読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

「セル」

2006年06月24日 | 映画
『セル』(アメリカ、2000年)

ジェニファー・ロペス主演の『セル』をGyaoで見た。2000年に公開されたときにも見たのだけど、今回もやはり、すごい映画だなという感想です。

精神に障害をもっている人の精神世界を映像化するという考えもしなかったことが行なわれているから。それも昨今のコンピュータグラフィックスの賜物でしょうが、もちろんそれも監督やデザイナーのイマジネーションがあってのこと。これがなければ、コンピュータもただの箱とはよく言ったものだ。エドワードの精神世界、砂漠の荒涼とした世界を最初に提示したので、分裂症のスターガーの恐ろしい精神世界が見事に活きていた。

こうした精神障害を引き起こす家庭環境の恐怖。この点もスターガーの少年時代のことがきちんと描かれていた。今日のテレビでも母親と小さな兄弟を放火によって殺した高校一年生は、父親から相当の精神的な抑圧だけでなく暴力も受けていたらしい。子どものことを思って厳しくしているとか言いながら、自分の社会的見栄や欲望から子どもに対しているから、それを子どもは敏感に感じて、抑圧に耐えられなくなるのだろう。この子どもは「人生をリセットしたかった」と言っているらしい。だれだってそういうことは思うものだが、家族を殺してリセットしようとする自己中心的な世界が恐ろしい。

やはりジェニファー・ロペスの演技がよかったですな。なんとも茫洋とした雰囲気でいながら、ちょっと知的で。劇場公開のときのも思ったんだけど、映画の最後で彼女が例のFBIの捜査官を尋ねてきたときのサンダルっていうでしょうか、履物が、なんだがそれまでの役と不釣合いで気になりました。なんかその辺のねぇちゃんという感じで。あれはやめてほしかったな。でもあの頃はああいうのが流行っていたのかもしれない。

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