オリジナルのSP-707Jは、低域D130(8Ω)、高域175DLH、ネットワーク N1200 でシステムを組んで有りますが、私のSP-707Jシステムは低域にD130(16Ω)、中域に#375+ゴールドウィング+ハイルドライバー、高域に175DLH+#2405+デッカリボン+ビクターリボンの7SPユニットで構成しています。
D130は非常に軽い低音が出ます。重低音は出ませんが反応の早いユニットです。能率も100dbを越えています。φ38cmですので重低音は出なくても「空気を震わす力」は十分に持っています。また箱が「バックロードホーン型」になっていて、前面に出る音と後面から出る音も前面側に出る様に工夫されています。後面から出る音は前面から出る音に対して若干の遅れを伴っていると思います。現在ではこの様に手の込んだ箱は作られなくなっていますので希少性は有ります。このバックロードホーンはタンノイとは違うJBLのバックロードホーンですので、付帯音は意外と少ないサウンドです。(JBLのハークネスをサンスイが真似て作ったモノ)
このシステムをドライブするのはCDPにEMT#981、プリにアキュフェーズC-290、パワーアンプは非常に珍しい英国STC社の4033L(3B252B)と云う「傍熱型三極管」を使ったシングルアンプです。出力は10W近く有ると思いますが、ゲインの位置は11時の方向で使っています。この状態で日常使うプリアンプのボリューム位置は9時の方向以下です。SPシステムの能率が良い事と深夜に楽しむので音量を必要としない様に調整しています。云いかえれば非常に小さい音で楽しんでいます。管球アンプを使っていますが耳に付く様なノイズは皆無です。非常にSN比の良いサウンドになっています。
先日から上の写真に有るCDを自宅に持ち帰り聴き続けています。ようやくブレンデルの「シューベルト ピアノソナタ全集」(7CD)を聴き終えました。気に入ると何回でも聴きますので時間がかかります。このシューベルトの全集には「二つの即興曲集」や「楽興の時」が入っていました。特に楽興の時2番の出来が出色で、弱音のピアノの音が揺らいで来ますのでたまりません。
D130の低音は「弱音の美しさ」に有ると思います。重たいコーン紙ではまず出ない音が有ります。38cmと面積が有りますので「空気を震わし」ます。これがコーン紙の前面からと後面から出て来ますので、独得の音のたたずまいを持っています。この様な低音域に#375+ゴールドウィング+ハイルドライバーの艶やかな中音とデッカのリボンの艶やかな高音が載って来ます。
現在全システムのトランジスター化を推進していますが、この707JシステムだけはSTC 4033Lシングルアンプの音を越えるのは難しいのではないかと思っています。予備球も十分に持っていますので20年分くらいは有ります。それでもトランジスターアンプを試してはみたいと思っています。新しい世界が見えて来るかも知れません。