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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

悪事の心理学 善良な傍観者が悪を生み出す④

2024年07月01日 | 現代の病理
『悪事の心理学 善良な傍観者が悪を生み出す』(2024/2/23・キャサリン・A・サンダーソン著)からの転載です。

なぜ同調すると気分が良くなるのか
 神経科学者は、集団に従おうとする私たちの傾向の根底に神経学的な要因が関与することを示す有力な証拠を発見しました。ユニバーシティーカレッジ・ロンドンの研究者は、自分の音楽の好みが専門家の好みと一致している、あるいは一致していないと思ったときの実験参加者の脳活動を分析しました。研究者は、実験参加者に、好きだけれども所有していない音楽を20曲リストアップしてもらいました。その後、実験参加者にfMRI装置に入ってもらって、リストにある曲とリストにない無名の曲をそれぞれ1曲ずつ再生しました。それから、2つの曲のうち好きなほうを選んでもらい「音楽の専門家」と称する2人の人物がどちらの曲を高く評価したのかを伝えられました。
 その結果、他人が自分と同じ意見をもっていたことを伝えられた場合、特にその人物の知識が豊富であると言われると、良い気分になることを示す強力な証拠が得られました。
音楽の専門家と特定の曲の好みを共有していることを知った実験参加者は、専門家が別の曲を選んだときよりも、報酬体験の処理に関係する脳の部位である腹側線条体の活性化が大きくなることがわかりました(この部位は、私たちがお金を得たり、チョコレートを食べたりするときに活性化する脳の部位と同じです)。その部位の活性化の程度は、2人の専門家が実験参加者の曲の好みに同意したときに」層強くなりました。この研究は、神経学的メカニズムが社会的同調を生み出すので重要な役割を果たしていることを明らかにした、初期の研究のひとつに位置づけられます。(つづく)
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