お見事。
随分と沢山の本を読んできたが、これほど反感をそそられた主人公は初めてかもしれない。少なくとも前半では主人公への反感ばかりが印象に残る。中盤に差し掛る頃には、こんな嫌な奴は監獄に落としこんでしまえと、主人公の敵方を応援していた。
しかし終盤に差し掛ると事態は急変して、なさけない主人公も変貌を余儀なくされる。キング(尊大な父親)からの束縛を脱して自分の人生を取り戻そうと奮闘する。こうなると、今までの経緯を忘れて主人公を応援したくなる。
いつの時代でも、親は子供を束縛したがる。その束縛が子供の人生を締め付けて、かえって家族を不幸にすることは珍しくない。
子供のためだと言いながら、実のところは親のためである束縛は珍しくない。この子供を縛り付ける紐は、目に見えないが強くしなやかで、なかなかのことでは断ち切れない。
親からの自立は、子供にとって大人への関門であり、親にとっては自分の人生を総括する契機でもある。自立したからといって親子の縁が切れるわけではないが、離れることにより親子の絆が確認できることもある。
血のつながりは、おいそれと切れるものでもないし、それを活かすも殺すも自らの心がけ次第なのだと思う。
それにしても処女作がこの出来とは恐れ入った。次回作が楽しみな作家が又一人誕生した。お見事、感服である。
随分と沢山の本を読んできたが、これほど反感をそそられた主人公は初めてかもしれない。少なくとも前半では主人公への反感ばかりが印象に残る。中盤に差し掛る頃には、こんな嫌な奴は監獄に落としこんでしまえと、主人公の敵方を応援していた。
しかし終盤に差し掛ると事態は急変して、なさけない主人公も変貌を余儀なくされる。キング(尊大な父親)からの束縛を脱して自分の人生を取り戻そうと奮闘する。こうなると、今までの経緯を忘れて主人公を応援したくなる。
いつの時代でも、親は子供を束縛したがる。その束縛が子供の人生を締め付けて、かえって家族を不幸にすることは珍しくない。
子供のためだと言いながら、実のところは親のためである束縛は珍しくない。この子供を縛り付ける紐は、目に見えないが強くしなやかで、なかなかのことでは断ち切れない。
親からの自立は、子供にとって大人への関門であり、親にとっては自分の人生を総括する契機でもある。自立したからといって親子の縁が切れるわけではないが、離れることにより親子の絆が確認できることもある。
血のつながりは、おいそれと切れるものでもないし、それを活かすも殺すも自らの心がけ次第なのだと思う。
それにしても処女作がこの出来とは恐れ入った。次回作が楽しみな作家が又一人誕生した。お見事、感服である。