原口泉『龍馬を超えた男 小松帯刀』(グラフ社、2008年)
NHKの「篤姫」が終わって半年たった今頃になってやっと図書館からこの本の連絡が来た。順番待ちをするのは嫌だという人の気持ちが分かる。今頃になって小松帯刀といわれてもねぇ。しかし篤姫もしらなかったが、龍馬をかくまったり、西郷や大久保の先頭にたったりと、これまで知られていなかったけれども明治維新に重要な役割を果たした人物のことを、せっかくの機会だから知っておいたほうがいいんじゃないの、という気持ちだけで読みはじめた。
鹿児島県人だったら西郷と同時代にこんな優れものがいたのかと狂喜しそうなことが満載である。諸藩のなかで唯一幕末に藩上層部と下級武士のあいだで対立が起きなかったのは薩摩だけだということだが、これだっていわば明治維新にいたる改革を先導したのが城代家老の帯刀だったからで、藩が先頭になって改革を進めてくれるというなら下級藩士たちにとってはいうことはないだろう。
私はこの点については明治維新もののドラマなどを見るたびに思っていた疑問―どうして薩摩藩は藩主の久光と西郷や大久保などの下級武士のあいだがすんなりまとまっているのだろうか―がこれで氷解した。なるほど帯刀のような人物が藩主のそばにいて、藩をとりまとめていたのだなということ。それだけでなく、そうしたまとまりを作り出せるだけの財政的な裏づけも殖産や貿易などによって作り出していたのだ。
さらに江戸末期の激動を大政奉還から王政復古という道に進めたのは帯刀のようだ。もちろん彼一人が社会を動かしたということではなくて、勤皇、幕政改革、尊王攘夷、開国など収拾がつかないような情勢のなかでうまく道を切り開いて先導役をつとめたという意味である。もちろん幕府側には勝海舟という先見の明のある人物がいたり、改革側には西郷や龍馬のような人物がいた上で、かれらを取りまとめる役として帯刀が重要な役割をはたしたということだ。
この本でも指摘されているが、どうしてこれほどの人物がこれまで知られてこなかったのだろうか。西郷や大久保は明治新政府の推進者であったり暗殺されたり西南戦争で自害したり、また龍馬もテロにあって死んでいる。帯刀は病死だったというところが彼らと違う。そういうものなのだろうか?でも勝海舟は長寿を全うしているぞ。なんか分からないけど、やはり正当に評価されてしかるべき人物が正当に評価されない歴史学はおかしい。もっと本格的に研究されるべきだと思う。
NHKの「篤姫」が終わって半年たった今頃になってやっと図書館からこの本の連絡が来た。順番待ちをするのは嫌だという人の気持ちが分かる。今頃になって小松帯刀といわれてもねぇ。しかし篤姫もしらなかったが、龍馬をかくまったり、西郷や大久保の先頭にたったりと、これまで知られていなかったけれども明治維新に重要な役割を果たした人物のことを、せっかくの機会だから知っておいたほうがいいんじゃないの、という気持ちだけで読みはじめた。
鹿児島県人だったら西郷と同時代にこんな優れものがいたのかと狂喜しそうなことが満載である。諸藩のなかで唯一幕末に藩上層部と下級武士のあいだで対立が起きなかったのは薩摩だけだということだが、これだっていわば明治維新にいたる改革を先導したのが城代家老の帯刀だったからで、藩が先頭になって改革を進めてくれるというなら下級藩士たちにとってはいうことはないだろう。
私はこの点については明治維新もののドラマなどを見るたびに思っていた疑問―どうして薩摩藩は藩主の久光と西郷や大久保などの下級武士のあいだがすんなりまとまっているのだろうか―がこれで氷解した。なるほど帯刀のような人物が藩主のそばにいて、藩をとりまとめていたのだなということ。それだけでなく、そうしたまとまりを作り出せるだけの財政的な裏づけも殖産や貿易などによって作り出していたのだ。
さらに江戸末期の激動を大政奉還から王政復古という道に進めたのは帯刀のようだ。もちろん彼一人が社会を動かしたということではなくて、勤皇、幕政改革、尊王攘夷、開国など収拾がつかないような情勢のなかでうまく道を切り開いて先導役をつとめたという意味である。もちろん幕府側には勝海舟という先見の明のある人物がいたり、改革側には西郷や龍馬のような人物がいた上で、かれらを取りまとめる役として帯刀が重要な役割をはたしたということだ。
この本でも指摘されているが、どうしてこれほどの人物がこれまで知られてこなかったのだろうか。西郷や大久保は明治新政府の推進者であったり暗殺されたり西南戦争で自害したり、また龍馬もテロにあって死んでいる。帯刀は病死だったというところが彼らと違う。そういうものなのだろうか?でも勝海舟は長寿を全うしているぞ。なんか分からないけど、やはり正当に評価されてしかるべき人物が正当に評価されない歴史学はおかしい。もっと本格的に研究されるべきだと思う。