超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

bloodthirsty butchersの音楽と吉村秀樹の存在が心から大好きだった。~訃報に寄せて

2013-05-30 19:31:26 | 音楽











まだまだやることがたくさんあったはず、
まだまだやりたいことがたくさんあったはず
まだまだやるべきことがたくさんあったはず
今日に絶望している人間が生き残り
明日を希望している人間がこの世を去っていく
その様子から何を学べるだろうか、
今、自分は。









最後に生で観たのは1ヶ月前の横浜のライブで
その時最後に演奏されたのが「ocean」という曲だった。


「生きている 生きて行こう 残された気持ち握り」


これが自分が最後に吉村さんの口から生で聴いた言葉だった。
あの時グッと心を掴まれるくらいに生への渇望を表現していた吉村さんが
まさかその1ヵ月後にいなくなるとは全く予想もしていなかったし
正直信じる事すら出来ないのが今の本心である。

「落ち込む」だとか
「残念だ」だとか
「彼がいなくなっても音楽は残り続ける」だとか
「天国でも轟音でライブをし続けて下さい」だとか
そういう事は今は全く思えないし
思おうとも思わない
選択出来ない

今正直に思うのは「納得したくない」「嘘だって思いたい」、
いや・・・それも違うのかもしれない
現実から目を背けたいのもあるし
ブッチャーズの音楽を失っていくこれからの人生を思うと憂鬱になる気持ちもあるし
その辺は言葉には絶対に出来ない感情としか言いようがないんだけれど
ただ・・・
「あんたがいなくなったらどうするのさ!」って
そんな言葉が真っ先に浮かんできたのが自分の中での最もリアルな感情だったんです。


ブッチャーズは中学生の頃からずっと聴いてきた音楽で
しかも一度たりとも離れたことがないくらいに自分の中ではマストな音楽だった
吉村さんの表現というのは端的に言えば自分という器に合ってる気がしたし
ある意味人生に於ける指標の一つにもなっていた
ずっと憧れていたし
ずっと憧れていたかったし
eastern youthの吉野寿と並んで自分の中では一つの立派なモデルとして成り立っていた
生き辛さを表現しながらも自分を保って進もうとする泣きそうになるくらいの意地に身を焦がされ
最早好きな音楽だとか好きなバンドって言葉を飛び越えて自分を形成する一部になっていた感覚すらある

吉村さんがいなくなる、という事は
自分の一部がなくなってしまうというのも同義である
だから正直「これからどうしよう・・・」という途方に暮れてる感情が
今の自分の心情的には一番正しいのでしょうか
もう分からない、
何も分かりたくもないけれど・・・。


ブッチャーズのライブを観ていると時折感傷がそのまま具現化されている感覚があって
「プールサイド」を生で聴いた時は本当に思春期の風景が目の前に浮かぶようで
その芸術性はいつ観ても凄かったし
後輩からのリスペクトも凄かった

実際今私が好きな若手~中堅でブッチャーズの影響を受けている人々は多い
LOST IN TIME(バンド名が既にブッチャーズから拝借)、LOSTAGE、THE NOVEMBERS
cinema staff、きのこ帝国、Qomolangma Tomato、Syrup16gやART-SCHOOLにも慕われていたり
the band apart、ヒダカトオル、MONOBRIGHT、そしてNUMBER GIRL・・・。他にも沢山
そう考えれば考えるだけ与えた影響の大きさを改めて実感して偉大さを痛感します
そしてその穴の大きさも・・・。

THE NOVEMBERSの小林さんが渋谷AXでライブをした時のMCで影響を受けたバンドを並べてましたが
その中にeastern youthもbloodthirsty butchersもあって
ある種この二バンドは今現在のオルタナシーンに於いて生きる伝説と化しているバンド(だと、思ってる)で
だからこそ今ここで本当の意味での伝説になってしまった事が個人的にはとても悲しくて
ドキュメンタリー映画の言葉の通りにまだまだ伝説になって欲しくなかった
現役でい続けて欲しかったし
最近のライブを観るに現役でい続けられるとも思っていた
その矢先に伝説になってしまったんだからもうどうしていいのやら。


吉村さんはもうこの世にはいない。
そんな事実を認めたくないし認められるほど大人にはなれないけれど
でもだからこそ今思うのは彼の存在に憧れ続けて追い駆けてきた人間として
彼の音楽を絶やしたくはない
吉村さんの才能の凄さをずっと主張し続けたい。
音楽を鳴り止ませたくは決して無いしもっと認められて欲しいし
吉村さんの旅立ちをもっと悲しんで欲しいし
吉村さんがいなくなったシーンを「大丈夫」だなんて言いたくはない。今は、今だけは。

「あんたみたいな人が早死にしちゃダメだろ!戻ってきてよ!」

・・・物凄く往生際が悪いですが、
これが自分の気持ちの総てです。













吉村さんがいなくなってもこの世界はこの国のロックシーンは回り続ける
でもどうか今日だけは止まっててくれないか。
そんな事を思った。

思春期の一番多感な時期に出会って虜になったbloodthirsty butchers、吉村さんの音楽
その「続き」が聴けなくなってしまうことが、その「最新」を観れなくなってしまうことが
彼の背中を追い駆ける事が出来なくなってしまうことがこんなにも悲しいなんて
経験して初めて知りました。
経験するとも思ってなかったから。まだまだ。


「これからどうしよう?」





THE BOOM CONCERT TOUR 2013「24」@八千代市市民会館 13.5.19

2013-05-30 01:47:44 | ライブレポ














先々週の日曜日、THE BOOMのライブを観に八千代へ行ってました。












八千代は・・・行くのがちょっと面倒、
千葉市と一応隣接してるのに運賃は東京並みに掛かるやや不便な(笑)場所なんですけど
逆に言えば行く機会があるのは普段行かないだけにちょっと嬉しかったかも
同じ千葉県の街だしね。まだまだ色々な場所でライブを観たい。

ライブ自体はすっごく良かったです
宮沢さんの振る舞いが終始クールで優しくて理想の男性・・・という感じでした
前半は懐かしい楽曲を、後半は沖縄民謡の楽曲中心という事でメリハリも取れてたライブだったんじゃないかと
MCも逐一面白くて初めから最後までしっかりと楽しめたライブでした。

THE BOOMは山梨出身ですけど、ドラムの栃木さんだけ千葉出身という事で
何気に千葉にゆかりがあって今回は本土の最終公演にあたるいわば本土ファイナルに選ばれていて
そういう土地を大切にする姿勢・・・にも感銘を受けた素晴らしいライブでした
昔の思い出話を披露されたり、
全体的にじんわりと沁みるようなライブだったと思います
やっぱり宮沢さんの歌に懸ける姿勢は改めて格好良いな、とも。











出だしは個人的にも大好きな「24時間の旅」、
シュッと決まってる抜けの良いロックナンバーでこちらの姿勢も引き締まる感覚になりつつ
前々からライブで聴きたかった楽曲なので個人的に凄く嬉しかったです

「この街のどこかに」で更に気分が上がった後に
歌詞の一部を「八千代市民」に変えて歌われた初期の際どい歌「なし」、
更にロックモード突入の「きっと愛してる」と良質のバンドサウンドをしっかりと堪能
そして初期の代表曲「星のラブレター」はあの頃のままの青さを携えながらじっくり演奏、
そのエバーグリーンな感蝕がやっぱり今回もとても素敵でした。
ハーモニカの音色もいい。


「からたち野道」は、ピアノの伴奏のみのバージョンで披露されたんですが
「泣いたらダメよ~」の部分で不覚にも泣きそうになってしまいました(笑)。
「泣いたらダメよ」って歌われてるのにね。
やっぱりこの曲はある種代表曲以上のエネルギーを持った名曲だと再認識しました
とにかく澄み渡るような純度の高さに大いに感激出来ましたね。
宮沢さんの歌声の凄まじさは健在も健在でした。

スケール感たっぷりのアレンジで「この広い世界で」、
割と初期の楽曲と最近の曲が多目のセットリストだったのでこの選曲は個人的に意外でした
それもあって思ってた以上にジーンと琴線を揺さぶられたステージだったかなと
一番ブームが静かだった時期の楽曲ですからね

良質なポップソング「神様の宝石でできた島」を楽しみつつ
ディープな方向性の「幸せであるように」でそのぬくもりが更に拡大する
この曲は他の曲よりも詞がさらっと入ってくる感覚で物凄くナチュラルに楽しめました
濃かった前半はここで終了、


中盤は一息つく感じで宮沢さんを抜いた3人でインストで「虹が出たなら」を披露、
これが途中いきなり重たいムードに変わる緩急が非常にユニークなアレンジに仕上がってました
たまにはこういうのも悪くないですね。面白かった。
ちなみに沖縄に宮沢さんが出したお店のBGMの内の一つでもあるそうです。

その後、栃木さんが八千代の高校に好きな女の子がいた青春時代のエピソードを語りつつ
宮沢さんと二人で「釣りに行こう」、これもほっこりする感じですっげえ良かったですね
シックな雰囲気と歌声が完全にマッチしていました

「からたち野道」もそうだったんですが、シンプル過ぎるアレンジが逆に歌を際立ててる印象
それをやれる宮沢さんの歌心はやっぱり独特の力強さがあるな、と
まじまじと感じられたコーナーでした。
もっともっと観ていたいと思えたくらい至福の時間でしたね。


後半は新アルバムから「やいま」「愛より」、
前者はカバー曲で、でも別段違和感のない仕上がりになってたのに驚きました
そして後者はブームにしてはキュート?な楽曲でそのギャップが心地良いナンバーになってたかなと

「忘んなよ 島ぬくとぅ」から陽気なお祭りソング「情ションガイネ」、
そのあまりのはっちゃっけっぷりに圧倒されつつ(笑
でも素直に良い曲だなあ、とも思いつつ
初期の民謡楽曲も次々と披露「ひゃくまんつぶの涙」、「ひのもとのうた」、
そしてその極みとも言える「シンカヌチャー」までこの辺のブロックはまるで別バンドのような高揚感で
一つのライブで観れる表情の数がありえないくらい多いな・・・と
THE BOOMの本質的凄さを味わいつつ
本気で八千代を南国に変えられるそのセンスには脱帽でした

最後は「島唄」で締め、
磐石のラストでこの日のライブは終了
バンドメンバー紹介で栃木さんを紹介する時、
「この人がいなかったらここまで来れなかった、この人がいたからブームは続けて行けたんです」
みたいな前置きをするので普通に「へえ~」と思って聞いていたら
「ボーカル、宮沢和史!」と
自画自賛の(笑)オチを付けていたのが流石だなあ、って
まあその後「千葉が誇るスーパースター」と改めて紹介されてましたけど
そういうメンバー間のやりとり含めて非常に充実していた時間を過ごせました
またいつか、千葉でブームを観れたら・・・と思います
ありがとうございました。


アンコールは新曲「世界で一番美しい島」と
素朴なアレンジの「風になりたい」、
そしてお馴染みのラストソング「不思議なパワー」はやっぱり不思議な高揚感があって
最高の締めを迎えられていたかなと思いました。湧き上がるポジティブな気持ちが素晴らしかった。
全21曲の中で様々な表情を見せてくれたミクスチャーの王道を往く濃ゆいライブ、
ここまでの完成度のライブを地元千葉で観れるのは幸福な事でしたね。
やっぱり今でも特別なバンドの一つです。









セトリ
1.24時間の旅
2.この街のどこかに
3.なし
4.きっと愛してる
5.星のラブレター
6.からたち野道
7.この広い世界で
8.神様の宝石でできた島
9.幸せであるように
10.虹が出たなら(インストバージョン)
11.釣りに行こう
12.やいま
13.愛より
14.忘んなよ島ぬくとぅ
15.情ションガイネ
16.ひゃくまんつぶの涙
17.ひのもとのうた
18.シンカヌチャー
19.島唄
encore
20.世界で一番美しい島
21.風になりたい
22.不思議なパワー











八千代市市民会館はすっごくキレイなハコで音も良く椅子の座り心地も中々で
もっとここに来たいな~、って感じました
かなりの良ホールだと思います。
そして場所も意外と駅から近くてラッキーでした。東葉高速鉄道はやっぱ運賃高いけど(笑

ハイライトは「からたち野道」~「この広い世界で」ですかね
前回行ったライブとかなりセトリが違ってたのでまた今度機会があったら行きたい。
初期の名曲が多く披露されたのも個人的には嬉しかったし
中期の楽曲も忘れてないのも良さ気なセトリでした。
すごく、沁みました。