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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

ディグニティセラピー②

2023年12月15日 | 苦しみは成長のとびら

『ディグニティセラピーのすすめ-大切な人に手紙を書こう』(2011/5/25・小森康永著),ハーベイ・M・チョチノフ著)より転載です。

 

 

ディグニティセラピー

 

終未期においてもっとも重視されるのは尊厳である。尊厳ついて、人びとがその言葉によって何を意味しているのかというところからあらためで掘り起こし、長きにわたる研究を続けているのが、カナダのウィニペグ市にあるマニトバ大学精神科教授チョチノフ博士である。そんななかで彼は、ずばり尊厳(ディグニティ)を冠したアプローチ、ディグニティセラピー(以下DT)を考案した。それは、終末期がん患者がこれまでの人生を振り返り、自分にとってもっとも大切になったことをあきらかにしたり、周りの人びとに一番憶えておいてほしいものについて謡す機会を提供する。

 実際には、患者はBOXに掲げる九つの質問を手渡され、二、三日かけて答をイメージする。これらの質問は、彼の先行研究である「尊厳を守るケア」のなかの「尊厳を守る視点」による問いかけから成る。患者は質問紙に沿って、面接者を相手に、愛する家族や友人に言い残しておきたいことを語る。それはオーディオ録音され、その逐語録を基に面接者は、文書を作成する。文書は後日、本人の前で読み上げられ、内容確認の上、郵送ないし直に渡されることになる。一週聞ほどで終結可能な簡便なアプローチである。

 

 カナダとオーストラリアにおける100名のDT結果(本書第三章)によれば、参加者の九一%がDTに満足したことを報告した。七六%が尊厳の上昇、六八%が意味感覚の上昇を、四七%が生きる意思の高まりを報告した。さらに、八一%がDTは家族にとっても援助となったであろう、ないしなるであろうと報告した。介人後には、苦悩の芳しい改善と抑うつ症状の改善が認められているが、詳細は同論文を参照されたい。

 

ディグニティセラピーの質問

1. あなたの人生の中で、一番思い出として残っている出来事、あるいは あなたが最も重要だと考えていることはなんですか? あなたが人生で一番生き生きしていたのはいつのことですか?

2. あなたが大切な人に知っておいてもらいたいことや憶えていてほしい、 何か特別なことがありますか?

3. あなたが人生で果たしてきた役割(家族内での役割、職業上の役割、 地域社会での役割など)のうち、最も重要なものは何ですか? なぜそれはあなたにとって重要なのですか? そして、それらの役割においてあなたが成し遂げたことは何ですか?

4. あなたが成し遂げたことの中でもっとも重要なことは何ですか? 一番誇らしく思ったことは何ですか?

5. 大切な人達に言っておく必要があると思いながらもまだ言えてなかっ たこと、あるいは、できればもう一度言っておきたいことがありますか?

6. 大切な人達に向けてのあなたの希望や夢は何ですか?

7. あなたが人生から学んだことの中で、他の人達に伝えておきたいこと は何ですか?(息子、娘、夫、妻、両親、その他の人達)に残しておきたい アドバイスあるいは導きの言葉は何でしたか?

8. 大切な人の将来に向けて役に立つような、伝えておきたい言葉、 あるいは教訓めいたものはありますか?

9. この半永久的な記録を作るに際して、他に追加しておきたいことがあ りますか?

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