元ベース弾きの田舎暮らしは

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音楽が縦軸の人生
就職相談・紹介が「天職」

おばあちゃんが差し出した130円とは・・

2020年01月18日 | ふるさと

昨日 市内の商工業者を回っていた時のこと。

山に囲まれた集落の小さな食料品店での出来事です。

89歳の店主のおばあちゃんから、小銭130円を手渡されました。

 

就職相談と事業所を訪問するのが私の仕事。

昨日も市内の食料品店を訪問。30分ほど創業の話や体調などを聞きました。

お礼を言い、帰るためのご挨拶をしたとき、突然おばあちゃんの取った行動は・・。

 

レジから、小銭を取り出し、私に渡してくれたのです。

意味が分からず、思わず「このお金は、何?」と聞き返す私。

おばあちゃんの言った言葉が、胸に響きました。

 

「このお金で、店の外の自販機でコーヒーを買ってくれる?」

「あんたが、そのコーヒーを飲む間だけ、もう少し話をしてくれないかなあ。」

あと少し店に滞在し、話し相手になってほしいとの意味だったのです。

 

89歳のおばあちゃんの大切な売り上げのお金をもらうわけにはいきません。

認知症でもなくしっかりしていても、その申し出をすんなり受け取るわけには・・。

固辞しながら見ると、おばあちゃんの顔は真剣そのもの。

 

根負けし、いただいた130円で自販機で缶コーヒーを購入。

再度 店に入りなおし、おばあちゃんの近況と想いを聞きました。

 

四代前に創業した食料品店。その店に嫁にきたとのこと。

その店を、元気なうちに閉めるわけにはいかないのだとのこと。

デーサービスに行くことも断り、店番をすることが自分の生き甲斐だとも。

 

別棟に同居する息子夫婦や孫。あかの他人の私だから話し易かったのでしょう。

奇しくも、おばあちゃんの手術をしたのが私の知人の医師だったことも。

共通の知人がいたことも、心を許す理由だったかもしれません。

 

     

 

市内には、法人が500社、個人が500社の事業所構成。

大手・中堅のスーパーに押されて壊滅状態の食料品店です。

私が訪問中も、この店にはお客はなし。わずかに郵便配達の人の訪問のみ。

 

「三世代 一緒に住む高齢者は少ない中で、幸せですね。」

「89歳にしては、顔の色つやがいいね」と勇気づけるのが精一杯でした。

 

私の母親は97歳。認知症ではないものの、脳内出血のため、近くの施設に入所中。

サッカー観戦と生花を見ることが唯一の楽しみです。

夕方 仕事帰りに施設に寄り、「ただいま」と声を掛けます。

「お帰り」と笑顔の母親。毎日の出来事を報告すると、うなずきながら聞いています。

 

     

 

「130円」のおばあちゃんに、自分の母親の姿が重なり、他人事とは思えませんでした。

しかし 自分にできることは、ほとんどありません。無力感です。

10~15年先、どんな自分になり、何を考えているのでしょうか。

 

画像      夕方     

        新見市の位置  平成の大合併で一市四町が合併し新しい新見市が誕生

        畑の雨除けの傘  10年以上前 母親が畑にさした「生存証明」の傘群

 


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