森見登美彦『有頂天家族』(幻冬舎、2007年)
高畑勲の『平成狸合戦ぽんぽこ』を思わせる狸が主人公のお話。舞台は京都。狸界の頭領であった下鴨総一郎は犬猿の仲で養子に出た弟の夷川早雲にはめられて狸鍋になってしまった。数年前の暮れの金曜倶楽部の宴会で食されてしまったのだった。そしてその後釜をねらって矢継ぎ早やに陰謀を仕掛けてくる早雲とその息子たち金閣銀閣(そして娘の海星)、そしてそれに対抗して父総一郎の意思を継ごうとする総一郎の息子たち、責任感は強いがここ一番にパニくる長男の矢一郎、父の死の前まで一緒に酒を飲んでいたために父の死を自分の責任だと思い込み蛙に化けてから元にもどれなくなった次男の矢二郎、一応この物語の主人公であり語り手でもある三男の矢三郎、まだヒヨっこですぐに尻尾をだしてしまう四男の矢四郎の闘い、それに総一郎が懇意にしていた天狗の赤玉先生こと如意ヶ嶽薬師坊とその弟子の弁天たちがからんで、京都を舞台に馬鹿なひと騒動を繰り広げる。
面白かった。けど後に何も残らないお話。前にも他の小説について同じことを書いたような気がするけど。まったく何も残らない。時間を無駄にしたとは思わないが、まぁ二度と読もうとも思わない。別にけなしているわけではない。そういう小説もあっていいだろう。でもこんな小説ばかり書いていてむなしくないのかなと、他人事ながら思う。
彼の第一作の『太陽の塔』とか『夜は短し歩けよ乙女』とかについても似たようなことを書いたと思うのだが、いつまでもバンカラ高校生が世の中を斜めに見て武士は食わねど高楊枝的に放歌高吟するようなものばかり書いていて、最初のうちは珍しがられてちやほやされるかもしれないが、こんなものばかり書いていたらダメになると思う。もう一度言う。こんなものばかり書いていてむなしくないのかな。
高畑勲の『平成狸合戦ぽんぽこ』を思わせる狸が主人公のお話。舞台は京都。狸界の頭領であった下鴨総一郎は犬猿の仲で養子に出た弟の夷川早雲にはめられて狸鍋になってしまった。数年前の暮れの金曜倶楽部の宴会で食されてしまったのだった。そしてその後釜をねらって矢継ぎ早やに陰謀を仕掛けてくる早雲とその息子たち金閣銀閣(そして娘の海星)、そしてそれに対抗して父総一郎の意思を継ごうとする総一郎の息子たち、責任感は強いがここ一番にパニくる長男の矢一郎、父の死の前まで一緒に酒を飲んでいたために父の死を自分の責任だと思い込み蛙に化けてから元にもどれなくなった次男の矢二郎、一応この物語の主人公であり語り手でもある三男の矢三郎、まだヒヨっこですぐに尻尾をだしてしまう四男の矢四郎の闘い、それに総一郎が懇意にしていた天狗の赤玉先生こと如意ヶ嶽薬師坊とその弟子の弁天たちがからんで、京都を舞台に馬鹿なひと騒動を繰り広げる。
面白かった。けど後に何も残らないお話。前にも他の小説について同じことを書いたような気がするけど。まったく何も残らない。時間を無駄にしたとは思わないが、まぁ二度と読もうとも思わない。別にけなしているわけではない。そういう小説もあっていいだろう。でもこんな小説ばかり書いていてむなしくないのかなと、他人事ながら思う。
彼の第一作の『太陽の塔』とか『夜は短し歩けよ乙女』とかについても似たようなことを書いたと思うのだが、いつまでもバンカラ高校生が世の中を斜めに見て武士は食わねど高楊枝的に放歌高吟するようなものばかり書いていて、最初のうちは珍しがられてちやほやされるかもしれないが、こんなものばかり書いていたらダメになると思う。もう一度言う。こんなものばかり書いていてむなしくないのかな。