『それでもボクはやっていない』(周防正行監督、2007年)
タイミングよくテレビの「うちくる?」で周防監督をゲストにしたり、『しこふんじゃった』をJ-comでやっている。このあたりのやり方は本当にうまくなりましたね。
「うちくる?」では周防監督の線の細い感じというかオタク的な雰囲気からとてもスポーツ系とは思えなかったのだが、じつは中学から野球をやっていて、いまでも現役で、四番でピッチャーと紹介していた。見かけによらないというのはこういう人のことをいうのだろうね。また彼の初監督作品が「変態家族、僕の兄嫁さん」とかいうタイトルだというのも面白い。でも内容は小津監督へのオマージュが込められているとか。じつにおもしろかった。
さて、「Shall We ダンス?」から11年目にしてやっと出来上がった今回の作品は、リアリティーにこだわったという監督の発言もあったが、たしかによく見る俳優さん以外はわりとほんまの人を使っているのかと思わせるようなところがあった。しかも現行犯逮捕されてから留置場にいれられ、孤立無援の中で、意に反して犯人に仕立て上げられていくさまは、本当に恐ろしい。警察権力というものの怖さを、こういうものを見て、知っておいたほうがいい。徒に供述しないで黙秘を通したほうがいいというのは、あの供述書の作り方からも分かるだろう。
痴漢の場合現行犯逮捕だから、あんなふうにすぐに犯人としての扱いをされることになるのだろうが、重罪人と同じように移送するときにもものものしく手錠とロープで拘束されたままというのも、まったく人権無視もはなはだしい。
結局、この映画では主人公は3ヶ月の有罪判決を言い渡されることになるのだが、この映画を見ると、人を裁くことがいかに恐ろしいことかよく分かる。日本は死刑が廃止になっていないが、死刑に反対する人たちの考えも理解できないわけではないなと思うようになる。万が一にも有罪判決に間違いがないとは言い切れないのだ。そういう判決によって命を奪い取われてしまうということが、本当にあってもいいことなのかどうか考えてみる必要がある。無期懲役が本当に無期懲役になっていないから問題なのではないか。死刑判決で本当に死刑になってしまうか、無期懲役で十数年で刑務所を出て来れるか、中間がないのが問題なのだ。極端すぎるのだ。
それにしても周防映画の常連さんである清水美沙がおばさん役で出ていたが、「しこふんじゃった」の清水美沙は本当にきれいだったな。水も滴るは男についていう言葉だけど、なんかきらきら輝いているようなみずみずしいような、きれいさだった。「Shall We ダンス?」でもちょい役だったけど、色っぽい感じだったのに、この作品ではおばさんになりましたね。まぁあれから十数年たっているのだからしかたないか。
タイミングよくテレビの「うちくる?」で周防監督をゲストにしたり、『しこふんじゃった』をJ-comでやっている。このあたりのやり方は本当にうまくなりましたね。
「うちくる?」では周防監督の線の細い感じというかオタク的な雰囲気からとてもスポーツ系とは思えなかったのだが、じつは中学から野球をやっていて、いまでも現役で、四番でピッチャーと紹介していた。見かけによらないというのはこういう人のことをいうのだろうね。また彼の初監督作品が「変態家族、僕の兄嫁さん」とかいうタイトルだというのも面白い。でも内容は小津監督へのオマージュが込められているとか。じつにおもしろかった。
さて、「Shall We ダンス?」から11年目にしてやっと出来上がった今回の作品は、リアリティーにこだわったという監督の発言もあったが、たしかによく見る俳優さん以外はわりとほんまの人を使っているのかと思わせるようなところがあった。しかも現行犯逮捕されてから留置場にいれられ、孤立無援の中で、意に反して犯人に仕立て上げられていくさまは、本当に恐ろしい。警察権力というものの怖さを、こういうものを見て、知っておいたほうがいい。徒に供述しないで黙秘を通したほうがいいというのは、あの供述書の作り方からも分かるだろう。
痴漢の場合現行犯逮捕だから、あんなふうにすぐに犯人としての扱いをされることになるのだろうが、重罪人と同じように移送するときにもものものしく手錠とロープで拘束されたままというのも、まったく人権無視もはなはだしい。
結局、この映画では主人公は3ヶ月の有罪判決を言い渡されることになるのだが、この映画を見ると、人を裁くことがいかに恐ろしいことかよく分かる。日本は死刑が廃止になっていないが、死刑に反対する人たちの考えも理解できないわけではないなと思うようになる。万が一にも有罪判決に間違いがないとは言い切れないのだ。そういう判決によって命を奪い取われてしまうということが、本当にあってもいいことなのかどうか考えてみる必要がある。無期懲役が本当に無期懲役になっていないから問題なのではないか。死刑判決で本当に死刑になってしまうか、無期懲役で十数年で刑務所を出て来れるか、中間がないのが問題なのだ。極端すぎるのだ。
それにしても周防映画の常連さんである清水美沙がおばさん役で出ていたが、「しこふんじゃった」の清水美沙は本当にきれいだったな。水も滴るは男についていう言葉だけど、なんかきらきら輝いているようなみずみずしいような、きれいさだった。「Shall We ダンス?」でもちょい役だったけど、色っぽい感じだったのに、この作品ではおばさんになりましたね。まぁあれから十数年たっているのだからしかたないか。