読書な日々

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『異常』

2022年09月03日 | 現代フランス小説
ル・テリエ『異常』(早川書房、2022年)

2020年夏にフランスで出版されるとあっという間に110万部のミリオンセラーになり、ゴンクール賞という、フランスで格式の高い文学賞を受賞したという本で、日本でも著名人たちが賛辞をツイッターなどに書いているというので、私も読んでみたのが、…。

2021年6月にパリ・シャルル・ド・ゴール空港を飛び立ったエール・フランスの飛行機が大西洋で激しい積乱雲の中を飛行した後に、3月に同じ航路を飛んでいた飛行機の乗客・乗員が複写されたという。

つまりまったく同一人物たちが二人ずつ存在するという事態が起きたという話である。

もちろん3月の乗客はその後の3ヶ月間を過ごして各人の人生を生きてきたのだが、6月の乗客は3月の乗客のままなので、その後の3ヶ月間の人生を持っていない。

小説の前半三分の一はこの乗客たちのそれぞれの生活が断片的に描かれる。そして最後の三分の一は二人ずつになってしまった乗客が対面する様子が描かれる。

ある殺し屋は、密かに拘束されていたキャンプを逃れて、自宅に戻ると3月の自分に殺されてしまう。

たしかに衝撃的なことに違いないのだが、あまりの荒唐無稽さに私にはまったく感動も何もなく読了した。何が面白いのか理解できなかった。

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