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森羅万象 ~ 歩く印象派

音楽が降り注ぐ傘、慶大生が開発 傘全体をスピーカーに(

2008年11月06日 18時20分37秒 | 歩く印象派
開発された「音の出る傘」を持つ神山友輔さん。骨組みの先端4カ所に取り付けられているのが振動子=神奈川県藤沢市の慶応大湘南藤沢キャンパス

2008年11月6日8時7分朝日COM

広げた傘から音楽が聞こえたら面白いはず――。こんなひらめきで、慶応大学の学生が「音の出る傘」を開発し、東京都港区内の企業と共同で試作品を作った。携帯音楽プレーヤーで再生した音を小型アンプを経由して傘の先端の振動装置に送ると、傘全体がスピーカーになる。特許も出願。7、8両日、汐留の地下通路で開かれる「港区ものづくり・商業観光フェア」に出展する。

 発明したのは、慶大大学院政策・メディア研究科1年の神山友輔さん(23)。同科は、既存のものやソフトを使って新たな楽しみ方の創造などを研究している。

 神山さんは2年ほど前、植物の葉をスピーカーのように鳴らす商品があることを知った。それを葉っぱを傘代わりにする人気アニメ「となりのトトロ」の場面と組み合わせ、「音の出る傘」を思いついた。

 原理上は音楽プレーヤーから出る電気信号を傘に伝え、振動させれば傘から音は出る。問題は、どうやって傘を振動させるかだった。

 最初は小型スピーカーの一部を取り付けて傘を振動させたが、思うように良い音が出なかった。数カ月間、考え続けたある日、何かの研究で使えないかと買っておいた、携帯電話のバイブレーターに使う部品「振動子」が目に入った。

 これがうまくいった。プレーヤーからの音を送受信機でアンプに送る。アンプとコードでつないだ傘の先端の3センチほどの振動子に信号が送られると、振動子が揺れて傘全体がスピーカーになった。傘を持つと、上から音が降り注ぐように聞こえてくる。

 きれいなステレオの音が出るように、振動子を4カ所に均等に配置する。いろいろ試した結果、最もきれいな音が出た和傘を利用し、昨年9月に特許を出願した。

 神山さんは「すでにあるものを応用して、新たなものを作り出すことができた。頭の中の発想を具現化する発明はとても楽しい。これからも続けていきたい」と話す。

神山さんを指導する田中浩也准教授(33)は「携帯電話の振動用部品の応用で音を出すという発想は専門家でも、なかなか思い浮かばない。最近の若者はもの作りをやらない世代と言われるが、このような発明は意義深い」と話した。

 研究成果は、今年3月に開かれた港区の産学連携セミナーで慶応大学が発表。港区芝4丁目のコンピューターシステム開発会社「トーアエンジニアリング」と共同で試作品を開発することになった。

 7日からの「ものづくりフェア」での反応が良ければ、1万円を切る価格で来年から販売したいという。同社の時田清次社長は「音の出る傘には遊び心がある。2人、3人で音楽が聞け、新しいコミュニケーションが生まれる。今までにない空間を味わってもらいたい」と話している。(五十嵐透)


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