読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

奈良・若草山へ

2022年10月28日 | 日々の雑感
奈良・若草山へ



久しぶりにかみさんとちょっと遠出をして、奈良の若草山に行ってきた。

かみさんと奈良に行くのは、結婚前のデートで行って以来だから40数年以来ということになる、と二人で感慨に浸ったりした。

今日は雲ひとつない好天気。でもそれほど暑くなくって、空気も乾燥していて、さっぱりと気持ちのよい日だった。

近鉄奈良駅からバスで春日大社の前まで行き、そこから歩いて若草山の麓へ。たいへんな旅行者。でも若草山の上のほうにはいないので、150円を払って上がり始める。

でも途中で疲れてきて(最近あまり出歩いていない)、お腹も減ってきたので、階段に座って昼食を取る。

ちょっと元気になってから、最後の急登を上がりきって展望のよい広場に出てきた。ベンチもあるし(あたり一面鹿の糞だらけなので、草の上に座る時には要注意)、半時間ほど眺望を楽しむ。

眼下には東大寺などの奈良公園が見えるし、遠くにはJRの電車が走っているのが見えるし、はるか遠くには、大阪と奈良を分ける生駒丘陵から二上山から大和葛城山、そして金剛山も見える。南の方の形の良い山は天の香具山ではないだろうか。

奈良は京都についで人気の観光地だからか、たいへんな旅行者で賑わっている。コロナがなければ、もっと心から満喫できただろうに。



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『朝鮮王妃殺害と日本人』

2022年10月24日 | 人文科学系
金文子『朝鮮王妃殺害と日本人』(高文研、2009年)

副題に「誰が仕組んで、誰が実行したのか」とある。

日本が朝鮮にたいしてしたことは、他人の家に土足で入り込んできて、「お前たちは遅れている。俺たちが新しくしてやる」とか言って、好き勝手なことをしたり、意に従わない家族を殺したりしたようなものだ。

タイトルどおり、李朝朝鮮の最後の王妃である閔妃を誰が殺害したのかを追求した本である。

興味深いのは一般に閔妃の写真として知られている写真が、どうやら朝鮮宮女の写真であって、王妃のものではないらしいということである。そもそも宮廷内でさえも王妃の顔を知っている者はほとんどいなかったらしいし、王宮を占拠して国王を自由に操った井上馨でさえも、知らなかったらしい。

この本に出てくるが、高いところにある椅子に座った国王の後ろにある衝立の裏にいて、国王のすぐ後ろに空けられた小さな穴から王妃が国王にあれこれ指示していたらしい。

だから、先ほどここでも書いた韓国ドラマでは井上馨公使が国王と王妃と対面している場面が出てくるが、どうもこれはあり得なかったことのようだ。

この事件は、この本の最後にまとめられているように、通信連絡網として最先端であった電信線を支配しようとする日本に対して、表向き独立させられた朝鮮の主権を主張する閔妃を排除しなければならないと考えた大本営によって仕組まれ、実行のために送られた三浦という公使と軍隊によって実行されたということのようだ。

当時の軍事侵攻において電信線がいかに重要なインフラだったのかということがわからなければ理解できないだろう。

著者は、日本在住で日本語しかできないが、それが自分の強みでもあるとして、詳細に文献を渉猟して、事実を炙り出した。その執念のようなものに脱帽である。

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『地球に酸素が生まれた日』

2022年10月23日 | 日々の雑感
NHKコズミックフロント『地球に酸素が生まれた日』

上記の番組が本日(23日)午後7時から再放送される。私は数日前に放送されたときに見たのだが、これが実に興味深い内容だった。

酸素を作るのは光合成ということは誰でも知っているだろうが、光合成といえば植物の葉っぱだが、植物が昔からあったわけではない。植物が地上にできる前は、シアノバクテリアという細菌が水中で光合成をしていたという。

シアノバクテリアは名前のとおりシアンつまり硫黄のたぐいを食べて生きている細菌で、そのなかに、太陽光を受けて光合成をするようになった種類が誕生したのが、25億年くらい前のこと。

これも一人の科学者がシアノバクテリアの遺伝子情報から系統樹を作って解明した。

他方で、ある若手の科学者が、あらゆる年代の岩石に含まれる酸素の量を調べて、地球上の酸素が20億年ほど前に急速に増え始め、しばらくすると変化がなくなり、また10億年前に急速に増え始めたことを解明した。

この二人の研究者の解明がどうしても合致しない。5億年のずれがある。なぜか?

この科学者たちとはまったく関係ないところで、シアノバクテリアを研究していたドイツ人女性が、シアノバクテリアは太陽光を受けてもすぐには光合成を始めないで、最初はシアンを食べて生きているが、数時間してそれがなくなってから初めて光合成をするようになることを解明して、それをアメリカで発表した。

それを聞いていた地球物理学者が、地球の自転は昔は速くて一日が数時間しかなかったが、20億年前くらい前に一日10時間の自転になり、10億年前に20時間くらいになったということと関係があるのではないかと気づいて、そのことを彼女に伝えた。

それを聞いたことから、地球の自転が10時間くらいになるまでは、シアノバクテリアが光合成を始める頃にはすでに日が暮れてしまい太陽光を受ける時間がなかったが、自転時間が10時間になってやっと光合成をする時間ができて、急速に酸素が増え始めた。さらに20時間になって、光合成のできる時間がさらに増えたためにもっと酸素が増えた、という仮説を発表した。

かつてNHKスペシャルで『地球45億年の旅』という超すぐれものの番組があって、私はダビングして繰り返し見たものだが、これも実に優れた番組だと思う。

こういう番組を作るのは何と言ってもプロデューサーが優れていないと作れないと思う。コズミックフロントなどNHKの良心とも言える番組に期待している。

『スペシャル 地球に酸素が生まれる日』のサイトはこちらをクリック

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『東学農民戦争と日本』

2022年10月15日 | 評論
中塚明・井上勝生・朴孟洙(パク・メンス)『東学農民戦争と日本』(高文研、2013年)

10月の初めまでBS日テレで『緑豆の花』という韓国ドラマ(こちらをクリック)をやっていた。1894年から95年にかけての、「東学党の乱」と呼ばれた(しかし実際には甲午農民戦争と呼ぶべきらしい)農民運動から日本軍の侵略・日清戦争にいたる事件を描いたドラマで、じつに見応えがあった。

私にはうまくまとめることができないので、BS日テレの番組紹介をそのまま引用する。

「激動の時代を迎えつつあった19世紀末の朝鮮。全羅道古阜郡の吏房ペク・マンドゥク(パク・ヒョックォン)は郡守と組んで民を搾取する悪徳役人だった。長男イガン(チョ・ジョンソク)は庶子として蔑まれながら父親の汚れ仕事を手伝い、腹違いの弟イヒョン(ユン・シユン)は父親の期待を一身に背負い、日本留学を終えて科挙受験の準備中であった。一方、全州旅閣を率いるソン・ジャイン(ハン・イェリ)は利益を追求して大商団を夢見ていた。

ある日、暴政に怒った東学教徒チョン・ボンジュン(チェ・ムソン)が蜂起し、民乱が勃発。全羅道が混乱に陥る中、ジャインは大きな利益を手にできる軍商の地位を獲得し、東学党の目の敵にされたペク家はたちまち落ちぶれ、イヒョンは討伐軍の兵士となり、イガンはボンジュンとの出会いを通じて東学軍の義兵となる。」

このドラマではペク家の長男のイガンと次男のイヒョンという兄弟が日本軍の軍事介入という出来事を通して変わっていく姿を通して、激動期を描いていく。

イガンも加わった東学党の乱は反乱を起こした農民たちが各地で勝利して全州を制圧するが、朝廷はこれを鎮圧させるために清軍を呼ぶ。

それを見て、朝鮮での清による支配を怖れた日本が軍隊を送る。日本軍がやってくるという噂に危惧を感じた朝廷全権はチョン・ボンジュ将軍と和約を結んで、東学側の要求を受け入れる。そしてさまざまなレベルはあるものの、最も進んだ古阜では平民を主体とした行政府の機関の執綱所ができる。

最初はイヒョンがこの執綱所の代表になる(イヒョンは両班支配を嫌悪しており、彼なりの平等社会を夢見ている)。しかし両班を殺してしまい、逃亡して、ハニャンに潜伏する。

日本軍が朝廷を制圧し、国王を言いなりにさせて、反乱農民たちを鎮圧するように命じる。日本側の官僚に慶應義塾時代のイヒョンの先輩日本人がおり、彼を通じて、日本の側に加担するようになる。

日本軍は朝廷から反乱軍の鎮圧を命じさせる。そこからこの本の主題である日本軍によるジェノサイド(皆殺し)作戦が実行されることになる。

通常では朝鮮王朝が農民反乱を鎮圧する場合は指導者数名を島流しもしくは死刑にするだけで多くの者は解放される。しかし、このたびの日本軍のやり方は、当時の国際法さえも無視したジェノサイドであった。

それがほとんど知られていないのは、日本の公的な歴史書からは完全に消されてしまっているという。ごく一部の軍人の回想録などに記されているだけだという。

このドラマでは、そのあたりの事実も忠実に描いている。日本軍は連射式の機関銃を使い、農民たちは竹槍で対抗したのだから、皆殺しにすることは容易かっただろう。

しかし予期していなかった皆殺し作戦の実行を目の当たりにしたイヒョンは、自分が間違っていたことを悟って、自害する。この本によれば、日本軍人のなかにも自分のしていることに耐えられずに自害した軍人がいたという。

この本は『緑豆の花』というドラマの解説本といってもいいような内容になっている。大院君殺害や閔妃殺害などの部分はまったく触れられていないが、たぶんこちらは同じ高文研から出版されている金文子の『朝鮮王妃殺害と日本人』のほうを読むべきだろう。

この本の著者が繰り返し述べているように、日本人が朝鮮でした事実を掘り起こし、それを認めて、そのようなことを二度と起こさないという決意を日本社会全体のものとしないかぎり、日韓(朝鮮)の真の友好は成り立たないだろう。

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『自民党の統一教会汚染』

2022年10月09日 | 評論
鈴木エイト『自民党の統一教会汚染』(小学館、2022年)

それにしても、自民党と統一教会の関係がこれほどだとは思わなかった。

まず何と言っても選挙での利用だ。国会議員なら比例区で当選スレスレの候補者が支援対象になる。全国区でも6万から7万程度の集票力のようなので、当選スレスレの候補者を支援して当選させてありがたみを感じさせる。

市町レベルなら市長候補や市議会候補の運動員として動員して献身ぶりを味わわせる。

もちろん衆議院や参議院(こちらが多い)では誰を支援するかということは統一教会が勝手に決めるわけにはいかないから、自民党の指導部がその差配をしているのだろう。こんなこと誰にでもできるわけはない。

そして選挙で当選させた見返りに、その名前を利用させてもらう。こんな国会議員が自分たちを応援してくれている。自分たちの活動は公認のものだなどと言って、信者を増やすのに使う。

さらに最近目立っていると言われているのが、自分たちの世界観を国民や市民に押し付ける法律を議会で通させることだ。その世界観とは?―反・共、反・女性解放、反・男女平等、反・性教育など―などだ。

最後に、安倍元首相暗殺事件のことも書かれている。

洗脳された親がわけのわからないところへどんどん金をつぎ込んで家の金がなくなっていき、子どもである自分たちの進学費用どころか日々の生活費さえなくなって、伯父の世話にならなければやっていけない。

そんな経験をした山上が、いったい誰がその張本人なのか、いったい誰が母親にそんなことをさせているのか、そんな奴は許せない、と思い込んだ。

そこで浮かんできたのが安倍晋三元首相。たしかに祖父である岸信介が文鮮明と一緒になって作った勝共連合以来の親子3代にわたる関係があるとは言っても、この本でも記されているように、当初は安倍晋三は統一教会とは距離を置いていたという。

表立って姿を見せたのは2021年9月の『THINK TANK 2022』にトランプ元大統領に続いてビデオメッセージという形で登壇したものだけだという。これだって当日だけの公開だっという。

長年、統一教会と政治家の関係を調べている鈴木エイト氏をしてもこれくらいしか「太い絆」が見いだせないのに、自分の母親、ひいては自分の家族をめちゃくちゃにした統一教会の「後ろにいる政治家が安倍晋三だ」と考えるにいたったのだとするなら、やはり信者やその家族にしかわからない情報があったのではないかと思われる。

とにかくこの問題、国会でもメディアでもしっかり追求してもらいたい。


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私のようなものには理解できないこと

2022年10月05日 | 日々の雑感
私のようなものには理解できないこと

1.Jアラートって
Jアラートの報道があるたびに思うのだが、北朝鮮がミサイルを発射してからわずか7分で日本上空を通過という。

ってことは、北朝鮮が本気で日本にミサイル攻撃をしてきたら、7分以下で日本のどこかに着弾する。

なぜなら、今回のミサイルは上空1000キロまで上がったというのだから、それで7分なら、最短距離で日本を狙った場合、3分か4分(いや1分くらいかも)で着弾する。まずJアラートで「安全なところに隠れろ」と放送したころにはもう着弾しているのではないか。

それに迎撃ミサイルで撃ち落とすというのだけど、たった3分くらいでそんなことができるのだろうか?これがアメリカなら時間が相当かかるから、迎撃ミサイルという戦法は充分に考えられる。

しかも、今回のようにまったく関係のない東京でJアラートが鳴って、電車を止めるだの、学校を休校にするだのと、まったく機能していない。日本の軍事的無能力を世界にさらけ出しているとしか言いようがない。

地震の予知と同じで、莫大な金をかけるだけ無駄としか思えない。北朝鮮にミサイルを発射させない外交努力を尽くすことしか方法はないでしょう。

どう考えたって、国民を恐怖に陥れて、軍事予算をぶんどるための口実に使っているだけとしか思えない。

2.長男を首相秘書官にするって
岸田首相が長男を首相秘書官にするそうだ。長男に能力があるとかないとかは関係ない。身内人事だけはやってはいけないことだろう。

ネットのコメントに情報漏洩を怖れてとかあったが、そんな理由なら、世界中の政府はみんな秘書官や周辺を身内で固めなければならなくなる。馬鹿な!

岸田首相って、まぁあちこちで叩かれているから、私が言うことでもないが、馬鹿としか言いようがない。

いい加減辞めてください。かと言って、一部で言われているような、河野にすげかえるようなことは許さない。

コロナ対策、安倍国葬問題、自民党と統一教会の関係問題の総決算として解散総選挙をやるべきだ!


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『壁とともに生きる わたしと「安部公房」』

2022年10月02日 | 作家ヤ行
ヤマザキマリ『壁とともに生きる わたしと「安部公房」』(NHK出版新書、2022年)

最近テレビに出まくっている(本業よりも手軽に収入が増えるので重宝しているんだろう)あのヤマザキマリが大の安部公房ファンだというのをどこかで読んで、どんなことを書いているのか読んでみた。

イタリアでの極貧生活の体験中にイタリア人から勧められて読んだ『砂の女』に度肝を抜かれて、日本にいる母親に片っ端から安部公房の本を送ってもらい、のめり込むようにして読んだという体験談がじつに興味深かった。

ヤマザキマリが体験した極貧生活、極限状態を安部公房自身が終戦直後の満州から帰国した北海道や東京、そして結婚生活が共通していることが大きいのだろう。もちろんそうした状況のなかで安部公房が小説を書いていたということは後から知ったことなのだから、小説世界に共鳴したことが一番大きいことは言うまでもない。

前にも書いたが、うちのかみさんが学生時代に安部公房を読んでいたようで、今でも本棚に安部公房全集がある。うちのかみさんはどんな精神状態のなかで安部公房に惹かれただろう。

私はまったく読んだことがない。ただ、知識としては多少は知っており、だからこそヤマザキマリと安部公房という関係に興味をいだいた。

実体験としてもこんな極限状態を経験したことがないし、物事を突き詰めて考えるという習慣もないので、学生時代に安部公房に触れたとしてもたぶん興味を惹かれなかったかもしれない。私が卒論で取り上げたカミュの『異邦人』なんかも通じるところがあるのかもしれないが、あれはフランス語でも読みやすそうだったから選んだようなものなので、なんとも言えない。

しかしヤマザキマリのこの本を読んで感じたのは、民主主義の行き詰まりがあちこちで見られる現代社会のいろんな問題をすでに安部公房が提起していたということだ。

安部公房読んでみようか。

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