ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

生命保険4

2006-03-24 09:42:29 | 経済・金融・税制
先月の報道であったと思いますが、金融庁が損保ジャパンに対して行政指導を行うと報じていました。当時たいへん忙しかったので流し読みでしたが、たいへん気になるニュースでした。実はこれは、日本の保険業界を長年悩ませ続けた大問題なのです。

社会人なら一度は必ず保険屋さんの勧誘を受けたことがあると思います。保険屋さんとは、いわゆる保険のおばちゃんと呼ばれた保険外交員ら保険代理店業務を行っていた人たちです。この人たちは、保険の勧誘をして、保険に入りたいというお客さんを保険会社に紹介して、その紹介料を報酬として受け取ることで収入を得ていました。

この紹介料は、保険の種類・規模により千差万別ですが、一般に損保より生保の方が金額が大きいのが普通です。一概には言えませんが、一億円の生命保険ですと数百万円の紹介料が、保険代理店に入ってくるはずです。この極めて巨額な手数料収入は、必然的に不正を呼び込む温床となり勝ちでした。すなわち巨額の生命保険契約を結び、その後短期間で契約解除をすることで紹介料を稼ぐ手法が横行してしまったのです。

そこで保険会社各社は、短期間での契約解除があった場合には、保険代理店から手数料を戻させたり、ペナルティを課すようになりました。しかし保険代理店もさるたるもの。契約解除を申し出たお客さんの名前で、身銭を切って保険料の支払いを続け、数年後に保険契約の解除をしてペナルティを回避することを密かに行っていました。これは「特別利益の供与」として、法律で禁じられた行為ですが、私が知る限りかなり頻繁に行われていたようです。

今回の損保ジャパン事件は、旧第一生命でこの「特別利益の供与」が大規模に発覚したことを隠していたことに対する制裁のようです。その制裁(行政指導)がどのようなものであったかは知りません。しかし、合併がなければ、今回の発覚もなかったでしょう。

されど、根本的には巨額の紹介手数料を支払う仕組みがある限り、この問題はこれからも続くと言わざる得ません。保険代理店もノルマがある以上、無理な契約をとらざる得ない実情を鑑みれば、単に行政指導するだけでは解決できないと思います。それにしても損保ジャパンよりも、他の生命保険会社のほうが、「特別利益の供与」は大きいと思いますが、なぜに損保ジャパンが狙い打ちされたのか不思議です。
コメント (2)
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