今年読んだ本のベスト・ファイブ
今年一年間で読んだ本が35冊という読書ブログを名乗るには、まったくの窮地に追い込まれている。そのなかでなんとかベスト・ファイブを挙げた。少ないながらも興味深い本を読めたのは嬉しいこと。小説なんか一冊も読んでいないと思っていたが、意外にもここに二冊挙げることができた。友人から私が書いた本にいろいろ刺激を受けたという感想をいただいた。読書は人間の心を豊かにするものだ。来年もできるだけ本を読もう、と今は心のなかで思っているのだが…
1.パメラ・ドラッカーマン『フランスの子どもは夜泣きをしない』(集英社、2014年)
これを読んで、うちの子どもたちの子育てを振り返ってみると、なるほどあそこがよかったんだな、この部分はよくなかったな、と夫婦で語り合える。そして、これから親になろうとしている男女には、なるほどこんなふうなところに注意すればいいんだなってことが分かる。たんなる育児書ではないけれど、基本のところの考え方をドンと固めることができる。それでいてフランス社会論にもなっている。いい本だ。
2.藻谷浩介『デフレの正体』(角川ONEテーマ21、2010年)
日本経済の、いや日本社会の来し方を適確に分析し、行末を赤々と照らしている本だ。この本を読めば、私たちがどんな振る舞いをこれからすべきか見えてくる。主義主張の違いを越えて、みんなが読むべき本だ。
3.中島義道『ウィーン愛憎』(中公新書、1990年)
世には中島教の信者のような人もいるらしいが、私は別にそのたぐいではない。この本が、日本人がヨーロッパで味わうカルチャーショックをものの見事に、かつ赤裸々に提示していることにちょっと感心している。彼のようなカルチャーショックを感じないで、留学生活を送る人たちもたくさんいるだろう。だが、カルチャーショックはただの異文化との遭遇ではなくて、闘いだということを教えてくれただけでも、ここに入れるだけの価値があると思う。
4.和田竜『村上海賊の娘』(新潮社、2013年)
若手で突然登場してきた時代小説書きのスターといっていい。『天地明察』の冲方丁と混同してしまいそうだが(私だけ?)、大阪弁をここまで使いこなせるのは、大阪に住んでいたということだけでなく、言語中枢がものすごく発達しているのだろう。同じ時代をまったく違う角度から切り取って見せてくれるのは素晴らしい。
5.松本薫『梨の花は春の雪』(今井出版、2008年)
昨年のベストファイブにも挙げたこの作者の『TATARA』に引き続き第二作目の登場だ。感想でもプロレベルと書いたが、地元だけではなくて、もっと広い世界を題材にして小説を書いていってほしい。
今年一年間で読んだ本が35冊という読書ブログを名乗るには、まったくの窮地に追い込まれている。そのなかでなんとかベスト・ファイブを挙げた。少ないながらも興味深い本を読めたのは嬉しいこと。小説なんか一冊も読んでいないと思っていたが、意外にもここに二冊挙げることができた。友人から私が書いた本にいろいろ刺激を受けたという感想をいただいた。読書は人間の心を豊かにするものだ。来年もできるだけ本を読もう、と今は心のなかで思っているのだが…
1.パメラ・ドラッカーマン『フランスの子どもは夜泣きをしない』(集英社、2014年)
これを読んで、うちの子どもたちの子育てを振り返ってみると、なるほどあそこがよかったんだな、この部分はよくなかったな、と夫婦で語り合える。そして、これから親になろうとしている男女には、なるほどこんなふうなところに注意すればいいんだなってことが分かる。たんなる育児書ではないけれど、基本のところの考え方をドンと固めることができる。それでいてフランス社会論にもなっている。いい本だ。
2.藻谷浩介『デフレの正体』(角川ONEテーマ21、2010年)
日本経済の、いや日本社会の来し方を適確に分析し、行末を赤々と照らしている本だ。この本を読めば、私たちがどんな振る舞いをこれからすべきか見えてくる。主義主張の違いを越えて、みんなが読むべき本だ。
3.中島義道『ウィーン愛憎』(中公新書、1990年)
世には中島教の信者のような人もいるらしいが、私は別にそのたぐいではない。この本が、日本人がヨーロッパで味わうカルチャーショックをものの見事に、かつ赤裸々に提示していることにちょっと感心している。彼のようなカルチャーショックを感じないで、留学生活を送る人たちもたくさんいるだろう。だが、カルチャーショックはただの異文化との遭遇ではなくて、闘いだということを教えてくれただけでも、ここに入れるだけの価値があると思う。
4.和田竜『村上海賊の娘』(新潮社、2013年)
若手で突然登場してきた時代小説書きのスターといっていい。『天地明察』の冲方丁と混同してしまいそうだが(私だけ?)、大阪弁をここまで使いこなせるのは、大阪に住んでいたということだけでなく、言語中枢がものすごく発達しているのだろう。同じ時代をまったく違う角度から切り取って見せてくれるのは素晴らしい。
5.松本薫『梨の花は春の雪』(今井出版、2008年)
昨年のベストファイブにも挙げたこの作者の『TATARA』に引き続き第二作目の登場だ。感想でもプロレベルと書いたが、地元だけではなくて、もっと広い世界を題材にして小説を書いていってほしい。