書店をブラついていたら、思いのほか長時間の滞在に。「何か買わないと」という事態を察した結果、各社夏一押しの文庫コーナーの中から、城山三郎著『打たれ強く生きる』をチョイスしました。氏の著作は結構好きで、私の座右の銘である「人生は、極楽のようには創られていない」も、そこから戴いたもの。本書のカバー後ろには、「自分だけの時計、歩け歩け、ぼちぼちが一番、配転は新しいはじまり、ふり回されるな、乱反射する友をーー常にパーフェクトを求め、他人を押しのけることで、人生の真の強者となりうるのか?企業の中にあっても自分を見失わず、しかも企業に最高の寄与をなすことはどのようにして可能か?著者が日々に接した事柄をもとに、ビジネスマンへの愛情をこめて静かに語りかける」といった、いわゆるサマディー=概略が記されているものの、これではサッパリ。モヤモヤした気分のまま、DVD『三国志』を観ると、“おしん”劉備が、問題ばかり起こす義弟=張飛をこう諌めていました。「男はどんな世にあっても、公明正大でなければならぬ。逆境があっても本分を守り、天がもたらす好機を待ち続け、運命に逆らってはならぬ」--。時に“この人は、まったく”と思うほど愚鈍な一面を覗かせる劉備ですが、それこそ城山氏の言う「打たれ強い生き方」なのではないかと、合点に至りました。だからこそ、曹操はじめ猛勇たちが、自分たちとは異なる劉備を、“腰抜け”と誹りつつ恐れたのだと。多分劉備は、部下の首をはねたことなどないと。「泣いて馬稷を切る」は、諸葛亮孔明によるものだと…。