まだまだやることがたくさんあったはず、
まだまだやりたいことがたくさんあったはず
まだまだやるべきことがたくさんあったはず
今日に絶望している人間が生き残り
明日を希望している人間がこの世を去っていく
その様子から何を学べるだろうか、
今、自分は。
最後に生で観たのは1ヶ月前の横浜のライブで
その時最後に演奏されたのが「ocean」という曲だった。
「生きている 生きて行こう 残された気持ち握り」
これが自分が最後に吉村さんの口から生で聴いた言葉だった。
あの時グッと心を掴まれるくらいに生への渇望を表現していた吉村さんが
まさかその1ヵ月後にいなくなるとは全く予想もしていなかったし
正直信じる事すら出来ないのが今の本心である。
「落ち込む」だとか
「残念だ」だとか
「彼がいなくなっても音楽は残り続ける」だとか
「天国でも轟音でライブをし続けて下さい」だとか
そういう事は今は全く思えないし
思おうとも思わない
選択出来ない
今正直に思うのは「納得したくない」「嘘だって思いたい」、
いや・・・それも違うのかもしれない
現実から目を背けたいのもあるし
ブッチャーズの音楽を失っていくこれからの人生を思うと憂鬱になる気持ちもあるし
その辺は言葉には絶対に出来ない感情としか言いようがないんだけれど
ただ・・・
「あんたがいなくなったらどうするのさ!」って
そんな言葉が真っ先に浮かんできたのが自分の中での最もリアルな感情だったんです。
ブッチャーズは中学生の頃からずっと聴いてきた音楽で
しかも一度たりとも離れたことがないくらいに自分の中ではマストな音楽だった
吉村さんの表現というのは端的に言えば自分という器に合ってる気がしたし
ある意味人生に於ける指標の一つにもなっていた
ずっと憧れていたし
ずっと憧れていたかったし
eastern youthの吉野寿と並んで自分の中では一つの立派なモデルとして成り立っていた
生き辛さを表現しながらも自分を保って進もうとする泣きそうになるくらいの意地に身を焦がされ
最早好きな音楽だとか好きなバンドって言葉を飛び越えて自分を形成する一部になっていた感覚すらある
吉村さんがいなくなる、という事は
自分の一部がなくなってしまうというのも同義である
だから正直「これからどうしよう・・・」という途方に暮れてる感情が
今の自分の心情的には一番正しいのでしょうか
もう分からない、
何も分かりたくもないけれど・・・。
ブッチャーズのライブを観ていると時折感傷がそのまま具現化されている感覚があって
「プールサイド」を生で聴いた時は本当に思春期の風景が目の前に浮かぶようで
その芸術性はいつ観ても凄かったし
後輩からのリスペクトも凄かった
実際今私が好きな若手~中堅でブッチャーズの影響を受けている人々は多い
LOST IN TIME(バンド名が既にブッチャーズから拝借)、LOSTAGE、THE NOVEMBERS
cinema staff、きのこ帝国、Qomolangma Tomato、Syrup16gやART-SCHOOLにも慕われていたり
the band apart、ヒダカトオル、MONOBRIGHT、そしてNUMBER GIRL・・・。他にも沢山
そう考えれば考えるだけ与えた影響の大きさを改めて実感して偉大さを痛感します
そしてその穴の大きさも・・・。
THE NOVEMBERSの小林さんが渋谷AXでライブをした時のMCで影響を受けたバンドを並べてましたが
その中にeastern youthもbloodthirsty butchersもあって
ある種この二バンドは今現在のオルタナシーンに於いて生きる伝説と化しているバンド(だと、思ってる)で
だからこそ今ここで本当の意味での伝説になってしまった事が個人的にはとても悲しくて
ドキュメンタリー映画の言葉の通りにまだまだ伝説になって欲しくなかった
現役でい続けて欲しかったし
最近のライブを観るに現役でい続けられるとも思っていた
その矢先に伝説になってしまったんだからもうどうしていいのやら。
吉村さんはもうこの世にはいない。
そんな事実を認めたくないし認められるほど大人にはなれないけれど
でもだからこそ今思うのは彼の存在に憧れ続けて追い駆けてきた人間として
彼の音楽を絶やしたくはない
吉村さんの才能の凄さをずっと主張し続けたい。
音楽を鳴り止ませたくは決して無いしもっと認められて欲しいし
吉村さんの旅立ちをもっと悲しんで欲しいし
吉村さんがいなくなったシーンを「大丈夫」だなんて言いたくはない。今は、今だけは。
「あんたみたいな人が早死にしちゃダメだろ!戻ってきてよ!」
・・・物凄く往生際が悪いですが、
これが自分の気持ちの総てです。
吉村さんがいなくなってもこの世界はこの国のロックシーンは回り続ける
でもどうか今日だけは止まっててくれないか。
そんな事を思った。
思春期の一番多感な時期に出会って虜になったbloodthirsty butchers、吉村さんの音楽
その「続き」が聴けなくなってしまうことが、その「最新」を観れなくなってしまうことが
彼の背中を追い駆ける事が出来なくなってしまうことがこんなにも悲しいなんて
経験して初めて知りました。
経験するとも思ってなかったから。まだまだ。
「これからどうしよう?」