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世界初、ウナギ完全養殖に成功 水産総研センター

2010年04月09日 01時31分17秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
2010年4月8日23時5分朝日COM

 水産総合研究センター(横浜市)は8日、人工授精で生まれたニホンウナギに卵を産ませ、孵化(ふか)した幼生を育てる「完全養殖」に世界で初めて成功したと発表した。これまでは天然の稚魚(シラスウナギ)からの養殖に頼っていた。安定供給への第一歩という。

 センターは2002年に、人工授精の卵から稚魚まで育てることに成功。今回、稚魚を全長45~70センチ程度まで成長させ、約50匹にホルモンを繰り返し投与して成熟させて人工授精し、1匹が3月26日に約25万粒の受精卵を産んだ。このうち7割以上が孵化。4月2日からエサを食べ出し、8日現在で約10万匹が生存しているという。

 養殖では成魚のほとんどがオスになってしまうが、稚魚の段階で個体にホルモンを投与し、メス化することにも成功。孵化直後の幼生の死亡率が高かったが、エサを工夫するなどして成長させたという。

 ニホンウナギは「かば焼き」などで人気だ。しかし、生態は謎に包まれており、養殖は河口付近で稚魚を取り、育てるしかなかった。稚魚の採取量は50年前の20分の1程度になっており、乱獲が懸念されていた。

 センターは08年、太平洋マリアナ諸島沖で天然の親魚や幼生の採取に成功。現在幼生に最適なエサが分かっておらず、成魚まで成長させるのに天然の倍以上の年月がかかるとされ、センターの井上潔理事は「採取した幼生の個体に残っていたエサを分析し、量産化につなげたい」と話している。また、ホルモン投与による安全性の詳細な確認は今後行うという。(大谷聡)