が 年金問題 、第2
位が 景気と雇用 、第3位が 政治とカネ となった。第2位の「景気
と雇用」の問題は地方の凋落、疲弊に連動している。長年の保守
自民党の 金城湯池(守りが堅くて侵略されにくい自民の牙城) が
悉く陥落した。それは百戦錬磨の豪腕 小沢氏の作戦・手法に凱歌
が挙がったのも要因だが(―経験不足の若きプリンスの完敗であ
るー)、現実に 地方の疲弊 が霞ヶ関・永田町には届かず実感でき
なかったのが最大の敗因である。いみじくも全国知事会長の麻生
渡氏(福岡県知事)は「地方の切捨てに対する地方の反乱だ!」と
断じた。地方分権が進捗せず地方の人口減少で危機的状況の実
態に対する危機感と反発が今回の参院選の完敗に繋がった、と指
弾した。地方議会の議長も永田町の意識と地方の実態との乖離が
大きいのも敗因だと指摘した。小泉・安倍路線の「構造改革」に対
する 地方の反乱 だと異議申し立てをした。市場原理優先の帰結
が地方にシワ寄せし負の側面が露呈した。それへの反発が反自
公民への1票に託されたと。金城湯池の牙城の陥落が如実に物語
っている。ー6勝23敗ーに。都市と地方(農村)の眼に余る<格差
拡大>、 勝ち組 と 負け組 の優勝劣敗の歴然とした棲み分けに
拍車が掛かった。地方の悲鳴が霞ヶ関には実感として届かない。
「地方の反乱」は 理想と現実 のあまりの乖離 それは地方の「異
議申し立て」を突きつけた事を意味する。安倍首相の「美しい国」へ
の収斂 戦後レジーム からの脱却の内実 憲法改正、教育再生等
と地方の現実的課題 地方の疲弊 と 格差拡大 との乖離のミスマ
ッチが相容れなかった。その一事からも安倍首相の「基本政策、基
本路線」は支持された、とは到底、言えない。小泉・安倍路線(市
場原理の踏襲)のシンクタンクは「地方の自助努力」を説く。地方の
疲弊は「人生の選択で子息が村を出て行った結果」だとも説く。地
方の格差は「地方の努力不足」だと説いて「国への責任転嫁」と戒
める。もう政治への期待は根こそぎ皆無に帰した。人口流出の現
実、食えないから出て行く。産業の衰退は立地条件の劣悪、それ
への政治の支援、眼差しがない事に帰結する。「自助努力」にも限
界がある。財政の裏打ちがないところに自助努力もなにもない。政
治家はもっと<地方の現実>をしっかりと見詰める事から始めるべ
きである。その点、小沢氏は地方・地域の現実、真っ只中に飛び込
んで泥まみれになって身を挺した。その結果があの参院選の大勝
利である。天は見捨てなかった。天晴れである。今後を見据えた
い。・・・
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