曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

NHK スペシャルドラマ「犬神家の一族」の感想

2023-04-30 11:15:00 | テレビ・映画



先週から当ブログの犬神家関係の感想記事がランクインしている。この二週にわたって放映されたNHKのやつのせいだろう。はい。見ましたよもちろん。

キャストが個性的。「岸辺露伴は動かない」と同じ脚本家だからだろうか。珠世は横溝正史作品中ナンバーワン美女のはずなんだが個性的。腕力が取り柄の猿蔵なのに小柄で弱そう。野卑なはずの佐武がインテリっぽい。佐智が「はっぴいえんど」時代の細野晴臣みたい。吉岡秀隆はいいんだけど、メンバー中最年長に近く見えるのはバランスおかしい。髪は黒く染めてもよかったのでは。

原作及び過去の映像作品で読者・視聴者が突っ込んだであろう穴を突いてくる。例えば、落石とかボートの穴とかの珠世殺害未遂が小夜子の仕業ということになった。松子はあんな稚拙な殺しかたはしないという理由で。言われてみれば確かにそうだ。続く四人は一発で仕留めているのだから。

野々宮大弐が性的に不能で、珠世が佐兵衛の孫という設定はあり。OK。佐智が脱出したけど廃屋に戻して殺された。OK。でも意味なく吊るされてた。駄目。佐清(静馬)の下半身だけ逆さのアレの絵解きがない。大減点。そもそもあれをやった理由は、佐清が生きていると悟った(一度は手形の指紋が合致)松子さんが、菊と琴の判じものを真似ようとした(初めて犯行を隠す必要が生じた)わけで、謎解きの後に出したら駄目じゃん。

静馬の動機が愛情になってた。佐清の口から語られただけなので、佐清の作り話かも、という含みはあるのかな。松子のタバコの毒で自殺からの「しまった!」はいつも通りにあった。

中盤までは理にかなった改変が多く(松竹梅子は籍に入ってないので相続権がないとか)、これはこれでいいんじゃない?と思ってたのだが、ヨキケスの絵解きがなくてかっかり。「小夜子の子にも継がせてやってね」もなく、佐智、佐武は殺され損だった。


ところが最後、今までなかったどんでん返しが!!

刑務所で佐清と面会した金田一が、全部君の思惑通りだ、悪意をもって母の犯行を見逃し、焼身自殺未遂も未遂で助かるように子供に告白書を届けさせたのではないかと言い出した。

静馬として死ねば、確かに丸く収まるので、山狩りをやめたのは意味あるなあと感心してたのだが、こういうことね。郵便だと警察がいつ読むか分からないので子供に託したのだろう。佐智殺害は、防ごうと思えば防げたわけだし、殺しやすいように縛ってるからね佐清が(結果的には脱出されたけど)。いや、よく考えられてるわ。新解釈だな。

だがしかし!

佐清は、俺が本物だと言って出てくるだけで、全部手に入れられたんだよね。珠世に好かれてるという設定がなければ、この新解釈も面白いんだけど。

たぶん脚本家もそれは分かってると思う。深読みするなよ。勝手に解釈するなよ。原作との相違点を細かくWikipediaに書くなよ。SNS時代はこれだから。といったメッセージが込められているような気がした。最後に佐清が金田一に放った「あなた...病気です」に。






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