読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

「僕を葬る」

2006年06月14日 | 映画
フランソワ・オゾン監督『ぼくを葬る』(フランス、2005年)

「余命3か月と宣告された31歳のフォトグラファーが、死に直面したことにより自分自身を見つめ直す姿をつづったヒューマンドラマ。監督は『8人の女たち』の名匠フランソワ・オゾン。『まぼろし』に続き“死”を題材に取り上げたオゾン監督の分身とも言うべき主人公を、『夏物語』の実力派俳優メルヴィル・プポーが演じる。穏やかで静かな語り口と、主人公の心の葛藤を細やかに表現したプポーが印象的」というのがYahoo!ムービーの解説なんだけど、オゾン監督と言えば、『スイミング・プール』という得体の知れない作品しかしらないけど、あれはあれでテーマ自体が得たいの知れないものだったので、得体の知れないストーリーと得体の知れない登場人物の行動も、なにやらオゾン監督ってすごいぞと思わせてしまうところがあったと思うのだが、余命三ヶ月を宣告された31才の若者の死までの行動ということになると、およそありふれた主題で、よっぽどのことがない限り、これはすごい監督だなんて思わせることはできないと思うのだが、やはりたいしたことはなかった。

メルヴィル・プポー演じるロマンが死までのあいだにしたことと言えば、同棲していた男(ロマンはホモセクシュアル)に嫌いになったと嘘を言って、縁を切ったこと、不仲だった姉と仲直りすること、ずっと訪れていなかった祖母(ジャンヌ・モローが演じている)のもとを訪れてガンであること、余命数ヶ月だということを告げたこと、その途上のレストランで知り合った不妊で困っている女性からの提案で、彼女とセックスをして彼女を妊娠させたこと...と、まぁだれでも考えそうなことばかり。なんかあまりロマンに同情も感じなければ、自分だったらどうするだろうと自らに問いかけさせることもない。もちろんお涙頂戴的なものを期待していないし、そんなんなら見に行かないけど、『スイミング・プール』のオゾン監督でしょう、もうちょっとひねりを利かせてよ!と言ったって、べつにないものねだりの要求じゃないと思うけどね。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする