映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

わすれた恋のはじめかた  Love Happens

2010-11-24 | 映画 わ行
アーロン・エッカートとジェニファー・アニストン主演の上「わすれた恋のはじめかた」というタイトルなので
軽いラブコメディーかなと大して期待もせずレンタルしました。

オリジナル予告編では 「Sometimes when you least expect it・・・・」のあと、原題の「Love Happens」と
きます。 「思いがけない時に、恋が始まる」ってとこでしょうか。

タイトルから数ある似たような日本語タイトルのラブコメを思い出し、その上このメッセージ、
まだまだラブコメ臭がプンプンですが、本作は意外にも悲劇からの再生ドラマです。

今回ちょっと長いです


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          わすれたのはじめかた  Love  Happens

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 < ストーリー >
バーク(アーロン・エッカート)は自己啓発書のベストセラー作家。
2年前に事故で妻を亡くし、その立ち直りを売りに本を出版、講演の日々を送っているが、実は悲しみに
打ちひしがれていた。
そんなある日、セミナーのために訪れたホテルで花屋のエロイース(ジェニファー・アニストン)と出会う。
彼女は念願の花屋を開き仕事に打ち込んでいるが浮気症の恋人に裏切られ傷心中。
バークは何故か彼女が気になり・・・。

映画を見ていると各国の文化の違いが気になります。
本作でバークが行うセミナーやワークショップ。
アメリカや英国の映画ではこういうセミナーやグループセラピーが頻繁に登場します。

妻や夫を亡くした人が紹介される「配偶者を亡くした人を支援する会」「癌家族ネットワーク」「片親の会」、
「アル中の断酒会」、「麻薬をやめるサポートグループ」、「アバウト・ア・ボーイ」でヒュー・グラントが
恋人探しに行くのが「シングルマザーの会」。
そのどれもが車座になって一人ずつ自分の過去や辛い体験を話し、みんな拍手で暖かく迎え励ましあう。
乗り越えた経験者がサポーターとなって一人ずつサポートし、不安な時に支えるシステムです。
また予防医学?なのか、リッチな人たちは問題が大きくなる前に精神科医に悩み事を相談したり、
離婚前に夫婦でセラピーに通って関係修復に努めたりする。

本作で主人公が主催するのは、大切な人を亡くしたことで心に傷を持つ人たちのワークショップで「A-OKAY!」を合言葉に元気を取り戻そうと真剣に取り組みます。
彼が登場すると聴衆は合言葉で向かえ熱狂する。ジム・キャリー主演の「イエスマン」で、テレンス・スタンプ扮する「何でもYES!と応えよう」セミナーと同じでもう新興宗教の域に達している感じです。

何故アメリカや英国ではこういうセミナーが盛んなんでしょうか?
アメリカの臨床心理学者カール・ロジャースが創始したカウンセリング手法で、カウンセラーは聞き役となり、
クライエントを無条件に受容し尊重することによって、自分自身を受容・尊重することを促すというものです。
以前ちょこっと学んだことがあるのですが、「自分の意見を差しはさまず、共感的に聴く」というので
クライアントが言った事を鸚鵡返しのように「あなたは~と思ったのですね」という風に話すというのに、
なんだかバカにされているようでしっくりこない気がして自分には合わないなぁと止めました。

こういうグループセラピーって、日本でも増えてきているのでしょうか?
専門家である医者に対してなら問題ないでしょうが、いくら同じ悩みを持つ人たちとはいえ
見ず知らずの人たちに自分の悩みをさらけ出すって・・・。
この壁を越えることができるかどうかが、この手法で立ち直れるかどうかの第一関門ですね。

経験者のアドバイスを聞き励ましあうのは有効だとは思うけれど、それは常日頃話し合うことで問題を解決
しようという下地のある西洋人だからできることで、ディスカッションに慣れておらず、思いをぶつけることを避け自分の中に抱え込むことの多い日本人は、恥をさらすより自分で何とか乗り越えようと考えるんじゃぁないでしょうか? だからこそ自殺者が多いのかもしれませんが・・・。

同じ文化圏の中国や韓国はこういうセラピーは一般的なのでしょうか?
西洋といっても文化の異なるロシアや東欧は?
韓国も旧ソ連や緯度の高い国々も自殺率は高いようですが・・・。
でも、個人主義である西洋人がグループで支えあうのに対し、和を持って尊しとなすはずの日本でこの手法がなかなか定着しないって、なんだか逆のような気がします。


 ***  ネタバレ部分は白抜きになります。間をドラッグしてお読みください ***


本作では、自信に溢れセミナー参加者を叱咤激励し立ち直るきっかけを与える主人公のバークこそが、
一番大きな傷を心の奥に仕舞い込み、人前では笑っていても、一人になるともがき苦しみお酒で紛らせる日々。
公には妻が運転中事故で死亡したとしているが、実は彼の運転で助手席にいた妻を死なせたという自責の念に苛まれ、妻の死を受け入れることができなかったのです。
「葬儀」は「死別の悲しみを癒すのに必要なプロセス。命の終わりを受け入れ故人の生を祝福するものだ」
「ものの見方を変えること」「大切なのは歩きだす勇気」など、セラピーで参加者に呼びかける言葉です。
しかしながら、他人には言えるけれど自分では実行できていないバーク。
妻の葬儀を欠席し、妻との約束を果たせず、妻の両親を避けている。妻のペットのオウムのロッキー。ケイジから飛び立てなかったロッキーは彼の姿そのものです。
エロイースと関わり、同じ悩みを抱えるセミナー参加者を立ち直らせる過程が彼にとってのセラピーとなり、
3年間避け続けてきたものと向き合うことになる。

グループであれ、一対一であれ、
自分を批判せず受け入れてくれる人に、胸に渦巻く思いを言葉にして口から出すことが第一歩なんですね。
時間的・気持ち的に機が熟したときに、何も言わず受け止めてくれる人が大事ってことかな?

この映画、最初に見た時はそれほどいいとは思わなかったけれど、ストーリーを知った上でもう一度見てみると
なかなか上手くできていて、気持ちが落ちている時に見るとピッタリなセラピー映画だなぁと思いました。


二つばかり気になったこと

 ・大切な人を亡くした悲しみから抜け出せない状況を描くには、
水の中に沈んでいくという表現が使われるんですね。先日見たシングルマンにもありました。

 ・心を閉ざしたバークは、エスカレーターには乗れるけれどエレベーターには乗れず何段もの階段を歩いて
  登る。閉所恐怖症のような状態に一時的になるってことあるのでしょうか?




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