宮崎駿『風立ちぬ』
昨日なんばの方に用事で出かけたついでに『風立ちぬ』を観てきた。まったく面白くなかった。
理由1.主人公堀越二郎は1903年生まれで、たぶんゼロ戦を完成させたのが1940年くらいだろうから、10歳くらいの少年時代から始まってゼロ戦までの30年くらいを描かねばならないために、展開の早いこと早いこと、十分に描き切らないうちに、次、次と話が飛んでいってしまう。これまでの宮崎作品には見られなかった作品構成の悪さがここにある。
理由2.取ってつけたような菜穂子との恋愛の描き方のまずさ。関東大震災の時の出会いからして、作りものめいているし、飛行機の設計者となってからは、毎日そのことしか頭にない二郎が、軽井沢で延々の一週間以上も休暇をとって滞在しているのもわざとらしい。二郎少年の品行方正ぶりもなんか作りものめいている。人間にどろどろしたところがまったくない人などいないだろうに。
理由3.時代が描かれていない。たしかに関東大震災があり、飛行機の注文は軍からのものであり、彼が作る飛行機は戦闘機だけというのは、堀越二郎が生きた時代を描いているかもしれない。だがこのような描き方は時代を描いているとは言えない。彼は時代を超越している。これまでの宮崎作品はそもそもがリアルではないから、みんな作りものとして見ている。だから、背景にある時代なんてものを考慮にする必要はなかった。だが、この作品は実在した人物を主人公にしたれっきとした歴史物である。時代の描き方があまりに一方的、主観的すぎると言ったほうがいいだろうか。まるで堀越二郎が見た夢のような映画と言うべきだろう。見たくないものはすべて捨象されている。
後は感想の羅列になるが、背景の絵も以前に比べて、ずいぶんと雑になってきたように思う。関東大震災のあの揺れの描写は、ただボニョの波の描写を「甍の波」に置き換えただけだろう。人物の描き方がもう類型的というか、信じられないくらいに雑というか、手抜きをしすぎるだろう。以前の宮崎吾朗作品のことでも書いたけど、どこかで見た人物、どこかで聞いた台詞、そんなのばっかりで、新鮮味もなければ、驚きもない。たしかにハラハラ・ドキドキも大笑いするところもないよとは聞いていた。それはそれでいい。しかし…もうやめよう。
宮崎駿も息子吾朗のレベルに落ちてしまったというのが私の感想。
yahoo映画ではたくさんの感想が寄せられているが、その中で私の気持ちに近いものがあったので、リンクを張っておく。こちら。
昨日なんばの方に用事で出かけたついでに『風立ちぬ』を観てきた。まったく面白くなかった。
理由1.主人公堀越二郎は1903年生まれで、たぶんゼロ戦を完成させたのが1940年くらいだろうから、10歳くらいの少年時代から始まってゼロ戦までの30年くらいを描かねばならないために、展開の早いこと早いこと、十分に描き切らないうちに、次、次と話が飛んでいってしまう。これまでの宮崎作品には見られなかった作品構成の悪さがここにある。
理由2.取ってつけたような菜穂子との恋愛の描き方のまずさ。関東大震災の時の出会いからして、作りものめいているし、飛行機の設計者となってからは、毎日そのことしか頭にない二郎が、軽井沢で延々の一週間以上も休暇をとって滞在しているのもわざとらしい。二郎少年の品行方正ぶりもなんか作りものめいている。人間にどろどろしたところがまったくない人などいないだろうに。
理由3.時代が描かれていない。たしかに関東大震災があり、飛行機の注文は軍からのものであり、彼が作る飛行機は戦闘機だけというのは、堀越二郎が生きた時代を描いているかもしれない。だがこのような描き方は時代を描いているとは言えない。彼は時代を超越している。これまでの宮崎作品はそもそもがリアルではないから、みんな作りものとして見ている。だから、背景にある時代なんてものを考慮にする必要はなかった。だが、この作品は実在した人物を主人公にしたれっきとした歴史物である。時代の描き方があまりに一方的、主観的すぎると言ったほうがいいだろうか。まるで堀越二郎が見た夢のような映画と言うべきだろう。見たくないものはすべて捨象されている。
後は感想の羅列になるが、背景の絵も以前に比べて、ずいぶんと雑になってきたように思う。関東大震災のあの揺れの描写は、ただボニョの波の描写を「甍の波」に置き換えただけだろう。人物の描き方がもう類型的というか、信じられないくらいに雑というか、手抜きをしすぎるだろう。以前の宮崎吾朗作品のことでも書いたけど、どこかで見た人物、どこかで聞いた台詞、そんなのばっかりで、新鮮味もなければ、驚きもない。たしかにハラハラ・ドキドキも大笑いするところもないよとは聞いていた。それはそれでいい。しかし…もうやめよう。
宮崎駿も息子吾朗のレベルに落ちてしまったというのが私の感想。
yahoo映画ではたくさんの感想が寄せられているが、その中で私の気持ちに近いものがあったので、リンクを張っておく。こちら。