アンヌ=マリー・ルヴォル『ロシアの星』(集英社、2022年)
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世界で初めて宇宙に飛んで地球を一周して降りてきたガガーリンをめぐる小説。
ガガーリンが地球に帰還したのが、1961年4月12日。ガガーリンをめぐるいろんな年の4月12日が描かれているが、やはり中心はガガーリンが帰還したときの、様子を描いた章だろう。
これを読んで初めて知ったのだが、上空7000メートルで宇宙船から座席ごと離脱してパラシュートで降りてきたのだそうだ。そんな上空からでも、宇宙船本体の落下地点からそんなに離れていなかったが、国際規格では宇宙船に乗ったまま地上に帰還しないと記録にならなかったそうで、ずっと秘密にされてきたという。
それにしても米ソ冷戦時代の産物であり、そのことやソ連の体制に起因したドロドロした出来事が満載の話しで、ガガーリンの不幸は、ちょうどイーストウッド監督の『父親たちの星条旗』が描いた米軍兵士たちの不幸(摺鉢山の頂上に到着し米国旗を掲げた写真に写っていたとされる兵士たちが、戦費債権のツアーに駆り出されてみんな精神を病んでいくという不幸)に重なって見えた。
偉大な行為も政治利用によって汚濁に飲まれてしまうんだなというのが、読後感だ。恐ろしい。
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ガガーリンが地球に帰還したのが、1961年4月12日。ガガーリンをめぐるいろんな年の4月12日が描かれているが、やはり中心はガガーリンが帰還したときの、様子を描いた章だろう。
これを読んで初めて知ったのだが、上空7000メートルで宇宙船から座席ごと離脱してパラシュートで降りてきたのだそうだ。そんな上空からでも、宇宙船本体の落下地点からそんなに離れていなかったが、国際規格では宇宙船に乗ったまま地上に帰還しないと記録にならなかったそうで、ずっと秘密にされてきたという。
それにしても米ソ冷戦時代の産物であり、そのことやソ連の体制に起因したドロドロした出来事が満載の話しで、ガガーリンの不幸は、ちょうどイーストウッド監督の『父親たちの星条旗』が描いた米軍兵士たちの不幸(摺鉢山の頂上に到着し米国旗を掲げた写真に写っていたとされる兵士たちが、戦費債権のツアーに駆り出されてみんな精神を病んでいくという不幸)に重なって見えた。
偉大な行為も政治利用によって汚濁に飲まれてしまうんだなというのが、読後感だ。恐ろしい。
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