『はじめての死生心理学 現代社会において、死とともに生きる』(2016/10/3・川島大輔編集)に「死期に近づいた人々が大切な人に手紙を書くということ」というディグニティセラピーの紹介がありました。
自らの命が半年と告知される,もしくはそれとなくその時期を察したときに、日々をどのように過ごすかということは、死に逝く人々にとっても、家族にとっても、胸が締めつけられる様な問題だと思う。このコラムでは、そのような状況に直面する人にとって明確な援助となるディグニテイセラピーについて紹介したい。
ディグニティセラピーは,カナダの精神科医チョチノフ(Harvey M. Chochinov)が、終末期患者に対する精神的なケアの枠組みの中で、患者が遺される大切な人たちに「遺す」という点に着眼し提唱したものである。
このセラピー-は,終末期患者から、ときに聞こえてくる「生きている意味が見出せない」、「生きていても仕方がない」と苦しみの声を和らげるために開発された心理療法である。デディグニティセラピーで、患者は、「自分にとって最も重要なことは何か」、「一番憶えていてほしい事柄は何か」について話すように促され、これらの質問に応答しながら、自分の人生の中で最も重要な局面を掘り下げていく。そのなかから「大切な人に憶えていてほしいこと」や「伝えておきたいこと」を発見していく。そしてこのセッションはすべて録音され、患者の希望を加えて編集された上で、最終的に患者のもとに文書のかたち(世代継承性文書)で送付され、患者はこれを大切な人に手渡すことができる。自分の人生の意味について改めて振り返り、自分が大切にしていることを大切な人に伝え,共有することができる。
ディグニティセラピーに参加した、ひとりの感想を紹介する。転移性乳かんであった36歳の女性は、「ディグニティセラピーができてとても幸せでした。頭の中を感情だらけにする代わりに、私の思い出と考え,そして気持ちを一望する上で役に立ちましたからから。一番大切なのは、私か夫や子どもたち。それに家族や友人に、私なりの『洞察』を遺せたことです」と感想を述べている。(以上)
県立図書館から「ディグニティセラピー」の本を2冊借りてきました。順次、紹介します。
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