読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

安倍前首相の起訴を求めます

2021年02月28日 | 日々の雑感

安倍前首相の起訴を求めます


(※これは2月28日までトップに固定しています。最新記事は次を見てください)

弁護士グループ「起訴相当」求め申し立て

もう一つ興味深い記事を見つけたので、ここに挙げておく。「やっぱり不可解なアベノマスク緊急随意契約。社長宅が競売にかかっていた零細企業が30億円以上受注の謎」(ハーバービジネスオンライン)という記事で、この記者には徹底的に調査してほしい。

「アベノマスク」について業者との取引記録は存在しないって!公金をなんだと思ってんだ。ますます上の契約も怪しくなってきた。



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日本は法治国家ではないらしい

2021年02月25日 | 日々の雑感
日本は法治国家ではないらしい

山田真貴子内閣広報官が利害関係者と会食していたことで問題になり、給与報酬月額の10分の6を自主返納すると発表したことに、こんなことが法治国家で可能なのかと、カリン・西村さんというジャーナリストが驚きを表明しているが、まっとうな指摘である。こちら

つまり接待を受けてはならないという国家公務員法に違反する行為を行なったことで、本来なら、法律で規定された罰則を受けなければならないのに、給与の自主返納という罰則を自分で決めて、自分を罰した。

これに対して加藤官房長官は「職務に一層精励してもらいたい」と述べ、山田内閣広報官に職務を継続させる考えを示したという。こちら

法治国家でこんなことが許されていいのだろうか? 法治国家では犯罪を行なったら、法律で規定された処罰を受けなければならない。それは犯罪の軽重によって規定されている。自分で自分の罰則を決めることができるのなら、裁判所なんかいらない。

国家公務員法に抵触する行為を行なっていることを本人も認めているのに、規定の処罰をしないというのは、もう日本は法治国家ではないことを意味する。

みなさん、これからは、もし犯罪を行なっても、自分で自分の罰則を決めよう。他人から裁かれる必要はない。国家公務員がその模範を示してくれたし、それを内閣官房副長官が追認してくれたのだから。

<3月2日追加分>
山田広報官が「体調不良」を理由に辞職した。辞職ということは退職金が出るということであり、経歴に何も汚点がつかないことを意味する。国家公務員法に違反したのだから、懲戒免職が相当だろう。スカスカ首相は山田広報官を懲戒免職にしろ!

<3月4日追加分>
山田広報官が辞職した理由は、文春がNTTからの接待を報道することを知ったためだった。こちら

NTTからは一回30万円もの金額で、一回7万円の東北新社からの接待なんか記憶にないもの当然だわな、という声が多数。

<3月9日追加分>
山田元広報官は、辞職して、今では「民間人」なので、接待問題での調査の対象にはしないという。は? 公務員は、犯罪をおかしても、辞職して民間人になったら、追求されない?ってどういうこと? そもそも国家公務員法違反でしょうが。それをどこも追求できないって?

おまけに、退職金は満額手に入れるそうな。これなら、7万円の接待の代わりに70万円分の給与辞退なんか、たいしたものではない。こちら

ほんとう、もう今の日本の政治は狂っている。いつまでこんなことを許しているのか? スカスカ首相の支持率が上がっているって? もう信じられない。


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大本営発表と同じ発想だ

2021年02月24日 | 日々の雑感
大本営発表と同じ発想だ

新型コロナ抑制のために今一番の期待株となっているワクチン接種なのだが、夏までに全国民に打てるとかなんとか言っていたのに、ファイザーのワクチンは年内という契約であることが判明し、すでに運ばれてきた4万回分以降は、いったいいつ入ってくるのか、河野担当大臣でさえも、いつと明言できない状態になっている。

そうしたなかで、ファイザーのワクチンは3週間程度以内に2回目の接種をしなければ効果がないと言われているが、1回だけにしようという政権党の動きがでてきた。こちら

田村厚労省大臣も「今のところまだ1回打ちは考えているわけではありません」と、方針変更もあり得ることを匂わせる発言をしている。こちら

「数が限られれば広く1回分を打った方が公平ではないか」という意見があるというが、2回摂取して初めて接種の完了なのだから、4万回分というのは2万人分ということだ。それをエビデンスにもなっていないものを口実にして1回しか接種しないことにすれば、1回目を接種した人たちへの人命軽視でしかない。

世界のエビデンスになっているPCR検査を、「偽陽性や偽陰性が多い」という口実で、まったくやろうとしないで、感染を広げまくっているのと同じ発想が、ここにある。

一部の情報を自分たちの都合のいいように解釈するやり方は、自民党政権のやり方。国民の命と財産を守る気なんか、これっぽっちもない。


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これが事実ならスゴイこと

2021年02月24日 | 日々の雑感
これが事実ならスゴイこと

スカスカ首相の息子が総務省官僚たちに接待をして自社有利を引き出していた問題が出てきた。息子が部長をしている「東北新社」を知らないとか言っていたスカスカ首相、知らないどころの話ではない。社長から500万円の献金をもらっているし、この会社が番組を放送している「ぐるなび」の社長からも献金をもらっているし、この「ぐるなび」はGotoイートで大儲けをしたところだという。利害関係じゃないか。

こちら


菅正剛と総務省官僚の証人喚問、そしてスカスカ首相の証人喚問も必要だ。

こちら


いま不正署名問題で大揺れの愛知県知事リコール問題も次々と新事実が明らかになっている。この問題の経緯と事実関係について冷静な情報を得るには

こちら


リコール運動の応援団長であった河村名古屋市長は責任を取りなさいキャンペーンはこちら
さらに日本維新の会がリコール運動に組織的に関わっていたのかどうかも徐々に明らかになってきている。

こちらが参考になる


愛知県警が不正署名の捜査をしているが、こんな心配もある。捜査を腰砕けにさせないため、トカゲの尻尾切りにさせないため(こういう時に「トカゲの尻尾切り」って言葉は使うんだぜ、吉村知事さんよ)にも、国民が声を上げることが大事。こちら

そしてその発端となった「不自由展」で問題になった展示物の一つについて、「御真影を燃やすとはけしからん」という批判について、新たなことが提起されている。それによれば、昭和天皇の「御真影」は昭和20年12月に文部省の指示で焼却処分されていたという。事実なのかどうか確認してほしいものだ。もし事実なら、「御真影」を焼いたといって非難されるいわれはないし、そもそもあれは「御真影」ではないという反論もある。

こちらこちら


2月23日夜のBSの『報道1930』で、橋下が、タクシー会社社長にコロナ問題でコテンパンにやっつけられた。

こちら


この社長が一番言いたいことは、PCR検査を広くやって、早くワクチン接種して、陰性の人やワクチン接種のすんだ人たちで経済回せばいいやないか、そうしたら自分とこのように、2億円もの借金作らずにすむんや、ということでしょう。正論です。コロナ感染者は人口比でほんのわずか。でもその感染者が感染を広げまわるから怖い。そこでPCR検査を広くやって、陽性者は保護隔離し、陰性者だけが外出できるようにすれば、経済は普通に回っていく、そういうことは政府にしかできないことだ。政府の無策にこそ経済が回らない根本的原因がある。

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『官邸ポリス』

2021年02月19日 | 作家マ行
幕蓮『官邸ポリス』(講談社、2018年)

多部敬三総理→安倍晋三総理
多部恵子→安倍昭恵
須田英臣官房長官→菅義偉官房長官
前田裕平→前川喜平
盛永学園→森友学園
門池康正→籠池泰典
佐藤伸幸理財局長→佐川宣寿理財局長
山本記者→山口敬之記者

「本書の92%は現実である」というキャッチコピーの暴露本という体裁の小説である。ほとんどが上のように、実在の人物を特定できるような名前に変えてあることや、実際に起きた出来事や事件を使っていることからして、あれらの事件があのような結果になったのは、実は裏でこういう内閣情報調査室や警察が動いていたからだという政治の裏を暴露している。

ではどういう人物たちが裏を支配しているのかといえば、それは登場人物が発する言葉や地の文に散見される言葉からわかる。彼らは、基本的に戦前の軍隊中枢部の発想と同じものを持っている。自分たちが政治の中枢を動かしており、思い通りにならなければ、スキャンダルなどを利用して排除する。それはとりもなおさず、首相の保護するため、国体を護持するためにほかならない、という発想である。私にはウルトラ右翼的な発想に思える。

それは次のような文からはっきりと分かる。

「この日本を強固な国に仕上げる組織」(p.223)

「背後の壁に張ってある日の丸と、日本の警察の紋章である旭日章に敬礼をするためだ。/「俺たちは政治家どもの下僕ではない。この旗が示す日本という国の公僕なのだ。そして、公僕のなかでも最も意識が高い我々こそが、この日本を導いていく」(p.22)

標的にした相手(官僚、政治家、一般人)のスキャンダルなどを調べて、それをマスコミなどにリークし、失脚させたり、有罪にさせたりする。「一罰百戒の標的」という言葉も使われている(p.206)

「新宿の場末に生息する普通の女の子は、文部科学省の審議官よりも、ずっと相手を慮ることができる。日本という国は、やはり国民が優れているのであり、官僚はその生き血を啜っているだけなのかもしれない」(p.145)

「今回の場合は、詐欺師たる門池が脇の甘い総理夫人を巻き込んだに過ぎない。それを、近畿財務局、いや財務省理財局自体も、本当に総理夫人案件だと勘違いして対応しただけはないか。それなのに、そのミスを隠そうとして、総理を守っているふりをして自分を守った…」「それは忖度ではなくて、単なる保身だ。」(p.172)

そして官邸ポリスがやっていることは、首相保身のために邪魔になった人間のスキャンダルなどをリークして、失脚させるという手法だ。前川文部科学省政務次官の歌舞伎町の件、籠池夫妻投獄の件、佐川宣寿国税庁長官辞任の件など。

タイトルどおり「総理を支配する闇の集団」を暴露してくれた功績は大きいと思が、ひとつ間違えば政権をすげ替えるのだってできると誇示しているような発想を持っており、なんとも危険な話だ。

『官邸ポリス 総理を支配する闇の集団』へはこちらをクリック


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吉村は大阪府知事を辞めろ

2021年02月14日 | 日々の雑感
吉村は大阪府知事を辞めろ

大阪府知事の吉村がまた知ったかぶりで間違った言葉の使い方をしたようだ。

こちら

「トカゲの尻尾きり」とは、「トカゲが危機に瀕した場面などで自ら尻尾を切除し、外敵から逃れようとする行動のこと。 比喩としては、組織で事件や不祥事が起きた際に、組織内で比較的立場の弱い者に表向きの責任を取らせ、より責任を追うべき立場にある者が責を逃れること、つまりスケープゴートにすることを指す」ものだが、吉村は「感染を断ち切る」というような意味で使っている。

吉村は以前にも「ガラスの天井」という慣用句を間違って使っている。

こちら

「ガラスの天井」とは、男女平等とか機会均等とか表向きには言いながらも、実際には、目に見えない天井=ガラスの天井があるかのように、女性は能力や実績にもかかわらず昇進できないという、女性差別の一形態を意味するものなのに、吉村は「脆弱なもの、脆いもの」という意味だと勘違いしている。おまけに誤用を指摘されても、そんな意味で使っていないと開き直るとは。

何が言いたいのかというと、誰でも間違いや勘違いはある。とくに漢字の読み間違いは誰にでもある。私も頒布(はんぷ)を「りょうふ」と思っていたし、出生(しゅっしょう)を「しゅっせい」と勘違いしていた。だが、大阪府や国のトップたるもの、そういう言葉を使う前に正しいのかどうか確認するということが肝要だ。

漢字の読み間違い程度なら笑い事ですむが、「イソジン」などのような発言や「大阪ワクチンが2020年秋には使えるようになる」というような発言には、府民を混乱させたり、間違った衛生観念を与えたりすることになる。その上、イソジン発言のようにインサイダーの疑いさえかけられることになる。そういう意味でもっと慎重な言動をすべきだ。

吉村のこうした態度は決して言葉の問題だけではない。感染が一番ひどいときに大阪都構想に狂奔して、コロナ対策をほったらかしにした、府民の命を第一だと考えていない結果がこうして現れているのではないか。

大阪が日本一コロナの死者数が多いのはなぜか、どうして医療が逼迫しているのか、PCR検査をまともに受けることができないのはなぜか、ホテル療養者への食事が中ぬきされていたのはなぜか、自宅療養者への食料補助がなぜあんなに栄養を無視したものになっているのか、寝屋川市ではなぜまともなコロナ対策ができているのに、大阪市ではできていないのか。こういうことに誠実に答えるのが先ではないか。

その他、大阪ワクチンを年内に20万人に接種とか言っていた話はどうなったのか?
こちら

本当にもう退場してくれといいたい。

<2月18日追加分>
大阪維新の会が「ファクトチェック」なるセンターを作ったという。吉村大阪府知事の間違った慣用句発言、イソジン発言、大阪ワクチン発言など問題発言が多いので、彼の発言を事前にチェックして、間違った発言をなくそうとする部門なのかと思ったら、なんのことはない「見逃せないデマ等御座いましたら情報提供ください」という密告制度みたいなものか。まず吉村の上のような発言や松井の「慰安婦はデマ」発言を事前にチェックする機関をつくるほうが先だろう。
こちら(リツイートもなかなか辛辣だな)

それと名古屋県知事リコール運動に維新の会の田中事務局長を送り込んだりして支援していた責任をどう取るつもりなのかね。松井は「知らんわ、田中氏がリコールの事務局やってたっていうことすらも」とか言うてるらしいけど。こちらこちらを参考に


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『色のふしぎと不思議な社会』

2021年02月12日 | 自然科学系
川端祐人『色のふしぎと不思議な社会』(筑摩書房、2020年)

この本に関心を持ったのは、私自身も赤緑色弱であるからだ。私自身はそのためにひどく辛い目にあったとか大学入学や就職で不利を被ったという経験はない。それよりも、石原式検査で数字が見えなかったことで、え、俺って異常なの?と愕然とした経験があるくらいだ。そして何よりも不快だったのは、毎年毎年この検査が行なわれることだ。色覚異常は先天性だから治ることはない。また悪化することも改善することもない。それなら一度でいいはずだ。どうして毎年行なって、その事実を子どもに突きつけるのか?しかも衆人環視の中で。それが不快でならなかった。

團伊玖磨の昭和一桁時代の小学校の図画の授業の逸話は恐ろしい。それ以上に恐ろしいのは、現在でも、色覚異常かどうかに関係なく、図画の授業で、「子どもが感じたままの色で描いていると、理解のない先生から訳も分からず叱られ」るという話が恐ろしい。

このような授業がいまだに行なわれているということだ。色覚異常の話以前のこととして、教師が規範から外れた子どもを叱るという教育だ。いまだにこんなことをしているのかと思うと、日本の教育が情けなくなってくる。

この本によれば、保健体育の教科書や教科指導書に色覚特性を遺伝的であり、婚姻には注意すべきと書いてあることから、ある保健体育の教員が「色盲とは結婚するな」と授業中に言ったなどということがあったらしい。まったく恐ろしい話である。そしてこのようなことが起きた背景には戦後日本を支配した優生思想にあるという。恐ろしきや優生思想!

そもそもいったい何のために色覚検査をするのか?就職にあたって、職業によっては色覚異常のために就職できない、あるいは就職できても職務に支障をきたすことがあるなどの理由があるからだ。だが本当にそんな危険性があるものなのだろうか。

著者が警鐘を鳴らしているのは、最近(2000年以降)に出版された眼科医などの本のなかで「軽症者ほど危険」「無自覚なのは危険」などと、いかにも軽微な色覚異常が社会的犯罪の温床にでもなるような物騒な書き方をされていることの危険性のほうであるとする。

著者は、石原式が色覚異常の傾向をあぶり出すのに有効であったが、異常の根拠が不明であったことを重視し、アメリカ空軍が開発したCCTとかイギリスで開発されて民間航空パイロットなどに使用されているCADという検査が示すのは、異常の根拠が明確であることと、結局は正常と異常の境界線は、基準の置き方しだいでいくらでも変わるということだと断言している。(p.238)

石原式検査の復活を主張する人たちが言う早期に発見して…というスクリーニング検査の基本と言えるものはじつは色覚異常には該当しないということも著者は断言している。著者がその根拠としているのが、神戸大学の国際保健学を研究している人が教えてくれたという疫学や公衆衛生学にもとづくスクリーニング検査の条件である。

1.目的とする疾患が重要な健康問題である。
2.早期に発見を行なった場合に、適切な治療法がある(治療法がないと「負のラベリング効果」になるため、スクリーニングはしない)。
3.陽性者の確定診断の手段、施設がある。
4.目的とする疾病に潜伏期あるいは無症状期がある。
5.目的とする疾病に対する適切なスクリーニング検査法がある。
6.検査方法が集団に対して適用可能で受け入れやすい。
7.目的とする疾病の自然史がわかっている。
8.患者として扱われるべき人についての政策的合意が存在する。
9.スクリーニング事業全体としての費用ー便益が成立する。
10.患者検出は継続して行なわれる定期検査にすべきで、「全員を一度だけ」対象とする計画ではいけない。(p.242-243)

なぜこの条件を全部ここに掲載したのかは、見てもらったら一目瞭然だろう。スクリーニング検査とは、色覚異常のようなもののためにあるのではなくて、今世界を脅かしている新型コロナにこそ適用されるべきだ。コロナのPCR検査が上の条件にぴったり当てはまることが、誰の目にも明らかだろう。

ところがニセ専門家連中の、根拠もない、日本でしか通用しないような検査抑制論(偽陽性率が高いだの、偽陰性率が高いだのといった)によって、広範囲の社会的PCR検査がいまだに行なわれていない。

逆に、検査数を抑制することによって、新規感染者数を減らして、あたかもコロナが抑制されたかのような印象を作り出し、そしてそれを根拠にオリンピックは可能ですよという世論を作るための政治利用に使われているのが、日本の現状なのだ。まさに嘘の戦果を新聞に掲載させて、戦意を高揚させたり、戦争継続を合理化しようとした戦時中の大本営発表と同じだ。

かなり専門的なことも書いてある本なので、最初から最後までしっかり理解しながら読むことは難しいから、適当に飛ばして読むほうがいい。ただ、将来就職する時に不利益になる(って、企業や職業分野が一方的に昔のままに門戸を閉ざしていること自体も今後は問題とされるべきだ)からという理由で、しかもごく一部の人だけが遭遇するような問題のためにすべての子どもを前世紀のままのやり方でスクリーニング検査することの危険性、悪弊への警鐘を鳴らした本として、とても意義深いと思う。

『「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論』へはこちらをクリック

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『グアテマラの弟』

2021年02月10日 | 作家カ行
片桐はいり『グアテマラの弟』(幻冬舎、2007年)

片桐はいりを初めて映画でみたのは、やはり『かもめ食堂』(2005年)か。ただスクリーンではなくて、テレビだったが。このブログにもその時の感想を書いている。

こちら

俳優として上手いのかどうかと言われれば、それほど上手でもない、と私なら答えそうだ。だからといって、俳優なんかやめしてしまいなよとは言えない。独特の雰囲気だけで人を惹きつける魅力は余人を持ってかえることはできないだろう。

それを監督がどう活かすかどうにかかっている、などと、映画や芝居の素人のくせに、生意気なことを思う私である。

片桐はいりは本が好きで、よく電車に乗って本を読んで終点まで行き、そこから引き返してまた本を読むみたいなことをしているという話もテレビで見た。変わった人だ。

名の売れた俳優さんなのに、いまだに映画館でモギリをしているという話がウエブに載っていた。感謝の気持をわすれないためということらしい。

独特の顔つきをしているから、とっつきやすいと思われがちだが、決してそうではないのかもしれない。

そんな片桐はいりの家族、とくに中米のグアテマラで日本人向けのスペイン語学校をやっている弟のことを中心に書いた本である。どこかに連載したものではなくて、書き下ろしだという。

多民族国家の典型と言ってもいいような国で、しかも日本人とはまったくメンタルが違う国民性をもっているのが、この本を読むとよく分かる。あらゆることにアバウトでも、シエスタだけは絶対に必須というのも面白い。

こういうところにも日本を捨てて一生住み着く人もいるというのが、すごい。

『グアテマラの弟』へはこちらをクリック



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日本はすぐ懲罰

2021年02月07日 | 日々の雑感
日本はすぐ懲罰

台湾ではIT担当大臣のオードリー・タンさんがマスクの在庫状況がひと目でわかるようなアプリの作成を呼びかけたら、多くのコンピュータプログラマーが手を貸して、あっという間に素晴らしいものができた、という話はよく知られている。こちら

日本では接触アプリのCOCOAがまったく機能していなかったことがわかって(というかやっと今頃になって認めて)、その犯人探しを自民党が言い出した。こちら

どうして日本でも多くのプログラマーにCOCOAの改善をしてよと呼びかけることができないのか?日本では官製の領域のものを彼らの手の中にないものが関わることを、拒絶する。官僚たちのプライドが許さないのか、間違いを認めない伝統のせいなのかしらないが、愚かとしかいいようがない。

そしてすぐに懲罰に行き着く。コロナ禍でも補償が先なのに、それをしないで、すぐ懲罰。

オリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言も根は同じ。私が言うことをハイハイと聞いておればいいのだ、あれこれ異論を出すなという考え方が元にあるから、「女性はしゃべると長い」などという発言になるのだ。みんなで作り上げていくなどという発想は皆無。そして同席していたJOC評議員も森会長を制止することも批判することもなかったのだから同根だ。

こんな組織のもとでオリンピックをやったら、世界に東京オリンピックは女性蔑視のオリンピックですと宣言しているようなものだ。こんな理事たちが進めているオリンピックはその精神に反するのだから中止しましょう。

<2月13日追加分>
森会長(組織委員会)が性差別発言であちこちから批判を受けて辞任した。次のツイッターにもあるように、森会長だけではなくて、組織そのものが性差別を容認するような体質の団体であることが、これを見るとわかる。こんな組織でオリンピックをやるのが間違い。すぐに中止にすべきだ。

こちら

そもそもがこれだから

組織委員会のメンバーはこちら





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『安倍政権を笑い倒す』

2021年02月07日 | 評論
佐高信&松元ヒロ『安倍政権を笑い倒す』(角川新書、2015年)

図書館から借りてきたはいいが、安倍政権を罵倒し尽くすだけの本かなと思って、気が重たかったのだが、パラ見をしていたところ、笑いをめぐる夏目漱石と森鴎外の対比、太宰治と三島由紀夫の対比について話している章が面白かったので、最初から読み直してみたら、ただ好き勝手を言い合っている本ではなくて、まさに人生論を語り合っており、読み応えのある、いい本だった。

佐高信は別として、松元ヒロという人はあまり知らなかった、というかてっきりザ・ニュースペーパーのイチ員だと思っていたのだが、早くに独立して、ピン芸人として活躍している人だった。そんなことはどうでもいのだが、何よりも興味深く読んだのは、彼が独立してまだ自信がなかった頃に、立川談志から応援されて、自信を持ったという話しだ。

私も松元ヒロの奥さんと同じように談志って「わがままで、口が悪くて、横柄きわまりない人だというイメージ」をもっている。たいして面白くもないのに、自分は「天才」だと言っていると思っている。だが、松元ヒロによると、じつに腰が低くて、観客にも気配りをするような人だということで、彼の奥さんも談志と会ってから大好きになったという。(p.104)

まぁ私は実際に会ったわけでもなんでもないので、突然に考えを変えるわけではないが、へぇーと思ったのは確かだ。


そしてもうひとりがマルセ太郎を世に送り出すことになった永六輔の話し。これも「芸人魂」ばかりが先行して売れないままだったマルセ太郎の芸に惚れ込んだ永六輔が支援をして舞台を設定して大入り満員にしたという。まさにマルセ太郎にとっての恩人だったわけだ。

永六輔の語り口は独特なものがあって(と言っても、龍角散のCMでしか知らないのだが)、いちど生の講演を聞きたかったなと思う。残念なことだ。

ちょっとエピソードばかり書いてしまったが、芸論として読んでも、人生論として読んでも面白い、いい本だ。

『安倍政権を笑い倒す』 (角川新書)


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