ヤマザキマリ『壁とともに生きる わたしと「安部公房」』(NHK出版新書、2022年)
最近テレビに出まくっている(本業よりも手軽に収入が増えるので重宝しているんだろう)あのヤマザキマリが大の安部公房ファンだというのをどこかで読んで、どんなことを書いているのか読んでみた。
イタリアでの極貧生活の体験中にイタリア人から勧められて読んだ『砂の女』に度肝を抜かれて、日本にいる母親に片っ端から安部公房の本を送ってもらい、のめり込むようにして読んだという体験談がじつに興味深かった。
ヤマザキマリが体験した極貧生活、極限状態を安部公房自身が終戦直後の満州から帰国した北海道や東京、そして結婚生活が共通していることが大きいのだろう。もちろんそうした状況のなかで安部公房が小説を書いていたということは後から知ったことなのだから、小説世界に共鳴したことが一番大きいことは言うまでもない。
前にも書いたが、うちのかみさんが学生時代に安部公房を読んでいたようで、今でも本棚に安部公房全集がある。うちのかみさんはどんな精神状態のなかで安部公房に惹かれただろう。
私はまったく読んだことがない。ただ、知識としては多少は知っており、だからこそヤマザキマリと安部公房という関係に興味をいだいた。
実体験としてもこんな極限状態を経験したことがないし、物事を突き詰めて考えるという習慣もないので、学生時代に安部公房に触れたとしてもたぶん興味を惹かれなかったかもしれない。私が卒論で取り上げたカミュの『異邦人』なんかも通じるところがあるのかもしれないが、あれはフランス語でも読みやすそうだったから選んだようなものなので、なんとも言えない。
しかしヤマザキマリのこの本を読んで感じたのは、民主主義の行き詰まりがあちこちで見られる現代社会のいろんな問題をすでに安部公房が提起していたということだ。
安部公房読んでみようか。
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最近テレビに出まくっている(本業よりも手軽に収入が増えるので重宝しているんだろう)あのヤマザキマリが大の安部公房ファンだというのをどこかで読んで、どんなことを書いているのか読んでみた。
イタリアでの極貧生活の体験中にイタリア人から勧められて読んだ『砂の女』に度肝を抜かれて、日本にいる母親に片っ端から安部公房の本を送ってもらい、のめり込むようにして読んだという体験談がじつに興味深かった。
ヤマザキマリが体験した極貧生活、極限状態を安部公房自身が終戦直後の満州から帰国した北海道や東京、そして結婚生活が共通していることが大きいのだろう。もちろんそうした状況のなかで安部公房が小説を書いていたということは後から知ったことなのだから、小説世界に共鳴したことが一番大きいことは言うまでもない。
前にも書いたが、うちのかみさんが学生時代に安部公房を読んでいたようで、今でも本棚に安部公房全集がある。うちのかみさんはどんな精神状態のなかで安部公房に惹かれただろう。
私はまったく読んだことがない。ただ、知識としては多少は知っており、だからこそヤマザキマリと安部公房という関係に興味をいだいた。
実体験としてもこんな極限状態を経験したことがないし、物事を突き詰めて考えるという習慣もないので、学生時代に安部公房に触れたとしてもたぶん興味を惹かれなかったかもしれない。私が卒論で取り上げたカミュの『異邦人』なんかも通じるところがあるのかもしれないが、あれはフランス語でも読みやすそうだったから選んだようなものなので、なんとも言えない。
しかしヤマザキマリのこの本を読んで感じたのは、民主主義の行き詰まりがあちこちで見られる現代社会のいろんな問題をすでに安部公房が提起していたということだ。
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