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ピースボート「自衛隊のクラスター爆弾所有に関する公開質問状」への防衛庁からの回答

2007年05月27日 00時53分32秒 | 平和憲法9条

少し勉強してみました。
ピースボートの「自衛隊のクラスター爆弾所有に関する公開質問状」への防衛庁からの回答
によれば航空自衛隊の保有するクラスター爆弾はCBU-87/B型。

搭載可能機としてはF-2A/B支援戦闘機(対地攻撃機に相当)未製作品。米軍の1/72F16Cは製作済み。

それとF4EJ改(キット未購入)

ところでクラスターとは英語でぶどうの「房」の意味。

ここから下はピースボートへの回答全文
公開質問状に対する回答
2003年6月18日
防衛庁
【「1」について】
1.航空自衛隊は、敵の着上陸侵攻に際し、侵攻部隊の陣地、戦車等の車両、物資の集積所等を攻撃し、これを阻止する作戦を行うため、通常やクラスター爆弾などの対地攻撃兵器を保有しており、このうち、クラスター爆弾については、装甲貫徹力・破片効果・焼夷効果〔注1〕を有する子爆弾を散布することにより、通常爆弾にはできないような広範囲の敵を攻撃する場合にしようすることとしている。
〔注1〕装甲貫徹力 :敵戦車等の装甲を貫く能力
破片効果 :敵車両等を破片により行動不能にする効果
焼夷効果 :敵の物資等を燃焼し使用不能にする効果
2.現在、航空自衛隊はCBU-87/B型のクラスター爆弾を保有している。なお、クラスター爆弾を含め、弾薬は、自衛隊の装備の能力発揮に不可欠なものであるので、保有数を公にすると国の安全が害されるおそれがあることから、保有数の公表は差し控えさせていただいている。
【「2」について】
憲法第9条第2項が保持を禁じている「戦力」とは、自衛のために必要最小限度を超えているものと解されており、同項の「戦力」に当たるか否かは、我が国の保持する全体の実力の問題であって、自衛隊の保持する個々の兵器については、これを保有することにより、我が国の保持する実力の全体が必要最小限度を超えることになるか否かによって、その保有の可否が決せられるものと考えているが、クラスター爆弾を保有することとしても、我が国の保持する実力の全体が必要最小限度を超えるものではなく、憲法上問題は生じないと考えている。

【「3」について】
1.専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限度にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいう。

2.クラスター爆弾は、我が国の領域外において使用することは想定しておらず、上記のように、我が国防衛のため、敵の着上陸侵攻を阻止するために保有しているものであり、専守防衛の趣旨にかなうものである。

【「4」について】
1.クラスター爆弾については、特に1999年(平成11年)のコソブォ空爆以降、その子爆弾の一部が不発弾として残り、紛争終了後も一般人に被害を与える例が注目され、人道上の観点から国際的に様々な議論が出てきたものと承知している。

2.現在の国際的な議論については、特定通常兵器使用禁止・制限条約関連会合において、クラスター爆弾が他の爆弾等と比較して不発弾となる割合が特に高いとの証拠が示されたことはなく、また、現時点においてはほとんどの締約国が同爆弾の使用の禁止は必要ないとの立場であるものと承知しており、同爆弾を本条約の規則の対象に含めることについて合意が成立する見込みはないと認識している。他方、一部の国においては、クラスター爆弾の不発弾化を防止するための設計改良に関する研究が行われているものと承知している。

3.いずれにせよ、我が国は、我が国の領域外においてクラスター爆弾を使用することは想定していない。また、正に有事関連法案の目的の一つにされているとおり、万一我が国への侵攻事態が生起した場合には、政府として国民を戦闘地域等から安全に避難させることは当然のことであり、更に、戦闘終了後にあっても、政府としては、国民の生活基盤が確立されるよう、不発弾の処理等に万全を期すことは当然である。
このように、我が国がクラスター爆弾を使用する際には、民間人に被害が生じないよう配慮することとしている。

4.なお、クラスター爆弾が使用後に不発となった場合、個々の不発弾の処理は、不発弾処理の技能を有する専門の要員によって爆破により行われると考えられる。

【「5」について】
1.対人地雷は、敵の侵攻を遅滞ないし阻止し防衛火力を有効ならしめる手段として、また、部隊の配備が手薄となる地域に対人地雷を敷設して敵の侵攻を遅滞ないし阻止して、予備の部隊を投入するための時間を確保するために使用され、人の存在、接近又は接触によって爆発するように設計されており、主として地中に埋設して使用するものが多いものと承知している。

2.他方、クラスター爆弾については、地雷を散布するものと、子爆弾を散布するものがあるが、航空自衛隊が保有しているものは、敵の着上陸侵攻の際し、侵攻部隊の陣地、戦車等の車両、物資の集積所等を広範囲に攻撃し、これを阻止する作戦を行うために使用する子爆弾散布型のクラスター爆弾であり、対人地雷禁止条約のおける対人地雷には当たらない〔注2〕ものと考えている。
〔注2〕対人地雷禁止条約第2条(抜粋)
(1)「対人地雷」とは、人の存在、接近又は接触によって爆発するように設計された地雷であって、一人若しくは二人以上のものの機能を著しく害し又はこれらの者を殺傷するものをいう。(以下略)
(2)「地雷」とは土地若しくは他の物の表面に又は土地若しくは他の物の表面の下方若しくは周辺に敷設されるよう及び人又は車両の存在、接近又は接触によって爆発するように設計された弾薬類をいう。

3.クラスター爆弾の不発弾については、これを取得しようとして被害にあう民間人がいることは承知しているが、上記のようにクラスター爆弾と対人地雷は使用目的、使用方法等を異すること、また、クラスター爆弾の不発の子爆弾の状態も様々であると考えられることから、一概に両者を同列に論ずることは適当でないと考えている。

4.また、特定通常兵器使用禁止・制限条約の枠組みにおける議論においても具体的な不発率について議論が行われてきたわけではなく、クラスター爆弾が他の爆弾等と比較して不発弾となる割合が特に高いとの証拠が示されたこともないと承知している。
 したがって、クラスター爆弾の不発弾が発生することをもって、自衛隊がクラスター爆弾を保有することが対人地雷禁止条約の精神に反しているとは言えないと考えている。

5.防衛庁としては、クラスター爆弾は我が国の防衛上必要なものと考えているが、クラスター爆弾の規制等にかかる問題については、他国や国際世論等の今後の動向を見極める一方で、我が国の安全を維持していくとの視点も考慮する必要があり、防衛庁としては、我が国の平和と安全を守るという任務を踏まえつつ、慎重に対応してまいりたい。

【「6」について】
お尋ねのような調査は行っていないが、「4」についてで述べたように、我が国がクラスター爆弾を使用する際には、民間人に被害が生じないように配慮するとしている。

【「7」について】
国際条約等の解釈については、防衛庁の主管ではないと考えられることから、お答えは差し控えさせていただきたい。

なおピースボートが防衛庁に対して行った質問状はこちら

自衛隊のクラスター爆弾所有に関する公開質問状

 

自衛隊のクラスター爆弾所有に関する
公開質問状

日本国防衛庁
石破防衛長官殿
2003年5月11日

 わたしたちは、防衛庁が明らかにした、自衛隊による非人道兵器クラスター爆弾の所有の事実を知り、おおきな衝撃を受けると共に、同爆弾の即時全面廃棄を日本国防衛庁に強く訴えます。

 わたしたちは世界中の人々との民間交流を進める中で、ベトナムやアフガニスタン、コソボ、そしてイラクなどの国々を訪問し、対人地雷やクラスター爆弾の被害状況の調査を行ってきました。そこでは、米英軍が使用したクラスター爆弾の被害を受け、傷ついたり犠牲となった子供たちや家族にも出会いました。それはまさに戦争とは全く関係のない一般市民が、無差別に殺傷される現場でした。このことはアフガニスタンにて実際に地雷除去を行っているNGOや、国際赤十字、ICBLなどの国際機関が、人道上の見地から同爆弾の禁止を強く国際社会に求めていることからも明らかです。

 また、防衛庁が明らかにしたクラスター爆弾所有の事実は、同爆弾の特性を考えても、さきに行われた対人地雷禁止条約批准という、日本政府の外交方針とも大きく矛盾をしていると考えます。イラクや朝鮮半島情勢の緊張で、一時は廃絶の世論が高まっていた対人地雷の有用性が再び議論されようとしています。そのような時期に、日本政府の行った「対人地雷全面破棄」は、国際社会では大きな反響を呼び大きな評価を受けました。しかし、一方でこのような非人道兵器の所有していたという事実は、国民のみならず国際社会を欺く、不誠実かつ非人道的行為だといわれても致し方ありません。

 福田官房長官は会見にて、「専守防衛という観点から必要であれば、廃棄する理由はない」と発言をしています。しかし、兵器として一端使用されれば広範囲の障害物を破壊し、多くの子爆弾が対人地雷化し、不特定多数の人間を無差別に殺傷するだけでなく、その後の処理にも莫大な時間と労力が必要なクラスター爆弾の保有は、明らかに対人地雷全面禁止条約の精神に反すると同時に、このような無差別殺戮兵器は禁止していこうという、国際世論に逆行する非人道的な行為だと言わざるをえません。

 石破防衛長官、自衛隊がクラスター爆弾を所有することを正当化するならば、また情報公開法に則った法の精神を尊重されるならば、早急に以下の質問に文章にてご回答下さい。なお、回答内容は公開させていただきます。
 私たちは大臣の誠意ある対応を期待いたします。

自衛隊の所有しているクラスター爆弾は、どのような戦闘を想定して、何に向かってどのような方法で使用されるのですか。また、現在の保有状況と共に具体的に教えてください。
1. 自衛隊の所有しているクラスター爆弾は、どのような戦闘を想定して、何に向かってどのような方法で使用されるのですか。また、現在の保有状況と共に具体的に教えてください。
2. クラスター爆弾の保持は、戦力不保持を謳った日本国憲法第9条に違反すると思いませんか。違反しないと思われるならば、その根拠を教えてください。
3. アフガン戦争、イラク戦争でのクラスター爆弾の使用状況を考えて、クラスター爆弾の保持は、日本政府が防衛の基本方針としている「専守防衛」にも違反すると思いませんか。思わなければその根拠を教えてください。
4. 一端、このような兵器を使用した場合、多くの民間人が犠牲になる可能性があります。そのことををどのようにお考えですか。また、使用後の不発弾処理の方法を具体的に教えてください。
5. 投下後、実質上地雷となるクラスター爆弾の保持は、日本政府も批准をしている対人地雷禁止条約、およびその精神に違反していると思いませんか。思わなければ、その根拠を教えてください。
6. クラスター爆弾を日本国内で使用すると仮定した場合、海外における民間人への被害の調査、そして、同じく海外における除去方法の調査を当然行われていると思われます。その調査内容について、どの国の、どの期間への調査を行われているかお答えください。
7. クラスター爆弾の使用に関しては、「その禁止する他の国際法規もない」というのが政府見解だと思われます。その論拠を教えてください。
ピースボート地雷廃絶キャンペーン代表
中原 大弐


このリリースへのお問い合わせは...
ピースボートセンターとうきょう・担当:中原
(Tel:03-3362-6307/Fax:03-3362-6309/ウェブサイトからのお問い合せはこちら)
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