150億円をかけて装備した日本のクラスター弾。“外敵からの抑止力”の
大義名分で保有している。日本の従来のスタンスは日米同盟の基、米国に配
慮して「部分的禁止」条約と適用までの 猶予期間 には 賛同 していたが、それ
を押し切って<全面禁止>に 合意 した事は日本の自主的判断での快挙であ
る。廃棄に要する費用も100億円、掛かるとの試算である。ところが全面禁止
が決まった直後に石茂防衛相は、クラスターに代わる <外敵からの“抑止力”
>を装備する必要があると力説した。気になる発言である。・・・世界のクラスタ
ー弾保有の軍事大国 米国、ロシア、中国が参加してないのも懸念される。良
心的合意も有名無実に終わる恐れがある。それにしても福田首相の決断で全
面禁止に合意した事は久々の大勇断であり大決断である。意図の見えにくい
優柔不断のスタンスを打ち崩すのに決定打を与えたと言っていい程の大ヒット
である。内閣支持率の向上が顕現されるものと思う。外交で着々と実績を示し
つつある牛歩の戦術も功を奏しつつある。7月の洞爺湖サミットまで どれだけ
支持率が向上、回復するのかも関心の的である。・・・ガソリンの高騰に歯止め
が掛からず金余りの投機マネーの浮遊で上限が何処まで行き着くのかも知れ
ない実情に不安が増大している。連動して諸物価も続々、値上がりを余儀なく
されている。悪循環が国内を初め世界に蔓延しつつある。そういう現実に内
政、外交がどれだけ国民に安心、安全を与えるか、福田政権の正念場でもあ
る。事案・案件・懸案の多い内政・外交に福田政権がどう立ち向かい解決にこ
ぎ付けていくのかも、これからの政権の行方を左右する。国民は微に入り細を
穿って注視している。・・・
付記:・・・
■「オスロ」会議で<条約採択>
■クラスター(集束=cluster)弾の製造、禁止を決めた条約交渉してきた有志
国主導の国際会議<オスロ・プロセス>
■アイルランドの首都「ダブリン」で全体会議
■クラスター即時・全面禁止条約(オキャリ議長=アイルランド軍縮大使)
■約110ヵ国が全会一致で採択
■有志国(ノルウェー、アイルランド、ニュージーランド・・・)と国際非政府組織
(NGO)が主導
■国連主導交渉枠組外での軍縮条約では1997年の「オタワ条約」(対人地雷
禁止条約)以来の条約締結
■8年以内に廃棄(保有国)
■10年以内に除去、破壊(領土内 残存弾)