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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

暴走高齢者が増えている?

2024年01月22日 | 現代の病理

『凶暴老人: 認知科学が解明する「老い」の正体』(小学館新書・2018/10/3・川合伸幸著)からの転載です。

 

 

高齢者の暴行・傷害件数は平成八年の二十倍 

そこで国内の実態を調べてみることにしました。まずは、高齢者の犯罪が増えているのか確認してみました。図1-2の平成29年版の犯罪白書を見ると、高齢者の検挙人員推移(最近20年間)を罪名別に見た箇所(第四編第七章第一節)で、次のように書かれていました。

【高齢者の検挙人員は、平成二十年まで著しく増加していたが、その後はおおむね横ばいで推移しており、他の年齢屑と異なり、高止まりの状況にある。平成二十八年は四万六九七七人であり、八年の検挙人員の約3.7倍となっている。65歳以上の者の構成比は、平成九年には4.1%だった、が、二十八年は二十・八%を占めており、高齢化が進んでいる】

ようするに高齢者の犯罪が増えているといっても、犯罪は万引きから殺人までさまざまです。いったいどのような犯罪が増えているのでしょうか。白書は次のように分析しています。

高齢者の刑法犯検挙人員の約七割を占める窃盗は。平成24年まで著しく増加していたが、その後はおおむね横ばいで推移しており、二十七年は二万四四一九人(前年比0.3%減)と八年の約20倍であった傷害及び暴行の検挙人員も著しく増加しており、二十七年は両罪で五五二三人(前年比七・七%増)であり、八年の約二十倍でめった。重大事犯である強盗の検挙人員も増加傾向にある。)(平成28年版犯罪自書より)

 

統計のマジック

 

しかし、窃盗犯の検挙人数に高齢者が占める二十七・八%という割合は、どこかで見たような割合です。平成二十七年の日本の人口に占める高齢者の割合は図1-4で見るように約二十七%なので、じつはほぼ同じ値なのです。

 つまり、年々高齢者が増えてきているので、検挙された窃盗犯の割合は(未成年者を除いて考えれば)、単に人口に占める高齢者の割合の増加を反映している可能性が考えられます。

むしろ、人口に占める高齢者の割合を考えれば、高齢者はそれほど罪を犯していないということも考えられます。(以上)

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